「注ぎこむから」から「身をたてる」へ

長い老後を見すえて、[好き]で生きていくことにした

早川裕見さん

60歳男性 東京都

56歳で新卒から勤め続けた会社を早期退職し、ロックバー「PUB1969」を開店。「1969年」は自身が中学生となってロックを聴き始め、アポロ11号の月面着陸があった「自分にとって根幹の年」。

[好き]の未来を体現するかのように、高い熱量をもって自らの[好き]を追求している生活者たちがいます。彼ら・彼女らはまさに「好きの達人」!
生活総研では、そんな「好きの達人」たちにインタビューを行ないました。自分の[好き]を単に趣味の範囲にとどめることなく突き詰めて、ついに「身をたてる」に至った達人のお話です!

50歳を過ぎてから、60歳以降の生き方を考えた

ロックは中学生から聴き始め、高校生でバンドも始めて、会社に入ってからも続けていました。ただ、会社員としての20 代~40 代の間は、本当に仕事が忙しかったんです。それでも、世の中は景気が良かったし、新しいことがどんどん起こっていたから、仕事の中に面白いことがあった。その間は、音楽は「趣味」として楽しんでいる程度で十分でした。

主人とともに時を重ねたレコード

ところが、50 歳を過ぎた頃から、その先のキャリアをふと考えるようになりました。60 歳以降はそれまでとは違う生き方ができるのではないかという思いが湧いてきたんです。私のテーマが「社会との競争」から「どうやって死んでいくか」に移った時期でした。

[好き]を詰めこんだ空間

自宅の1階を改装して、小商いを始めた

楽しくないと、続けられない

日本人の寿命が伸びているなかで、会社を辞めた後の長い長い人生をどう過ごすのか考えました。そして、「楽しくないと、続けられない」という思いにたどり着きました。自分の好きなことに原点回帰して、好きなことでお金を得たいと思いました。それがたとえ、会社員としての給料の10 分の1 だったとしてもです。そして、ロックが好きでギターが好き、料理も好きだった私は、会社を辞め、自宅の1 階を改装してロックバーを開店することにしました。好きなことで固めることにしたわけです。

1950~1960年代のギターコレクション。製造年によって音が全く違うという

みんなが音楽を楽しめる場にしていきたい

開店から2年半がたって、お客さんの幅も広がってきました。今後は、音楽の趣味があう人たちにもっと来てもらって、イベントなどのできる場にしていきたいです。DJ機材をそろえたり、PVやライブ映像をプロジェクターで見られるようにしたいし、店内でのライブももっと増やしていきたい。もちろん、料理だって良くなるし、居心地のいい場所にしますよ。

常連の訪れを待つボトルたち

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