メンターのように用意周到な母は人生の先輩
母親・息子に対して同時に行ったインタビューでは、上から支配するのではなく、また「友達親子」とも異なる親子関係がみえてきました。様々なリスクや選択肢を先取りして検証してから息子に提示したり、まるで裏方のように息子を支えたり。子どもサイドは、親の愛情を認識したうえで素直にそれを受け入れ、ちゃっかりと活かし、また一方では息子が母に気遣いしているような様子も特徴的です。
双子の浪人生活を母子で乗り越え
父・母・双子の兄弟・妹の5人家族で、Aさん兄弟は21歳。大学入学とともに上京して2人暮らし中です。母と子で力を合わせて壁を乗り越えた経験についてそれぞれに聞いたところ、母子の意見は「大学受験」で一致。双子の兄も一緒に過ごした浪人時代、母親のサポートが大きかったとのこと。東京での受験日に向けてホテルを予約してくれたり、試験本番の日も3人で上京したり。2人とも見事合格し東京に引っ越す際には、お母さんが大号泣したそうです。
母の背を負って「剣の道」へ
剣道6段、地元の剣道界では指導者としても知られた存在であるお母さん。Aさんが小さい頃から、サッカーやバスケットボールなどさまざまなスポーツに触れる機会を用意してきたそう。しかし、Aさんがいちばん興味を抱いて続けたスポーツは、母と同じく剣の道。お母さんには、高校時代の部活でも指導を受けています。現在2段で、大学では同好会に所属。「母には3段を取れ、と言われています」と苦笑も。
母へ毎日送る手料理通信
母親のことを「人生の先輩」と語るAさん。剣の師でもあり、さまざまな場面で先回りして選択肢を用意してくれる、といった体験からの表現でしょうか。お母さんから見てAさんは「片想いの恋人」だそう。そんな母親に東京のAさん兄弟は、毎日のように自分たちがつくった手料理写真をLINEで送っています。生活状況や健康状態がわかるだけでなく、大切なコミュニケーションツールにも。また、長い休みには必ず地元に帰り、父や母、妹と一緒の時間を過ごすという家族への気遣いもみられました。
Aさん母(50歳)・Aさん(21歳・大学3年生)
母は父の経営する会社で経理などを担当。妹は地元の大学に通っています。 Aさんが好きなお母さんの手料理は「唐揚げ」。東京では自炊しているのでたまに作るそうですが「ちょっと味が違いますね」とのこと。