STAGE3

研究員の森

生活総研の研究員による調査データを元にしたコラム

今回の「こども調査」では、子どもへのアンケートの他に「日記調査」を実施しました。自分がその一日何をしてどんなことを思ったのかを、「気持ちの点数」と共に日記形式で記録してもらうことで、子どものリアルな生活実態を捉える調査です。
その中から、ある男子小学生の一日をご紹介いたします。

 

子どもは朝からテンション高めというイメージに反する、起床時の「気持ちの点数」の低さにまず驚きました。「ねむい…」という彼の心の叫びに、「わかるよ…」と肩をそっと抱きたくなります。「あと5分だけ」の誘惑に抗うことの難しさとつらさは、大人も子どもも関係ありません。ちなみにこの日の最低得点でもあります。

 

朝食を摂って登校。そしてぎりぎりの到着。こうして見ていると、もっと早く家を出ればもうちょい余裕が生まれるのにと思ってしまいますが、朝の当事者にとってそれだけの計画性を持つのが困難なのもまた全年代に通底する真理なのでしょう。32年生きてきた私も、どんなに早起きしようがいつも大抵ぎりぎりになります。

 

午前中は眠気を引きずりほとんど使い物になっていない様子です。こういった状況も共感せざるを得ません。

 

正午を過ぎてようやく目が覚めたようです。続いての給食で「点数」が急上昇していることから、この時間をいかに楽しみにしていたのかが伝わってきます。たしかに私も、献立の予定表に好きなおかずを見つけた時は異様なくらい嬉しかったことを思い出します。すごく子どもらしい記述です。

 

下校による開放感で、この日の最高得点を記録。金曜夜の社会人を彷彿とさせます。やはり子どもにとって学校=職場のような感覚なのでしょうか。
また、「給食-下校」間にあったであろう授業の記載が省略されていることから、特筆すべきこともなく淡々と日々のルーチン的に授業をこなした印象を受けます。この辺はなんとも「大人」な感じです。

 

一度帰宅した後に学外のサッカークラブへ。学校の授業時とは打って変わって、「よし!」「がんばるぞ」など気合の入ったコメントと高い点数が並び、好きなことを楽しんでやってる様子が伝わってきます。

 

一日の締めくくりは入浴。ここでもまた意外だったのが、「気もちいい〜!」という感想と下校時に並ぶ最高得点です。小学生男子が風呂好きだなんて全く結びつきませんでしたが、たしかに朝8時から夜7時半までみっちりと大人顔負けのスケジュール。「お疲れ様です」と肩を揉んで労いたくなります。

いかがでしたでしょうか。
もちろんこれはただ一人の一日の感想でしかないので一般化はできませんが、個人的には、イメージしていた所謂「子どもらしさ」からは離れた、大人としての自分の感覚で共感するような記述の方が多いことが驚きでした。
やはり子どもというのは、大人が思うほど「子ども」ではないのかもしれませんね。

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