みらいのめ

さまざまな視点で研究員が「みらい」について発信します

2016.03.02

第3回

神社からのヒント

from 青森県

IMG_0014のコピー

生活総研 客員研究員
東北博報堂

種市良嗣

最近、仕事・プライベート含めて「神社」へ行く機会が増えている。

子供の頃は遊びの場でしかなかったのに、行く機会が増えたことが要因なのか、歳を重ねたことで見方・感じ方が変わって来たのか、「何か」未来への可能性を感じている。その「何か」とはなんだろうと考えてみた。

近くの神社では夏場は子供向けに本の読み聞かせ、ラジオ体操、大人向けにはお茶会。お祭りの時には奉納行事。初詣、七五三の神事。神聖な場所というイメージがあるが、地域のコミュニティと深く関わっているので意外と身近な場所なのである。

神聖と身近?相反するような言葉が同居する場。

そう考えると、「神社」とは不思議な存在だなと思う。

「神社」の成り立ちについては詳しくはないが、宮司さんに聞いた話によると、日本そのものが四季の移り変わりが激しく、厳しい自然に人間は抗えない。当然、自然に対して畏敬の念を抱く。これが自然信仰に繋がり、各種の神が作られていった。また、農耕民族である日本人は、その土地で豊作を祈り、災害を避ける祈りをする。その土着の神様が降りてくる場所(土地)が神社なのだという(解釈が間違ってたらごめんなさい)。

つまりは、コミュニティが結束して生きていく為のより所であり、この事実が長い間自然と受け継がれている場所という事になる。

この様な神社の存在(=小さな拠点といえる?)が、地域の団結力を再認識したり、持続可能な地域作りに大きな役割を果たすのではないかと考えるようになった。

昨年11月に八戸市にある神社が焼失した。三陸復興国立公園内にあり、天然記念物のウミネコの繁殖地でもあった。また、東日本大震災の津波の被害さえ免れた神社なのである。その様な神社が焼失した事は、地域の方々にとってショックは計り知れなかったと思う。

ここでも、地域と神社の関係の深さを感じられる行動があった。

神社(社殿)復興にあたり、地域の小学生、住民、地元プロスポーツチームが、次々と再建へ向けての募金活動を始めたのである。それも火事があった翌週から。「何かしなきゃ」「自分が出来ること」と能動的に動き出したのである。

地域の団結力を再認識でき、持続可能な地域作りのアクションといえる。

この神社が地域のシンボル、精神的なより所だったからこそ、各コミュニティが団結し「復興」へ向け一緒に動いていけている。一つ一つは小さな集まりではあるが、色々な場所で発生しそれらをまとめれば、大きな力となって事が動く事が証明されているのである。

まさに、これが「地域の創生」として実施できる一つの方向性(ヒント)なのではないか。色々な地域課題全てに対応できるわけではないが、全国に大小含め8万ある神社だからこそ活用すべきでは?と。

例えば、高齢者と子供、大人と学生といった異なる世代・職種の交流の場。都市部であれば、地元の住民と新しく転居して来た方との交流の場として活かす等が可能となる。「神社」に集う事で地域・人を知り、共感できる人間が増え地域活性化の力となっていく。

大きな団体(国、県)が何かを動かすよりは、神社の様な小さな拠点(市、町の一エリア、村)から動かしてゆく事が持続可能な地域づくりに適している。

と考えると、「神社」という存在は宗教云々というより、伝統文化・地域コミュニティを継承する所なのである。建物や立地、奉納行事、礼儀作法は勿論精神的な安定が得れる場所。住民が共感できる気持ちを得れる事で、未来が変わっていく力になると思うのだ。

皆さんも、神社に行く機会があったらそんな目を持って行ってみたらどうだろうか。

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