第5回
料理好きな男は転職を考えてるかも
新しくなった「生活定点」調査のウェブサイト。
なかでも、「似てるかもグラフ」が面白くて、ときどき眺めています。
時系列の推移を示す折れ線グラフの「カタチ」が似ている調査結果を、約4,200万通りの組み合わせの中からプログラムで自動抽出して重ねてみせてくれるのが、「似てるかもグラフ」。
例えば、こんな感じ。
例1)
室内に観葉植物や鉢植えかがある× 友達のような夫婦関係がよいと思う
(男性40 代)
https://seikatsusoken.jp/teiten2014/answer/581-863-6.html
例2)
自分へのごほうびとして自分にプレゼントを買ったことがある × 運命を信じない
(男性)
https://seikatsusoken.jp/teiten2014/answer/989-1484-2.html
「似てるかも」って感じるのは、なにか理由があるからかもしれないし、全くの偶然かもしれない。興味のおもむくままに見ていると、予想外の出会いが待っていたりします。
ときには、こんな風に、「どきっ」とすることも。
例3)
広告は新しい暮らし方を教えてくれると思う× 若さが欲しい
(男性40代)
https://seikatsusoken.jp/teiten2014/answer/1188-82-6.html
例4)
料理を作ることが好きな × 転職したい
(男性40代)
https://seikatsusoken.jp/teiten2014/answer/421-292-6.html
調査結果やデータを「仮説をもって臨むべし」、あるいは「戦略のフィジビリティを検証しよう」として見ることが普通は多いと思います。
仕事だし、提案を通したいし、というわけなんですが、調査データもある視点から世界の有り様を映しだすものだとすると、意外と僕らは、そんな「事情ありき」で、世界を眺めていることになる。
(生まれたばかりの子どものように、世界をフラットに眺めることは、社会人にもなると、そもそもとても難しいわけなのだけど。)
しかし、変化のスピードがとても早く、世の中に表出している「課題」といわれることも、その背景の要因が複雑に絡み合っていて、一見するとどこに真の「課題」が潜んでいるのか見えにくいのが、今の時代です。ひとつの「文脈」やこちらの「事情」を頼りにしていては、本当の課題を見つけ出したり、有効な解決策をつくりだせるとは限りません。逆に、そこから遠ざかってしまう危険性の方が大きいかもしれない。
むしろ、自分の中に既にある「文脈」(と、それらを無意識的に導きだしている自分の「経験」や「実績」など)を投げ捨てることができる、異なる「文脈」をオープンに取り入れていく、そんな「コンテクストフリー」「マルチコンテクスト」な姿勢のほうが、真の「課題」を見つけ出し、新しい創造性を生みだせるのでは? つまりは、「未来」につながっていくのでは?なんて思うのです。
少し話が広がってしまいました…。
で、この「似てるかもグラフ」。
これって、自分の中の「文脈」を揺さぶってくれる、ときには壊してくれる心地よさを秘めているように思います。そこが面白いなと僕が感じているところ。気ままな散歩のような感覚で、ふらっと眺めるのがちょうど良い気がします。
※このコラムは生活定点2014年度版のデータに基いています。