Tシャツの「タックイン」問題 オジサン世代にとって難しい理由とは
2026.01.19
みなさん、こんにちは。生活総研の堀(50代)です。今日は、最近ずっと気になっている「Tシャツのタックイン問題」を取り上げたいと思います。
街を歩くと、若い世代の多くはゆるいシルエットにTシャツをタックアウトするスタイルで、自然体の着こなしを楽しんでいます。その中に、ときどき白Tをスッとタックインしている若者がいて、思わず「あれ、かっこいいな」と目がいってしまうことがあります。しかし、いざ自分が同じことをしている姿を想像すると、どうしてもピンとこない。そんな抵抗感が正直なところあります。
90年代〜00年代に青春を過ごした私たちの世代にとって、Tシャツのタックインといえば「お父さんの休日」のイメージが強く、無意識に“ダサいもの”として刷り込まれています。そこに年齢とともに変化した体型の問題も加わり、若者のように軽やかにタックインを楽しむのは、簡単そうに見えて意外とハードルが高いのです。
タックインは、身体感覚のアップデートなのでは
それでも、タックインを取り入れた若者の着こなしを見ると、心のどこかで羨ましさが湧いてきます。あの抜け感や軽さは、時代との距離をほんの少し縮めてくれるようにも見える。この“微妙な憧れ”こそ、いまの生活者が感じているリアルさなのだと思います。
最近、私はタックインという行為は、単なるファッションではなく「身体感覚の更新」ではないかと感じています。昔の価値観に縛られている間は、「タックイン=ダサい」から抜け出せません。若い世代のタックインも、結局は「どう見られるか」を踏まえた選択なのだと思います。ただ、その判断がとても柔軟で、素直にアップデートされていく点が、私たちの世代とは少し違うのかもしれません。
小さな選択が、思考の風通しをよくする
タックインするかどうかは、ごく些細な選択です。しかし、その“小さな選択”をためらっている自分と向きあうと、古い価値観や固定観念がふっと浮かび上がります。だからこそ、たかがTシャツの話なのに、こんなにも人間くさいテーマになるのでしょう。
そして、この微細な変化は仕事にもつながります。朝、鏡の前でそっとタックインを試してみると、不思議と気持ちが軽くなることがあります。会議でいつもとは少し違う意見が言えたり、新しい方法に挑戦してみようと思えたり、思考の柔らかさが増すことがあるのです。見た目の変化が行動を変え、行動が感覚を変える。ファッションは、その入口としてとても効果的です。
無理して挑戦しなくてもいい、でも一度試してみてもいい
もちろん、タックインを無理に取り入れる必要はありません。ただ、鏡の前で一度だけ試してみるくらいの軽さはあって良いと思います。その一瞬の違和感は、むしろ自分の感覚をアップデートするきっかけになります。若い頃のまま固まってしまった“当たり前”に風を通すだけで、ファッションも仕事も日常も、少しだけ変わっていきます。
タックインは、自分をどう扱うかという問い
結局のところ、Tシャツのタックインが似合うかどうかは本当に些細なことです。大事なのは、その選択を通して「今日の自分をどう扱うか」を静かに問い直すこと。年齢や体型にとらわれすぎず、ほんの少しだけ自分を更新する姿勢があれば、生活は思った以上に軽やかになるのかもしれません。

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