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新しい家族像をリードする「ひとりっこ」たち

~高まる家族へのコミットメント~

博報堂生活総合研究所 上席研究員
吉川 昌孝

今月のテーマは「家族」です。昨年、標準世帯(両親+子)の世帯数が単独世帯の世帯数に逆転されました。老若男女全年代でシングル化が進む一方、新しい家族モデル像の模索も続いています。今回は「ひとりっこ」「長男長女」「次男次女以降」別の分析から、家族のこれからの姿を考えていきたいと思います。


生活者は「家族」を求める


 「円満な家族関係」に満足している生活者は、1996年の62.0%をピークに、10年後の2006年には53.5%と8.5ポイント低下。その一方で「家族と過ごす時間」を増やしたいと考える生活者は、同じくこの10年間で35.0%から39.9%へ逆に5ポイント近く上昇している(グラフ1)。「家族と過ごす時間」を増やすことにより、「家族関係」を円満なものにしたいとする生活者の意識が伺える。時間であれ、関係であれ、生活者は家族を求め、家族に対して深く関与したいと感じているようだ。

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家事・育児・休日時間でコミットメントしたい

 では、どのような関与を家族に行おうと考えているのだろうか。家族関連のさまざまな意識項目を見てみると、「夫も家事や育児を優先すべきだと思う」が2000年の26.0%から2006年29.9%へと4ポイント近く上昇。「休日はできるだけ家族と一緒に過ごしたいと思う」人も2000年から2006年まで一貫して半数以上を占めている(グラフ2)。夫、妻、子供がばらばらの生活時間を過ごすのではなく、夫も育児等に参加して家事を分担したり、休日は家族みんなで何らかのことを共有していくことで、自らの家族への関与を高めようとする生活者の志向が伺える。

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「ひとりっこ」で上昇する家族への満足度

 次に、こうした家族を求める気持ちや家族に対して関与したいとする意識の強さについて、家族における出自の違い、本人の生まれの違いを「ひとりっこ」「長男・長女」「次男・次女以降」の3パターンに分類して分析してみた。この質問項目は2004年に追加されたため、データは過去2時点となる。
 分析の結果、「ひとりっこ」においていくつかの特徴的な動きが見られた。1つ目は「ひとりっこ」の家族への満足度の高まりである。「円満な家族関係」の満足度は、「長男・長女」の55.4%(2006年)、「次男・次女以降」の53.1%(同)に続く最下位の48.5%であるものの、2004年から2006年の変化で言えば3パターンのなかで唯一上昇しているのだ(グラフ3)。
 さらに「家族の十分な話し合い」に対する満足度でも、反応値としては上記と同様「次男・次女以降」「長男・長女」に続き3番目と最低であるが、2004年から2006年の変化ではやはり3パターン中唯一の上昇傾向を示している(グラフ4)。
 「長男・長女」や「次男・次女以降」の家族への満足度が変化しないなか、「ひとりっこ」たちは家族関係の満足度をここ数年で上昇させていることが分かる。こうした「ひとりっこ」たちの家族関係の満足度を上昇させる要因は、一体何なのだろうか?

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男性の新しい役割に積極的で、休日の時間共有に消極的な「ひとりっこ」たち

 まず、家族における男性の役割に関する2つの項目「男性でも、育児休暇を取るべきだと思う」「夫も家事や育児を優先すべきだと思う」において、「ひとりっこ」は特徴的な傾向を示しており、2004年から2006年への伸張ポイントが「長男・長女」「次男・次女以降」を引き離している(グラフ5)。
 一方、「休日はできるだけ家族と一緒に過ごしたいと思う」という家族との時間の共有に関する項目については反応値、2004年から2006年の変化傾向とも3パターン中最も低い。この項目について最も高い反応を示した「長男・長女」の数値を、「ひとりっこ」は実に4ポイント以上も下回っている(グラフ6)。

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ひとりっこの明確で合理的な家族コミットメント


 「ひとりっこ」たちは家族のなかの役割分担については寛容でも、家族との時間の共有という冗長な関わり方についてはさほどでもないようだ。彼らのこうした傾向には、単なる暗黙的な関わり合いを越えて、もっと明確で合理的に機能を果たすべく、家族に対してのコミットメント行動を求める意識が感じられる。これまでにはないこのような意識が、これからの新しい家族像をリードしていくのかもしれない。


(掲載 : JRガゼット・2008年8月号・株式会社交通新聞社)


調査概要


「生活定点」
調査地域 : 首都40㎞圏、阪神30㎞圏
調査対象 : 20~69歳の男女
サンプル数 : 1996~2002年:2,000人/2004年:3,105人/2006年:3,293人 ※国勢調査の年齢構成比で割付
サンプリング:地点抽出によるエリアサンプリング
調査方法:訪問留置法
調査時期:隔年5月(2006年度:5月17日~6月5日)
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