家族のオープン化
1967年に「核家族」という学術用語が流行語にまでなったことが象徴するように、親族から離れて夫婦と子どもだけに「閉じる」生活は、長らく望ましいものとしてイメージされてきました。しかし、平成に入って人びとは家族を外に「開く」方向へ舵をきりました。家族は、同居か否か、血縁者か否かを問わずメンバーを受け入れ、時と場合によりサイズや質を変える緩やかな集団になろうとしています。
2-1高まる親族への家族意識
親や兄弟姉妹といった親族を家族の範疇に含める夫婦が増えています。親については、そもそも長寿化の影響で存命中の人が増えたことに加え、近居をしている人が増えていることがその要因でしょう。親族と同居はせずとも、緩やかに家族であると感じられる環境になっているようです。
家族といって思い浮かべる人
家族といって思い浮かべる人
離れて暮らしても
家族の絆は弱くならない
毎週水曜日は、夫と子どもと3人で夫の実家に行き、夕食を食べている。子どもを預かってもらうこともあり、とても身近。 (40歳妻・子あり)
2-2友人にも広がるメンバーの輪
親族だけにとどまらず、友人までも家族の範疇に入れるという人も増えています。絶対値としてはまだ多数派とはいえませんが、今後、家族の概念を血縁とは無関係なものへと揺るがす可能性のある動向です。
自分の親しい友人は
家族のようなものだと思う
友人と家族ぐるみの
つきあいをしている
休日はホームパーティーを開き、友人やその子どもを招待。
家族ぐるみでつきあっている友人もいる。(29歳妻・子なし) (40歳妻・子あり)
「家族」概念は、かつては血縁・婚姻・養子などの制度で定義されるものだった。だが、アメリカではシングルマザーやステップファミリーなどの増加もあり、家族はもっと多様な概念として捉え直されている。家族を制度ではなく、個別の関係性でみるならば、例えば、クラブ活動を共にする親密な関係は家族だし、経済的責任でつながる家族など、様々なかたちがありうる。
(お茶の水女子大学 石井クンツ昌子教授)
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