「注ぎこむから」から「身をたてる」へ

[好き]で始めた独自の折り紙づくり、今や仕事に大変身!

淵本宗司さん

49歳男性 福岡県

アートディレクター・折り紙作家。妻と子ども2人の4人家族。アートディレクターとしての仕事を行いながら、折り紙作品の発表や書籍の出版、折り紙教室の講師など、折り紙作家としても幅広く活動中。

[好き]の未来を体現するかのように、高い熱量をもって自らの[好き]を追求している生活者たちがいます。彼ら・彼女らはまさに「好きの達人」!
生活総研では、そんな「好きの達人」たちにインタビューを行ないました。自分の[好き]を単に趣味の範囲にとどめることなく突き詰めて、ついに「身をたてる」に至った達人のお話です!

子どもにつくった折り紙で楽しさに気づく

子どもが風邪をひいて外出できず、つまらなそうにしていたので、ちょっと喜ばせようと軽い気持ちで折り紙をつくったことが、「折り紙、面白い」と感じた最初のきっかけでした。当時人気だった昆虫のキャラクターを何も見ずに折ってみたんです。デザイナーという職業柄、手先の器用さがあったり、何かをつくることに慣れていたりはしますが、折り紙の経験は、折り鶴とか兜とか、よくある形のものを幼い頃に折ったくらいしかなくて。それでも意外とうまくつくれて、子どもに喜んでもらえたんですよ。

それから動物や昆虫などを、自分で独自に考えた折り方でつくってみるようになりました。いろいろとつくっていくうちに、「あるひとつの世界・物語を打ち立てて、その登場人物として、いろいろな折り紙作品を生み出していったら面白いのでは?」と思い立ちました。その名も「ORIROBO(オリロボ)」。正義のロボットから悪役のロボットまで、それぞれのキャラや強さの設定を決めて、次々とつくってみたんです。

デザイン事務所の入口に飾られた「ORIROBO」

出版を機に、[好き]が仕事に

出来上がった作品は、定期的に自分のブログにアップしていたのですが、ある時、ブログを見た出版社の方から連絡をいただき、「ORIROBO」をテーマに折り紙の本を出すことになりました。この出版がきっかけとなって、親子向けの折り紙教室で講師を務めたり、「折り紙でこんな作品はできないか」と依頼されて作品を折ったりと、本業のデザイナーの仕事以外にも、新たに「折り紙作家」としての仕事が広がっていきました。書籍はこれまで9冊ほど刊行し、海外向けに翻訳されたものもあります。折り紙教室を開くと必ず熱烈な折り紙ファンがいて、ファンレターをもらったことも(笑)。これから先、「ORIROBO」が子ども時代の遊びの定番として多くの人に経験してもらえたり、親子のコミュニケーションのきっかけになったりしたら、とても嬉しいですね。

「ORIROBO」を始めたくさんの作品が並ぶ

材料は紙一枚、制約があるから面白い

折り紙の面白いところは、四角い紙を一枚だけ使って、切ったり貼ったりすることなく、形をつくり出していくこと。例えば粘土で動物を作るなら、手はこう足はこうと、割と自分の思い通りに形をつくりやすいと思うんですが、折り紙はそう簡単には行かない。制約があるなかで、ああでもないこうでもないと試行錯誤しながら、理想の形に折り上げていく。そこにパズルを解くような面白さや、人を熱中させる要素があるのだと思います。

手がけた書籍には海外向けに翻訳されたものも

インタビュー中にも折ってもらいました

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