所長あいさつ

1997・2007・2017年―
「いつの時代も子どもは変わらない」論のゆくえ

本レポートは博報堂生活総合研究所が今春行った10年ぶり3度目となる子ども(小4~中2)を対象とした調査結果を、1997年・2007年と時系列比較したものです。今回もできるだけ過去2回と共通した質問項目を聴取しましたが、10年前と比較して統計的に「有意に変化があった」と認められる項目数は、全体の40%にとどまることがわかりました。“いつの時代も子どもは変わらない”・・・ どうやら、これは一面の真理と言えそうです。

とはいえ、この10年間を振り返っても、「東日本大震災」をはじめとする出来事や、多方面に大きな影響力を与えるスマホの普及などの大きな変化がありました。それを受けてか、有意に変化があった質問項目は「人間関係」「情報・消費」に集中していました。しかも、この領域で子どもたちは我々の想像を超えたコミュニケーションや消費行動を生みだしつつあります。この胎動は、5年後・10年後の日本のスタンダードになるかもしれません。

詰まるところ、子どもは変わったのか?変わっていないのか?

その答えは、どちらも「Yes」であり、それぞれの結果から次の社会や市場を考えるヒントが見つかることでしょう。本レポートが日本の未来を考える一助になれば幸いです。

これがタダ・ネイティブだ!

サービスやコンテンツはタダで利用できるのが当たり前。そんな環境で育つ今の子どもたちを、私たちは「タダ・ネイティブ」と名付けました。
彼ら・彼女らは無料で利用できるツールを駆使し、友達との新しい遊び方やコンテンツの新しい楽しみ方を生み出しています。さらに、タダが前提だからこそ、お金を払うことにも今までにはなかった意義を見つけ始めているのです。
さあ、タダ・ネイティブの世界を覗いてみましょう!

ネット

ネット接続デバイスはひとり当たり約2種類

ネット接続に利用するデバイスの種類 1.9
小学生1.9台/中学生1.8台( 「ネット接続なし」 は6.1% )

スマホ

小学生の2割、中学生の6割は専用スマホ

自分専用のスマートフォン保有率 37.6%
小学生21.6%/中学生61.6%

おこづかい

おこづかいをもらう子は減少

1997年

78.9%

2007年

72.9%

2017年

63.0%

サイト

検索は9割、動画は8割、チャットは3割が利用中

動画共有サイト
80.5%
小学生74.8%/中学生89.1%

チャットアプリ
28.9%
小学生16.5%/中学生47.5%

ちょきん

おこづかいを使わずに貯金する子が増加

1997年

21.8%

2007年

37.9%

2017年

53.8%

(おこづかいの主な使い方が「貯金をする」:もらっている人ベース)

親子関係も緊密に

大人もソフトに

人間関係に関するネガティブな
項目が、すべて過去最低

やさしく、礼儀正しく

いい成績と自由が欲しい

過去最高の幸せ感

  • ネット
  • おこづかい
  • サイト
  • スマホ
  • ちょきん

エクセルダウンロード

1997年→2007年→2017年の3時点20年間にわたって、子どもの意識や欲求、行動の変化を追うことができる調査データを、無料でダウンロードできます。

・集計表には、全体、性別、性学年別、母親の職業別のデータを収録
・シンプルな操作で時系列グラフを自動作成する機能付き
・複数の項目を選択してのグラフ出力も可能

ダウンロードはこちら