ハタチが贈る感謝の花束 若者が花束に込める自分だけの物語
2026.06.15
研究員で花屋の嫁の近藤です。皆さんの日々の暮らしのなかに「花」はありますか? 花を贈ったりもらったりしたことは? どうやら最近、若い人たちのなかで花の価値が見直されてきているようなんです。
「もらう花」から「贈る花」へ。成人式の景色が変わった
「ここ数年、なぜか1月に売り上げが跳ねるんだよね」。花の卸売市場を経営している夫のこの一言が、今回の記事を書くきっかけでした。気になっていろいろ調べてみると、素敵な変化が起きていたんです。これまで成人式の花といえば、新成人がお祝いとしてもらうものだったり、自分を着飾るアイテムだったり、というのが常識でした。
ところが今は新成人自らが贈り手となり、両親や恋人へ感謝の花束を贈るのがちょっとしたブームになっているのです。それも既成のブーケではなく、一人ひとりのイメージや伝えたいメッセージに合う花の色や種類、装飾品を自分で選んでオリジナルの花束をつくるんだとか。
切り花市場を救う「若者」という希望の光
この小さな兆しは、実は大きな数字の変化としてもあらわれています。他年代の切り花支出額が減っているなか、29歳以下の若年層だけは、この5年間でなんと4倍に急増しているのです。

最近ではソーシャルギフトを活用してちょっとしたギフトとして友人に花を贈ったり、洋服を買ったついでに一緒に売ってあるお花を買ったりする若者も増えているそうで、若者のあいだでお花を購入する行為が日常化していることも、消費額上昇に影響しているのかもしれません。
タイパ世代があえて手間をかけて花を選ぶ不思議
効率やタイパを重視する若者が、感謝を伝える手段としてなぜ花を選び、贈るのでしょうか。その背景には若者のしなやかな価値観の変化がありそうです。最近、編み物や手作りアクセサリー、陶芸など「手間をかける楽しさ」が若者を中心に見直されていますが、花も同じかもしれません。
どの一輪を選び、どう組みあわせて自分の想いを形にするか。その「自分なりに編集するプロセス」自体を楽しんでいるのです。“SNS映え”はもちろんですが、それ以上に自分の手で物語を紡ぎ、あたたかな「手ざわり感」のある絆を確認したい。そんな若者のピュアな欲求が花と相性が良いのかもしれません。
「管理が面倒」「タイパが悪い」という短所は、見方を変えれば「丁寧に向きあう贅沢」という新しい価値になります。若者と花の新しい関わり方のなかには、これからの時代の「心のゆたかさ」「新しいコミュニケーションの形」を紐解くヒントが隠されているのかもしれませんね。
皆さんも、大事な人に自分だけの物語を込めて、お花を贈ってみませんか?
「ネタ会」とは?
生活総研では毎月1回、研究員が身のまわりで見つけた生活者についての発見や世の中への気づきを共有する「ネタ会」を開催しています。粒違いの研究員が収集してきた採れたての兆しをご覧ください。