使い方、効果、関係… 「ネオダジャレ」にまつわる3つの新発見
2026.04.20
ことば研究を担当しています、松井です。月刊 生活総研2025年7月号で発信した若者に流行る「ネオダジャレ」について、おかげさまでテレビ、ラジオ、雑誌、WEBなど様々なところで取り上げていただきました! 今回は、そうした反響を受けて研究を進めた「ネオダジャレ」研究の続編をお届けします。
ネオダジャレとは?
まず、ネオダジャレとは何なのか。私たちはふたつの観点で定義をしています。ひとつ目は、コミュニケーションのなかで便利に使えるダジャレであることです。これまでよくみられたダジャレの代表作「布団がふっとんだ」のように、それ、普段の会話のなかでいつ使うの? というギャグとしてのダジャレとは異なるものとして考えています。
ふたつ目は、センスや教養を感じられるちょっと知的なダジャレであること。実際に使われているものは、「トイレに行っといれ」のように昔からある日常的なものも多いですが、「了解道中膝栗毛(了解+東海道中膝栗毛)」などに代表されるように、日常では使わない言葉がかかっている新しい知的なタイプが現れてきているとみています。
ここまではネオダジャレの概要でしたが、ここからは新たな発見を3つご紹介していきます。
【発見1:使い方】ゼロから作らず既存ツールでニュアンス選び
発見1は使い方についてです。若者が使っている様子をみていくと、使いやすいオールドダジャレも使われていることがわかってきました。そして、「ダジャレを使っていますよ」と見せてくれたもののなかには、チャットでのスタンプやリアクションボタン、語尾に加えた絵文字(下記参照)のように、既にあるデジタルツールが活用されていました。

ダジャレは、簡単そうにみえて、いざ作ってみると結構難しいものです。しかし、既にあるツールを使えば、そのなかから軽やかに、かわいく、楽しく、面白くなど、自分がコミュニケーション内で出したい雰囲気やニュアンスを選べばよいだけなので、とても使いやすく、広がりやすいようです。

【発見2:効果】コミュニケーションを和ませる効果は8割が実感
発見2は、ダジャレの効果についてです。私たちはダジャレに関する調査をいくつか実施していますが、日頃からコミュニケーションのなかでネオダジャレのようなことば遊びを使う人と、使わない人、それぞれに3日間、コミュニケーション内でことば遊びを使ってもらい、その様子を詳しく書いてもらうダジャレ日記調査を行いました。調査内では「ことば遊び」としていますが、例として「さよなランナウェイ」「ごめんなサイドステップ」「最高隆盛」などの(ネオ)ダジャレを示したので、調査に参加したみなさんは自らのオリジナルダジャレを使ってやりとりをしていました。
そこで、3日後の感想としてどう感じたのか? を聴取したところ、日頃ことば遊びをしない人で6割、ことば遊びをしている人では8割が、「ことば遊びでやりとりが和んだり、コミュニケーションが円滑になった」と感じたと回答しました。


コミュニケーションのなかで使いやすいダジャレであるネオダジャレだからこその効果だと感じていますが、なかには突然ダジャレを使ってメールやチャットをしてもスルーされたり、期待した反応がもらえず悲しい思いをした日記の記録もありました。ネオダジャレを使えばすぐ仲良くなれる訳ではありませんので、言いあえる関係の確認は重要になりそうです。
【発見3:関係】実はおやじギャグではなくおかんギャグ? 母子関係とダジャレ
発見3は、先ほど触れたダジャレを言いあう関係に着目し、ダジャレのやりとりが親子間で受け継がれているのではないか? という仮説も含むものです。ダジャレ日記調査では、誰とやりとりをするのかはご本人の自由なのですが、多かった順にみていくと、友人や配偶者に次いで母親の存在感が大きいことがわかります。母と父の差だけでなく、友人と職場の同僚、配偶者と恋人にも結構な差がみられますので、ダジャレを言いあえる心の距離が明らかになっているといえます。

また、生活総研では若者30年変化の研究もしていますが、そこでも親子関係、特に母親との関係が30年前よりも強くなっていることが明らかになっています。思い起こすと、私の母もよくダジャレやギャグを言っていた記憶があります。ダジャレを言いあえるような親密な家族関係が以前よりも強まっていることで、オールドダジャレも引き継がれながら、若者のなかでネオダジャレが現在活性化してきているのかもしれません。

そもそも、ネオダジャレは昔からあったようなダジャレと同じなのでは? というコメントをいただくこともあります。ネオという名前がついていても、まったく新しいという訳ではなく、江戸時代の「地口」や、平安時代の「掛詞」などにもある、日本人に脈々と受け継がれていることば遊びを楽しむ心が、流行のリバイバルのように現代にも少し進化して表れているのが、現代のネオダジャレではないかと感じています。
そして、若者とネオダジャレを作成していると、韓国語を使ったダジャレも飛び出してきました。これからは国際的なダジャレも出てくる兆しも……⁉ 目が離せないネオダジャレを中心に、今後も面白い生活者の言葉を研究していきたいと思います。