生き方の脱デモグラが加速する
これまで自分の年齢に囚われずに生きられる人は限られており、多くの人はある程度、「年相応」を意識して生きてきました。しかし消齢化によって、これまで多くの人が抱いていた「若者は、高齢者は、こういうもの」という年齢に紐づく“らしさ”のイメージは弱まっていきます。それは「年齢とか、与えられた属性に縛られず、もっと自由に生きてもいい」という気づきにつながり、【生き方の脱デモグラ※】が加速することになるでしょう。
※デモグラ:年代や年齢、性別、居住地域などの生活者の基本属性を表す「デモグラフィック特性」の略語属性を変えながら生きる時代へ
個人の属性は「固定」のものではなく「可変」なものへ。年相応ではなく気分相応で、老若男女を柔軟に切り替えて生きる時代の到来です。「歳の差婚」は珍しくなくなり、【歳の差クラスメイト】も日常風景に。メタバースなどのバーチャル空間は【消齢空間】としての色彩を強め、年相応から逸脱したい生活者の新たな生活拠点となるでしょう。 生き方の脱デモグラをサポートする企業の動きも活況になり、まるで異なる生き方をAIが推奨してくれる【転生アシストサービス】などの利用も進みそうです。
高まる「実質年齢」への関心
かつてはその人の年齢とライフステージのリンクは強く、また健康度合いとの関連も比較的はっきりとしていました。それはすなわち「実年齢」が生き方や健康を考えるための基準として機能していたということです。しかし消齢化がさらに進むと、基準としての実年齢の意義は薄れていくことでしょう。実年齢にかわって重視されるのは、肉体年齢、肌年齢、精神年齢など、フィジカルやメンタルの実際の状態を測定して算出される「実質年齢」。生活者は「実質年齢」をもとに、自分が何歳相当なのか、何歳でありたいかを意識して、人生の目標を立てたり、健康ケアをしていくことになるでしょう。
「実質年齢」基準で再編が始まる
生き方の基準は「実年齢」から「実質年齢」へ。それに伴い、実年齢ではなく肉体年齢などを基準に保険料を決める
【実質年齢保険】のような商品・サービスが支持を集めたり、企業や行政が発行する【実質年齢証明書】が、新たな資格のように活用されていくことになるでしょう。仕事などの定年を実年齢で判断せず実質年齢に切り替えるなど【節目の実質年齢化】も、各方面で進んでいくかもしれません。