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暮らしを安定させるための18の生活対応(その2)

~「生活定点2008 レポート4」生活総研が着目する価値観変化~

博報堂生活総合研究所 上席研究員
南部 哲宏
夏山 明美

 2月に入り、本格的な冬の真っ最中。今年は結構寒いと思うのですが、皆様の地域はいかがですか? 景気もいよいよ寒そうです。「派遣切り」という不穏な言葉がニュース等で聞かれますが、「困った時はお互い様」という古くからの習わしを大切にしたいものです。
 財布も気温も寒い時は、温かいお部屋で暖かい食べ物をいただくと「ほっ」とできます。こんな時だからこそ、「ほっ」とした感情、安心感と温もりある気分を個々人の生活のなかで作り出す必要があると思います。企業も社会も、それができなくて、もがいているのですから。安定した暮らしは、誰かの手ではなく、自らの手で作り出していくものなのでしょう。そんな生活者の姿を、今回の報告で見ることができます。
 本調査は2008年5月のゴールデンウィーク明け、ガソリンが高騰し、エタノールの需要が伸びて作物価格が高騰、物価上昇がニュースとなったリーマンショック3カ月前に実施しました。いまはもっと深刻で寒い状態ですから、安定願望と生活対応はより高まり、実践されていることでしょう。

10   消費・お金1:上手にやりくりする

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 経済状況が厳しい時は、とにかくやりくり。衝動買いや浪費は抑え、交際費を見直す行動も見られる。経済状況が厳しいからというより、低成長時代の暮らし方とも言えるだろう。

11   消費・お金2:手元の現金を重視する

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 ちょっとさびしい気もするが、「信じるもの:お金」の高止まり状態が続いている。貯金をし、少しでも出費を抑え、クレジットカードはなるべく使わない。まさに「現金を手元に!」だ。不透明な先行きへの備えとも言えよう。失われた10年は「備えよ常に」を身につけた時代とも言えるかもしれない。自衛生活がずっと続いている感じがするのは筆者だけだろうか?

12   消費1:産地や製造元を気にする

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 食品偽装、残留農薬、農薬混入といった食の安全を脅かす事件が多発。グローバル経済の恩恵を受けていた日本だが、これを転機に産地や製造元を気にする気運が上昇に転じた。バブル崩壊以後、加速するグローバル経済への不信が続いていたことも背景にあるようだ。日本の自給率も絡む問題なので、今後の動向には注意が必要であろう。

13   消費2:特別な消費をする

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 消費は冷え込むばかりではなさそうだ。評判の店には行ってみたいし、美味しいものは食べたいのだ。そして、大切な人の誕生日にはプレゼントをし、頑張った自分にもご褒美をあげている。普段の消費は控えても、特別な時や必要な時はきちんとお金を使う。凸凹する消費行動の「凸」にきちんと対応することがとても大切だ。

14   交際:人と歩調をあわせる

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 安定願望は、共同歩調を促すのだろうか? 競争心や個性より、習慣やしきたりを重んじる。歴史や教訓が、不安定な時代を乗り切る指針を示してくれると考えているようだ。それなら祖父母と暮らすなど、先人の知恵を学べて生かせる生活をしてもいいような気もするが・・・。

15   余暇:外出は控える

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 出費抑制のためだろうか、生活者は外出も控えている。外より内の満足度も上昇傾向にある。バブル崩壊後、確実に野外での遊びが減っていることを考えると、出費抑制に加え、家にいるのが楽しいことも大きな要因ではないだろうか。インターネットで世界中の情報に接触でき、映像まで見られる。テレビのチャンネルは大幅に増え、DVDでは映画などのお気に入りのコンテンツを楽しめ、ゲーム機は家族みんなで楽しむお茶の間家電に進化。家で十二分に楽しめるのである。

16   地域:足元を見つめる

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 「家が楽しい」ことも追い風なのだろうか、地元志向が顕著になってきた。首都圏や阪神圏への流入人口は相変わらず多いが、過去の流入者ではそれぞれの地域に居を構え、上京してから三世代という人たちが多くなっている。地元志向、愛郷思考が強い江戸っ子、浪速っ子が増えて当然だろう。ましてやこの厳しい時代、自分を分かってくれる地元は安住の地だ。「安心していられる地元や家がいい」。十二分に理解できる。

17   住:騒がない、飾らない

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 家での暮らしぶりも抑え気味のようだ。家族以外の人と集うことを控え、家財道具も新しくしない。データからは、部屋の模様替えも行っていない印象を受ける。質素な暮らしぶりが垣間見えるようだ。

18   地球環境:環境に配慮して行動する

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 生活者たちは地球環境問題に敏感に反応し始めた。環境悪化の深刻さを伝えるニュースや映画、それに対応する企業行動や商品に関する報道が増えたことが要因であろう。もちろん、クールビズや環境教育といった環境に配慮したライフスタイル提案が功を奏していることもあるだろう。BRICsの台頭によるエネルギーと食料の問題は、環境問題ともつながっている。その認識も生活者たちに変化をもたらしているようだ。


総括 生活基盤の充実を望む

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 以上、18の暮らしを安定させるための生活対応を2号連続でご覧いただきました。生活者個々人のこれらの対応の根源にある願望は、以下のように集約されるだろう。
 「私たちは家族・地域を大切にしながら、質素倹約で頑張る。生活基盤を安定させる施策の充実のためなら、多少の税金の値上げもいたし方ない」。


 寒い生活が続きそうです。皆様、「困った時はお互いさま」で、ご家族や仲間と暖かい飲み物、食べ物、会話で、冷えた身体と心を温めてください。楽しく明るい話をして、厳しい寒さに打ち勝ちましょう。


(掲載 : JRガゼット・2009年2月号・株式会社交通新聞社)


調査概要

「生活定点」
調査目的 : 2年ごとに同じ質問を、繰り返し同一条件の層の対象者に尋ね、人々の生活動向の変化を量的にとらえる。
調査地域 : 首都40㎞圏(東京・埼玉・千葉・神奈川・茨城)、阪神30㎞圏(大阪・京都・兵庫・奈良)
調査対象 : 20~69歳の男女
調査方法 : 訪問留置法
調査時期 : 隔年5月(2008年度:5月14日~6月2日)
サンプル数 : 1992年:1,976名、1994~2002年:2,000名、2004年:3,105名、2006年:3,293名、2008年:3,371名 (有効回収)
男女それぞれ5歳刻みを1グループとして、最も少ないグループでも有効回収数が125人となるように、2005年国勢調査結果に基づきサンプルの割付を行った。
サンプリング : 該当エリアの町丁目別世帯累積表より、1地点10人前後とした時の地点を等間隔で抽出し、該当地点で対象者を設定した。 

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