第5回
ローカルアイドルという学校?!
from 兵庫県
ぼくが住む明石には、「YENA☆(イエナ)」という6人組のローカルアイドルがいます。
ちょいちょい小さなイベントを行っており、地元ではけっこう人気があります。
明石の女子中高生にとっては、「ちょっと華やかな友達」といった感じのようです。
そんなごくローカルでごく身近なアイドルですが、実は、2014年にはホリプロが主催する「ご当地アイドルNo.1決定戦」で上位20組に残っていたりします。
ちょっと調べてみたら、2015年12月現在、東京都以外でも、46道府県に652組ものローカルアイドルがいるそうです。
ぼくはこれ、いいことだと感じます。
またひとつ、新しい「大人のなり方」が増えたな、って。
かつてJリーグのホームタウン構想のおかげで、J1トップチームを頂点とした地域密着のサッカー教育システムが整い、多くの地域で学校とは異なる「大人のなり方=大人化システム」ができました。
学校での勉強を中心とした評価軸とは違う評価軸、学校区を超えた地域チームゆえの学校とは違う人間関係、学校で見る大人とは違う大人。そんなものによって、学校の先生に導かれる大人のなり方とは違うルートができたように思います。
そしてローカルアイドルも、ちょうどかつてのサッカーと同じように、学校とは違う新しい「大人のなり方」になるかもしれない。そんな風に思うのです。
アイドルとして人から愛されるには、歌やダンスだけじゃなく、立ち居ふるまいのマナーやらコメント力やら、いろいろ身につけなきゃいけない。すごい大人化システムです。
彼女たちの頂点はAKB?ももクロ?
学校はもちろん、これからも大人になるためのルートの一つとして、大きく機能すると思います。でも、すでに唯一のルートではない、という感覚が当たり前になってきています。ぼくは、この「学校以外」感覚がいいことだな、と思うのです。
なぜなら、多様性をやさしく認め合う社会を「いい未来」とするならば、そんな未来は多様な「大人のなり方」からしかできないと思うから。
きっともう間もなく、「ミスコン反対!」なんて言う人は完全にいなくなると思います。(笑)
多様性を認め合う社会とは、評価軸の多様性を認め合う社会。それは、多様な大人のなり方から実現していく。幸せの多様性は、幸せのなり方の多様性。そんなニオイがどんどん強まっているように感じます。
またこの「学校以外」感覚は、「東京以外」で先行しているように思います。
変化は、時代に適合しすぎないところで兆しとなって表れるのでしょう。
うちの近所の高校生たち、とても楽しそうです。ローカルアイドルをやっている友達のことも温かく応援しています。そんな彼ら彼女らが大人になったら、きっと今よりやさしく楽しい世の中になるな、と思います。
※ちなみに、明石市立天文科学館は子午線の町明石のシンボル。同館のプラネタリウム投影機「カールツァイス・イエナ」が、「YENA☆」というユニット名の由来です。