Saya(サヤ)
3DCG女子高生。TELYUKAが生み出した3DCGの女子高生キャラクター。
初公開時は静止画だったが、2016年には動きがつき、2018年には表情認識AIを取り込むなど、進化と成長を続けている。
Sayaは人間と同じである必要はない
今後、Al技術が発達していき、10〜20年後に信頼度が人間以上になるかもしれないと考えたときに、人間より少し特徴のあるつくられたキャラクターだとわかったほうがいいと思ったんです。なので、Sayaは人間と同じである必要はないという前提があり、デジタルの女の子である良さを出したいと思うようになってきました。
実在のモデルはなく、自分たちが持っている「清純さ」「透明感」「正義感」「かわいさ」といった言葉をもとに、デザインしてつくり出しています。日頃見て感動した 10代の女の子の美しさに人びとが思う「望ましさ」を追加して、Sayaを表現しています。
平均的な美しさ
実在する複数のタレントやアイドルの美しさを研究して、各パーツにおけるバランス感の試行錯誤を繰り返した結果、均整がとれて平均的になり、無機質になってくることもありました。もしかしたらその無機質さは「美しさ」につながっているのかもしれません。一般的にも人が美しいと思う顔というのは、パーツが平均的に配置されていることといわれています。印象が良く見えたり、人を惹きつけるような人物というのは、例えば、洗練された洋服を着ていたり、髪形も突飛じゃなかったり、たぶんそういう平均的な美しさみたいなものが際立っているような気がします。
一方で、Sayaならではの佇まいは、顔のパーツだけではなく、髪の質や姿勢、色味感など、いろんな要素が積み重なって実現されるものですが、こうした平均的な美しさに加え、Sayaらしさを表現するための自然な歪み(ゆらぎ)を与えることも重要だと思っています。
性格はあえてつくっていない
性格のようなものは、あえてつくらないようにしています。必要に応じていくつかの設定を追加的に考えることはありましたが、言葉から生み出されたコンセプトの部分以外に決めていることはほぼなく、これからもそのシーンに応じて足されていくものにはなると思っています。
もし、人の代弁者となったり、AIを入れて何かを案内するとしても、それらはひとつの機能として、そのときどきの技術レベルにおいてアップデートされていくべきだと思っています。20年、30年経ったときに、こうした積み重ねを元に自立できるひとつの人格としてものごとを考えて、人間をより豊かにしていく存在になってくれればいいですね。
人と何かを結びつけるガイド
あくまでも主役は人間だと思っています。Sayaは人と人を、人と機械を、人とビッグデータを結びつける中間にいて、フォローができるような立ち位置だったり、寄り添う存在であることを目指しています。私たちはそれをGUIDE(Graphical User Interface + Deep- learning Experience)と呼んでいます。何かの助けになるという行為は、必要のない人には必要ありませんが、必要のある人にとってはものすごく重要なことになり得ます。
超未来には、一人ひとりにそれぞれのキャラクターがいて、会議などをアバターにやらせて結果だけ教えてくれるような世界になっているかもしれません。それは、意思決定だけを自分がして、それ以外の難しい部分はデジタル空間の中でSayaのようなアバター同士が話し合っているようなイメージです。
価値観の破壊
想像でしかないのですが、AI技術が発達してアバターやロボットが進化した時代には、人びとの信じるものが大きく変わるのではないかと、若い世代を見ていると感じます。今まで拠り所にしたり考え方の頼りにしていた部分が、アバターやロボットのような手助けしてくれる存在に触れることで、感覚が変わってくるかもしれません。便利なものは使い続けられると、あることが当たり前の世界になり、価値観も変わってくるものだと思っています。ネガティブだったものがポジティブなものに変化するように、シンギュラリティのようなある種の技術の到達点に、人間の価値観の破壊があるかもしれないですね。
TELYUKA(テルユカ)
石川晃之さん、友香さん夫妻によるユニットで、バーチャルヒューマンを専門とする3DCGアーティスト。
2015年に架空の女子高生キャラクターSayaをTwitterで
公開し、「実写にしか見えない」と世界中で話題に。
Sayaに様々なテクノロジーをかけあわせ、
クリエイティブとAI技術を融合させるプロジェクトを進行中。