第10回
人と人を繋げる夏祭り
from 青森県
先日、青森出張の際、青森ねぶた祭りと八戸三社大祭を見る機会があった。
私は、青森出身なので、青森ねぶたの囃子を聞くと「じゃわめぐ(津軽弁でワクワクする意味)」し、八戸三社大祭は、神事的要素が強いのでジワーッと染みる。
特に今年は青森も暑い日が続き、引き手、囃子方も老若男女、汗だくで頑張っていて、涙腺が弱く弱くなった私には、一層「グッと」来る。
考えてみると、東北には、青森県(青森ねぶた祭、弘前ねぷたまつり、五所川原立ねぷた、八戸三社大祭)、岩手県(盛岡さんさ踊り)、秋田県(秋田竿灯まつり)、宮城県(仙台七夕まつり)、山形県(山形花笠まつり)、福島県(福島わらじまつり)と7月末~8月上旬にかけて開催されます。これらは、国の重要無形文化財に指定されている祭りも多く、また北に行けばいくほど熱気を帯びた(ラテン的と言ってもいい)祭りになる気がしている。
さて、そもそも「祭」って何なのか?何故あらゆる世代がワクワクし、感動さえ覚えるのか?を考察してみようと思う。
まず、「祭り」を調べてみると、「まつらうこと」と出る。「まつらう」とは、神様に謹仕する、服従・奉仕するという意味の様だ。「神をお迎えし、お供え物を奉り、人の暮らしを守ってもらう」という意味合いが、祭りにはある事になる。
ここで注目したいのが、「祭り」が実施される時期において、その意味合いが大きく違ってくる事である。春・秋に開催されるのは、豊作祈願と感謝祭であり、夏は疫病退散と虫送り・台風除けと大きく分けられるのだ。四季がはっきりしている、いかにも日本らしい現象であるし、フェスティバル的な意味合いだけではなく地域の生活に深く根付いた神事的な要素が大きい事に気づかされる。
という事は、人々の生活に欠かせない大切な行事であり、地域の中で人から人へと代々受け継がれてきた伝承なのである。
仕事の関係もあって、祭りの準備をしている所を実際に取材する機会があった。そこで出会った光景に心打たれるシーンが多々あるのである。例えば、見るからにヤンキーのお姉さんが、小学生に手取り足とり、囃子を教えている姿。手は豆だらけで、囃子の練習で出来たのだという。教えられている小学生がお姉さんを見る目は、「かっこいい~」という憧れの存在であった。「ああいう風になりたい」とも言っていた。囃子が上手で、一生懸命教えてくれるお姉さんは、小学生にとってヒロインなのだ。
これこそ、人から人へ長い時間をかけて、生きた伝統文化を伝えている事であり、都市化によって人間関係が疎遠になった地域住民の心を一体化できる場なのだ。日常の中生活の中に、「祭り」という非日常の空間を作り出すことによって、人々は意味を実感する営みを続けてきたのである。
だからこそ、それらを披露する場である「祭り」を見たり、参加したりすると、ワクワクし感動する事ができるのだろう。
今後も、地方では少子化・高齢化が著しいスピードで進んでゆくが、「祭り」を継続してゆく事が、地域コミニティの活性化、日本の伝統文化の継承に一役買う事になる様な気がしている。
是非皆さんも、見るだけでもいいので地域の祭りに積極的に参加し、みらいへむけ地域の「祭り」文化を残していきませんか。