トキ消費

その時・その場でしか味わえない
盛り上がりを楽しむ消費

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2020.01.10

「消費潮流の最前線」 第2回

消費潮流の最前線様々な分野に広がる【トキ消費】の共通要素

こちらは、東京商工会議所 東商新聞2019年12月10日号からの転載記事です。

【トキ消費】とは…同じ志向を持つ人たちと一緒に、その時(トキ)・その場でしか味わえない盛り上がりを楽しむ消費(博報堂生活総合研究所提唱)

モノ・コト消費の次の潮流として生まれた【トキ消費】。その価値のベースにあるのは体験です。言うなれば、コト消費の発展系とも捉えられますが、【トキ消費】にはコト消費とは一線を画す3つの共通性があります。

1. 非再現性
【トキ消費】は時間や場所が限定されています。例えば、毎年各地で開催されるようになったハロウィーンのイベント。昨年は残念ながら渋谷で暴徒化した若者が話題になりましたが、本年は行政側の規制もあって騒動にはならず、平和的に盛り上がりました。同じ渋谷のハロウィーンであっても、そこに集うのはたまたま居合わせた人々です。そこで生まれる盛り上がりも偶然の産物。その時・その場を逃すと、同じ体験は二度とできないのです。

2. 参加性
これは、人々が集う活動や状況に自分も主体的に参加するということです。先日、音楽ライブである光景を初めて目にしました。曲と曲の合間にステージの照明が消え、演出ながらも突然のことに驚いていると、「スマホで舞台を照らしてくれ」というアーティストの声。大半の観客がスマホライトを手にして、照明係を担っていました。観客の参加なしには、パフォーマンスは成立しなかったでしょう。

3. 貢献性
人々の主体的な参加は、ある物事の成果への貢献につながります。お菓子や陶芸、フラワーアートなど、様々な分野で人気を集めるワークショップを例に解説しましょう。こうしたワークショップに参加することで得られるものは何か…。それは自分の手で作品をつくるという体験(コト)で得られる楽しさや充実感、そして最終的に得られる作品(モノ)という成果です。

冒頭で【トキ消費】はコト消費の発展系とも捉えられると紹介しました。「非再現性」「参加性」「貢献性」という3つの共通性を併せ持つ点が、【トキ消費】がコト消費と大きく異なる点です。また、得られる成果が体験や思い出だけでなく、モノの場合もあるのです。

 

<東商新聞「消費潮流の最前線」連載一覧>
第1回 定義編――モノ、コトの次の潮流【トキ消費】とは
第3回 背景編――生活者が【トキ消費】に向かう理由とは
第4回 データ編――生活者調査でみる【トキ消費】
第5回 ビジネス編①――【トキ消費】を生むヒント①
第6回 ビジネス編②――【トキ消費】を生むヒント②

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