生活動力2006 - 2014
圏づくり
私が生きる場 私を活かす場
生活総合研究所では、生活者の価値観変化を探るべく、様々な調査、取材を続けています。震災後に見えてきたのは、自分のため、家族のため、社会のため、「自分のできることはなんだろう」と自問自答し行動する生活者の姿でした。人々は個として自律した上で、他者と連帯しようとしていたのです。ムードとしての連帯でなく、自律した個同士の連帯。今、人々の間で叫ばれているつながりは、これまでのそれとは性格を大きく異にしつつあります。
生活者が生み出すこうした新しいつながりを「圏」と名付けました。「圏」は、これまでの縁、ネットワーク、コミュニティとは違い、既存の制度・組織・地域区分といった枠組みに縛られません。興味のあるテーマや関心の元、幅広い人たちが自発的に集まっています。自分の専門性や能力を発揮する人も多く、人々が主体的に自らの生活圏を再編する「圏づくり」が今後ますます進むと考えられます。本書では、「圏づくり」という新しい動きが生まれた背景や「圏」の特徴、さらに「圏づくり」が生み出す未来の暮らしや社会についてご提言しています。