若者30年変化 Z世代を動かす「母」と「同性」 若者30年変化 Z世代を動かす「母」と「同性」

コラム Z世代大学生による「若者論」

当事者ならではの視点で、若者に起きている変化や
新たな潮流を自由にレポートしてもらいました。

​​​​Z世代との仲直りの仕⽅教えます

島⽥ ⼀歩

島⽥ ⼀歩

“喧嘩するけど仲が良い”Z世代の親子関係

近年、親⼦の距離感は近づいているように⾒えます。友達のように仲のよい親⼦が⾒受けられ、「友達親⼦」という⾔葉もいまや定着しました。友達親⼦は、親と⼦が対等なのでとても気楽です。親が権威的ではなく、対等な⽴場で⼦どもに接する親⼦関係です。どちらが偉くて、どちらが偉くないといった関係ではなく、なんでも話し合えるのも特徴です。

博報堂が2023年10月に実施したインターネット調査(全国20~60代男女3,900人対象)によると「10代の頃、親と⼀緒にショッピングに⾏くことがあった」と答えた人は、20代で77.8%、50代は55.1%と22%も増加しており、数字でも親子の距離感の近づきが実感できます。さらに「10代の頃、親と⼀緒に観劇やコンサート、映画に⾏くことがあった」としたのも、20代で46.4%に対し、50代は18.8%と、ここでも大きな差があり、今の20代においては、物理的な距離感に加え、コンサートや映画などコンテンツの嗜好でも共通性が見受けられます。

ただしその一方、「10代の頃、親に反抗的な⾏動をすることがあった」については、50代58%に対し20代も57%とほぼ差がありません。また「親に乱暴な言葉を使う」は50代44.7%に対し、20代47.0%、「親子で口喧嘩する」は50代60.6%に対し、20代58.4%、「親と口をきかないようにする」も50代47.9%に対し、20代45.3%と、これらはほとんど差がありません。

「友達親子」と呼ばれながら、今の50代が10代の時と同じくらいの割合で「親に反抗的な行動」をし、「乱暴な言葉を使」い、「口喧嘩」したり、時には「口をきかないよう」なこともある、それが今の20代のようです。こんな相反する傾向をデータで示すZ世代の彼らとは、どのようにコミュニケーションを取っていけばよいのか。特に彼らと喧嘩をした場合、あるいは険悪な関係になった際、どうやって関係を修復すればよいのか。それらを探るために、今回は20代の⼤学⽣男性4⼈⼥性4⼈の計8⼈へのインタビューを通じて、“喧嘩するけど仲が良い”親⼦関係やその仲直りの仕方のヒントについて迫って⾏こうと思います

ちょっとドライな買い物行動

ではまず男⼥8⼈に「親とよくいく買い物の場所は?」について聞いてみました。すると8⼈全員が「ショッピングモール」と答えました。ただし、ショッピングモールに着いてからは8⼈とも親とは⾏動が別々で、集合場所と時間を決めて、買い物⾏動は別々という人も8人中5⼈いました。その割には、「親と買い物に⾏くと必ず何か買ってもらえる」と答えた⼈は6⼈もおり、その中でも「洋服や靴など⽇⽤品」を買ってもらっている⼈は5⼈となりました。さらに、ショッピングモールに⾏く⼿段としては「⼦どもが運転する車」という人が5人で、車の中では、普段家族で話す機会が少ないため、世間話をしてコミュニケーションを図っているのだそうです。移動中の車中でも買い物場でもあまりべたべたしないのが、Z世代流のショッピングスタイルのようです。

続いて、コンサートや映画なども一緒に行く親子が多いということで、どんなコンサートや映画に行くのかもインタビューしてみました。⼥性Aさんは、中学の頃から親がジャニーズ、EXILEが好きで、その影響で⾃分も彼らが好きになったので、一緒にコンサートに⾏っているということでした。また、映画についても、特に男性は4⼈中3⼈が映画を⾒に⾏く理由として「⾒たかった映画(アニメ)が同じだったから」ということで、ここでも親の影響や親子一緒に同じコンテンツを楽しんでいる様子が伺えます。ショッピングに比べると、コンサートや映画などのコンテンツは親の影響や、親子で一緒に好きになるという傾向が伺えて、買い物ほどドライさは感じられない、「友達親子」と呼ぶにふさわしい結果となりました。

Z世代の喧嘩の原因は、コンテンツがらみ?

反抗期は⼦供から⼤⼈へと成⻑する過程で、誰しもが通ったであろう道でありますが、今のZ世代は親とどんな喧嘩をしていたのでしょうか。インタビューでは「親に対して反抗的な⾏動で、後からやりすぎたと思ったことがあるか?」「どんなことが“やりすぎた”と思うか」を聞いてみました。いくつか生の声をご紹介しましょう。
男性のA君は「中学生の頃、親の3DSを投げて壊した」と答えてくれました。喧嘩の発端は、中学⽣の頃、普段は勉強していなかったけれども、たまたま勉強していたときに「勉強しなさい」と⾃分の部屋に⼊ってくるなり⾔われ、イラッとしたことだったそうです。その後、親が余りにも悲しそうな後ろ姿を見せるようになった為、⾃分から先に謝って仲直りしたそうです。
同じく男性のBくんは「小学生の頃、親の録画していたテレビドラマを全部消した」と答えてくれました。喧嘩の発端は、⼩学校の頃、⼀⽇にゲームをしていい時間が決まっていたにもかかわらず、ずっとゲームをしていたため親に「やめなさい」と⾔われていたと。それでもゲームをしていたら、親にセーブしていない状態でゲームを奪われ電源を消されたので喧嘩になったということだそうです。1週間後に⾃分でセーブできなかったところまでゲームを戻した後、「ドラマの録画を消してごめん」と⾃分から謝って仲直りしたそうです。男性陣からは親に直接暴⼒を振るうのではなく、親が所持しているゲーム機であったり、⼤事なコンテンツに危害を加えるといった「反抗的な行動」をとっている傾向が見受けられました。そして仲直りは、親の悲しそうな姿を見たり、自分なりに区切りがついたりすれば、自ら謝ってくるというパターンが見られます。親からすれば「謝罪は寝て待て」ということでしょうか。

女性はどうでしょうか?Cさんは「親にテレビのリモコンを投げつけた」と答えてくれました。喧嘩の発端は、お⽗さんが間違えて⾃分のお気にいりのタオルを汗拭きに使っていることだったそうです。その後、お⽗さんは瞬時に何度も謝ってくれたため、⼀瞬の怒りだったと自分でも理解して、すぐに仲直りできたそうです。

またDさんは、洗濯してほしくなかった服を、前⽇にもそう伝えていたのにも関わらず、洗濯されてしまい、遊びに⾏くのに好きな服を着れなくなったことが発端で喧嘩になったそうです。その日は「親に何を言われても無視し続けた」とのことですが、その後、一晩寝たら次の⽇にはDさんが喧嘩のことは忘れていたので、仲直りしたそうです。

親とZ世代との仲直りのポイントは?

さて、それでは親御さんの立場に立ってみた時に、Z世代の子どもとうまく仲直りするためのポイントはなんでしょうか。大前提にあるのは「時が解決する」というのが一番有効な仲直りの仕方なので、待てるのであれば何もしないのがいいでしょう。しかし、そんな空気感が耐えれない、待てない!と思う親御さんも多くいるかもしれません。その時の仲直りの手順?を考えてみました。

1.まずはドライに接しつつ、冒頭の話でもあった通り、まずは気軽に買い物に誘ってみてはいかがでしょうか?買い物に出かけることによって環境や空気を変えることができます。そしてさらっと自分の子どもが使っている日用品を買ってあげることによって日頃から自分のことよくみてるなと子どもは嬉しい気持ちになると思います。

2.ここでコンサートや映画などでべったり一緒に時間を過ごすことによってさらに親子の関係値が高まると思います。仲直りをするための行動を、いつの間にかさらに仲良くなるためのエネルギーに変えることができます。

3.逆にNGなのは、早急に仲直りがしたいが為に最初からべたべたすることはやめましょう。
これは逆効果で子どもが親を嫌になる原因にもなると思います。積極的な行動が意外と逆効果な場合があります。私たちZ世代は放っておくとどうにかなる世代なのでドライなポイントとべったりするポイントを使い分けることが仲直りのコツなのではないでしょうか?

コラム Z世代大学生による「若者論」

本論とは異なる視点で、若者たちに起きている変化や
新たな潮流を自由にレポートしてもらいました。