若者をとりまく
環境認識
若者調査の結果をみる前に、その前提となる社会環境の変化を振り返っておきましょう。
まず、各時代で若者がどのように呼ばれ、どのような経験してきたのか年表形式でまとめました。
続いて、マクロ統計を中心に、若者の生活の様々な面に影響を与える大きな構造の変化を確認します。
若者のおかれた時代環境
マクロ統計にみる環境変化
マイノリティになった若者
年代別人口推移をみると、1993年から2023年の30年間に20代の人口は約1,830万人から1,272万人と約31%減少し、10代の人口も約1,706万人から1,074万人へと約37%減少しています。「若者調査」の調査対象者である19~22歳の人口も同じ期間に約809万人から483万人へと約40%減少しました。
日本の総人口も2008年を境に緩やかな減少傾向に転じたものの、2023年時点では1993年と同程度の規模を維持しています。相対的に10~20代の人口構成比はこの30年間で約28%から19%へ減少し、70代以上の構成比(23%)を下回るまでになりました。少子高齢化が継続する社会の中で、若者のマイノリティ化が進んでいます。
年代別 総人口数(全国)(2023年10月1日時点)
19~22歳人口推移(全国)
学び続けるようになった若者
人口ボリュームで若者のマイノリティ化が進む一方、学歴の面では高等教育への進学率が上昇しています。2023年の4年制大学への進学率は約58%と、30年間で2倍以上に増加しました。
18歳人口に占める進学先の内訳を詳しくみると、短期大学や高等専門学校、専門学校への入学者も含め84%の人が何らかの高等教育機関に進学しています。就業者は16%で、中学や高校の卒業後にすぐ働き出す人は少数派となっています。
20代前半まで大学で学び続ける人が若者の過半数を占め、そうでなくても高校卒業後2年間は学びを継続し、スキルや技能を身につけたうえでで社会に出る、というプロセスが定着しています。
4年制大学進学率
18歳人口に占める高等教育機関への進学率(2023年3月時点)
働く母の背中を見て育った若者
今回の調査対象者の若者(19~22歳)が生まれたのは2002~05年。これは共働き世帯の数が本格的に専業主婦世帯を上回りはじめた時期です。共働き世帯はその後も増加し続け、2023年には専業主婦世帯の約2.5倍となりました。
また15~17歳の子どものいる世帯に限ってみてみると、2002年での母親の就業率は約67%でした。それが今回の調査対象者の若者が該当年齢となった2019年には8割を超え、フルタイム勤務の母親も4人に1人以上となっています。以前は子どもの幼少期には就業を控える母親も多かったものの、現在ではその傾向も弱まり、子どもの年齢にかかわらず働き続ける人が増えています。
現在の若者の多くは、小さい頃から母親の働く背中を見ながら成長してきたのです。
専業主婦世帯と共働き世帯数
末子15~17歳世帯の母親の就業比率