食の生活元年

食の生活元年~「胃もたれ」「ごはん少なめ」は何歳から?

2026.01.19

2026 1 月号

クリスマスのごちそうやケーキ、忘年会、年越し蕎麦、年明けうどん、おせち料理、お雑煮、新年会……年末年始にかけて私たちの胃はフル稼働。年齢にもよると思いますが、「食べすぎ、飲みすぎで、胃もたれしちゃったよ~」という方も少なくないのではないでしょうか。では、いったい何歳ぐらいから「胃もたれ」を感じるようになるのでしょうか。
 
昨年4月に始まった『月刊 生活総研』。創刊号の特集「令和の生活寿命」では、「ある生活行動ができなくなったり、したくなくなったりする年齢」、つまり「終わりの年齢」をご紹介しました。今回は、逆に「始まりの年齢」を「生活元年」と名付けて、誰にとっても身近な食生活において「ある行動ができるようになったり、したくなったりする年齢」のイメージを調査した結果をご紹介します。(博報堂生活総合研究所 「食の生活元年」調査 首都圏・阪神圏・名古屋圏、20~69歳男女、1,500人、2025年9月、インターネット調査)

食の生活元年

子どもは16歳から消費者に

最初にご紹介する生活元年は、子どもだけでファミレスなどに行くようになる【子ども外食元年】。全体で16歳10カ月、つまり高校1~2年生、といった結果でした。この結果をみて、「月刊 生活総研」の編集長は、「長男が高1で、まさに“子ども外食元年”を実感しています。中学生だとなかなか子ども同士でファミレスには行かないですが、高校生になってから、急に行くようになりました」と語っていました。確かに、ファミレスなどの飲食店で、高校生と思しき人たちが集う姿を見かけることも多々ありますから、この結果には妙に納得です。

そして、注目したいのは、「子ども外食」という消費を生み出す主体は、子どもだということ。そう、16歳から子どもはビジネスにおける大切な顧客、消費者としてデビューするのです。

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優先したいのは、親よりも好きな人

好きな人を食事に誘うようになる【食事デート元年】は19歳10カ月。社会人デビュー前の人も多いでしょうに。がんばって働いたバイト代を手に好きな人を食事に誘う光景が目に浮かび、青春っていいなぁ~としみじみしてしまいます。


親に自分のお金で食事をおごるようになる【親にごちそう元年】は25歳7カ月。初任給をもらって数年後といったところでしょうか。そして、【親にごちそう元年】は、【食事デート元年】の5年9カ月後でもあります。親よりも好きな人。そんな気持ちが時間差に表れているようです。

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手作り中心年数は、女性が男性の2倍以上

家族や自分のための食事を自分で作るようになる【自炊元年】は24歳0カ月。市販の総菜や弁当、外食で食事をとることが多くなる【中食&外食元年】は、33歳11カ月。自炊を始めてから、中食&外食に向かうまでの“手作り中心年数” (【自炊元年】24歳0カ月と【中食&外食元年】33歳11カ月の差)は、約10年(9年11カ月)となっています。

また、この“手作り中心年数”には男女の差がみられ、男性の調査対象者が考える5年10カ月に対して、女性の調査対象者は14年2カ月で2倍以上も長い結果となりました。30代になり、仕事や家事、子育てに追われるようになっても、女性では手づくり中心の食生活が長く続いているという実態が、この調査結果の背景にあるのかもしれません。

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女性客が男性客を連れてくる

お酒をおいしいと思うようになる【美酒元年】は34歳4カ月。レストランでの外食で、ひとり1万円以上のお店にも行くようになる【美食元年】は40歳8カ月でした。いずれも女性の調査対象者がイメージする年齢が、男性の調査対象者が考える年齢よりも若く、男女の差は、【美酒元年】1歳10カ月、【美食元年】1歳7カ月でした。ということは、美酒にも美食にも女性が早く目覚めるわけです。飲食業などを中心に「女性客が恋人や夫、男友達といった男性客を連れてくる」ことを重視されているといった話も聞いたことがありますが、今回の調査結果をみると、こうした集客戦略にリアリティがあるなぁ~と感じるのは私だけでしょうか。

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加齢による食の変化は男女共通?

疾病予防や肥満防止など健康を考えた食事をするようになる【健康食元年】は42歳5カ月。その4カ月後には、こってりした食事よりも、あっさりした食事を好むようになる【あっさり元年】(42歳9カ月)が訪れます。いずれも男女の差は小さく、1歳未満です。歳を重ねるにつれ、訪れる健康観や味覚の変化は男女共通なのかもしれません。

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大盛りに別れを告げ、あっさりに目覚める42歳

ところで、冒頭で「終わりの年齢」である「生活寿命」について触れました。実は、今回実施した「食の生活元年」調査と同じ調査内で、「食の生活寿命」についても、いくつか聴取しています。ここで興味深い結果をお伝えします。

行列してまでラーメンを食べようと思わなくなる【行列麺寿命】が42歳5カ月で、【健康食元年】と同じ年齢。そして、大盛りを注文することができなくなる【大盛り寿命】は42歳9カ月で、【あっさり元年】と同じだったのです。【行列麺寿命】【大盛り寿命】が尽きるから、【健康食元年】【あっさり元年】が始まるのか。はたまた、その逆か。「生活元年」と「生活寿命」は表と裏の関係なのかもしれません。

食の生活元年

「生活元年」から新市場を発想しよう

最後にご紹介するのは、タイトルにある【胃もたれ元年】(脂質の多い食事や、食べすぎ・飲みすぎの後に胃もたれするようになる)で、45歳10カ月でした。その後、3年2カ月ほどすると胃もたれを避けるためでしょうか、飲食店で「ごはんは少なめでいいです」と言うようになる【少なめ元年】が始まります。性別の調査結果では、男性51歳11カ月、女性46歳1カ月ですから、ほぼアラフィフ。ここから、「少なめ」ニーズが誕生して、その欲求を充たすための消費が人生100年に向かって長く続いていくのだろうと思われます。

食の生活元年

総務省統計局によると、日本の総人口に占める50歳以上の割合は50.4%、史上初の5割超えとなりました(人口推計-2025(令和7)年5月報-総務省統計局)。ということは、少なめニーズに対応してくれる商品やサービス、企業などが増えていけば、巨大な「少なめ市場」も生まれる可能性だってあるのです。
みなさんも、「生活元年」に着目して、新市場を発想してはいかがでしょうか。