Part.4 2030年の「時間」の風景 Part.4 2030年の「時間」の風景

“新・時間生活者”がつくる
2030年、私たちの生活は
どのように変わって
いるでしょう?
“新・時間生活者”がつくる2030年、私たちの生活はどのように変わっているでしょう?

新しい時間の“慣習”が生まれる

時間を合わせないことや、他人と一緒にいるときのながら行動が許容され、コミュニケーションやマナー、人間関係のあり方が変わる。

新しい時間の“尺度”が生まれる

時給が分給になるなど労働の時間や、雇用の契約期間、時間制サービスの基本時間を、短い単位で管理するシステムになる。

新しい時間の“取引”が生まれる

時間を資本と捉える意識が強まり、時間を厳密に値付けして売る、買う、交換するビジネスが盛んになる。

これらのように、2030年には時間が溶けることで、日常の風景が様変わりしているに違いありません。ここでは、家族、街、仕事を例に、どのような風景が広がっているかを考えてみます。

家族の風景

家族は、同じ時間・空間を長く共にするものでしたが、夫婦、子ども各々が、自分の時間を優先していけば、一番近くにいるのに一番時間が合わないというケースも想定されるでしょう。そのため、生活時間が合わなくても、一緒にいなくても、絆を保てるようにするサポートが、未来には大事になっているかもしれません。

未来の兆し 事例

tonari

tonari

Courtesy:〈一般社団法人 tonari〉https://tonari.no/

離れた相手とまるで同じ場所にいるかのような自然なコミュニケーションがとれ、一人ひとりが「今いたい場所」にいられる環境を実現する。

未来の発想

遠隔レストラン

大手ファミレスや居酒屋チェーンが、VR空間での店舗を経営。出張先の妻と、自宅の夫、子どものもとに、同じ料理が配達され、VR上で一緒に食事を楽しむことが当たり前に。

あの頃リピーター

家族が過ごしたすべての時間と、それに紐付く感情が記録され、「いい記憶」を映像で簡単に追体験。部活で息子が活躍したあの試合の興奮に、家族一同で浸り続けることができるようになる。

ギャップキャップ

祖父母、両親、子どもの世代間ギャップを埋めてくれる帽子。世代間で異なるマナーを注意すると、AIが即時に世の中のデータと流行、相手の性格を考慮し、説き伏せてくれる。

ビューイングシェア
授業参観

子どものコンタクト、眼鏡の視点を共有できるようになる。日にちを決めて学校に行く授業参観ではなく、家や会社にいながら、好きなときに好きなだけ授業風景を見られる。

街の風景

時間に対する意識が異なる不特定多数が混ざりあう街なかでは、全員に納得のいく時間を提供することは難しくなるでしょう。
そのため、自分が望む時間の使い方に合わせて、時間をコントロールできるサービスが溢れているかもしれません。

未来の兆し 事例

Frisson

Frisson

Courtesy:MIT Media Labhttps://www.media.mit.edu/projects/frisson/overview/

電気信号により、人体に鳥肌を再現して、感動した感覚を味わうことができるウェアラブル端末。音楽、映画、読書などの体験価値を擬似的に上げ、誰しもが満足できるようになる。

 

未来の発想

涙の倍速上映

映画館でも倍速の上映が行われる。
擬似的に感動を促進する椅子に座ることで、通常の速度と同じ感動が味わえる上に、会場内みんなが感動する一体感を味わえる上映として、好んでリピートする人も。

時差結婚式

結婚式は、同じ時間に全員が集まる行事ではなくなる。
VR上で自分が都合の良い時間に参加してコメントや余興を残し、全員分の参加データを重ねあわせて、1週間後に完成した式を、個々人で楽しむ。

ちょうど良い目覚まし

天候、電車遅延などの社会情報、その日の体調などの自分情報といった、あらゆる状況を考慮。絶妙にちょうど良い時間に起こしてくれ、無駄な早起きが防げるようになる。

青時間調整信号

カメラにより、高齢者の歩行スピードや、待っている人のイライラ度合いを認識し、青信号の長さを調整する信号機が導入される。
そこに生活する人のスピードに合わせて街の時間がカスタマイズされることで、街によって流れる時間も異なっていく。

仕事の風景

本当に生身として時間を割きたいことかどうかをシビアに判断して、自分がやらなくて済むことはAIなどに積極的に任せる生活者が増えているでしょう。
現在よりもはるかに多くのタスクを並行して済ませることによって、1日を24時間以上に活用することが普通になっているかもしれません。

未来の兆し 事例

Nebula Genomics

Nebula Genomics

Courtesy:Nebula Genomicshttps://nebula.org/

自分の遺伝子情報を提供すると、研究に使われた際に報酬を受けとれる。報酬を自動的に得つつ、自分の生身は好きなことに使うことができる。

未来の発想

ハイパーワーキング
スペース

照明の明滅と人間の錯覚を利用し、時間の流れをゆっくり感じられるワーキングスペースができる。
1時間の作業で、感覚的には3時間分の作業が可能となり、仕事時間を圧倒的に短縮できるようになる。

タイムスキル・
インストーラー

人の時間の使い方の記録を買うことができるようになる。
有名な経営者やビジネスマンのデータを、自分の生活にインストールして同じ経験をし、人生のショートカットを図るプログラムが提供される。

二重アイドル

アイドルは、歌やダンスの練習など、生身を使う時間に集中するために、AIに人格をコピー。
ネット上でのファンとの交流や、インタビューの仕事はAI任せにした、生身とAIの二重生活を送る。

同時無人会議

生身で会議に出席することはほぼなくなり、代わりにAI同士による会議で仕事が進むようになる。
会議の調整自体もAIが行い、自分がかかわることなく、ありえない数の会議を並行でこなし、その結論のみを受けとるというスピーディな仕事の進め方が広まっている。