Part.2-2 「時間」の再編がはじまる 2 Part.2-2 「時間」の再編がはじまる 2

再編の方向性

特に20代の生活者がリードして進める時間の再編。
引き続き社会は大きくは変わらず、技術は進化していく流れのなかで、時間に対する意識はどう変化していくのでしょうか?
再編の方向性 特に20代の生活者がリードして進める時間の再編。引き続き社会は大きくは変わらず、技術は進化していく流れのなかで、時間に対する意識はどう変化していくのでしょうか?

時間は、合わせない。

20代を中心とした生活者に、上世代の時間の使い方にいだく違和感を聞くと、組織の時間を個人の時間より優先する感覚や、手間ひまをかけるほど良いという価値観が挙がってきます。加えて、「時間にまつわる社会常識が崩れ、自分の都合や好み、ペースで自由に時間の過ごし方をデザインできる」という未来像への賛成率が、20代では7割を超えています。20代は、上世代が時間の常識としていることに「合わせない」。そして、自分基準で新しい時間の使い方を発明する先駆者となっていくでしょう。

上世代の時間の使い方への違和感

図表

未来像についての賛否

時間にまつわる社会常識が崩れ、自分の都合や好み、
ペースで自由に時間の過ごし方をデザインできる未来

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時間は、縮める。

1999年と2019年の調査を比べると、生活のスピードに関する生活者の意識変化がみえてきます。1999年は、ネットが普及して高速化する日常に対して抗うように、「スローライフ」という言葉が広がってもいました。調査にも、「低速化したい」という生活者の願いが表れています。しかし、2019年には一転して、理想としても「高速化したい」という人が過半を占めるようになります。なかでも、20代の高速化欲求はとても強いものです。ものごとを進める速さに関しては、全体的には「じっくり考えて進めたい」人が増えている一方で、20代だけ逆行するように「すばやく効率的に進めたい」 人が増えています。スマホネイティブでもある現在20代にあたる世代は、何ごとも工夫しだいでサクサクとこなしうると考えるのかもしれません。「時間を縮めたい」という思いの強さはこの世代の特徴といえます。

理想とする生活行動の速さ

図表

ものごとを進める速さへの意識

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時間は、重ねる。

スマホの普及以降、スマホを見ながら人と会話したり、別のコンテンツも視聴したりと、2つ以上のことを同時並行する行動をよく見かけるようになりました。そうした時間の使い方が前提化しているのか、「複数のことを同時にこなしたい」欲求は20代で強くなっています。また、他人の時間を買って(雇って)、自分の仕事や家事などを代わりに進めてもらうことにも、20代は積極的な意見を持っています。そちらの方が「時間を縮められる」とともに、その間に自分は別のことができ、同時並行的な時間の使い方ができるといえます。何かをしているとき、頭の片隅で「ほかに同時にできることはないか?」という意識を常に持つ人が、20代を中心に増えるのだとすれば、その意識は時間再編の重要な要素となっていくでしょう。

理想の時間の使い方

図表

増やしたい/減らしたい時間

(他人の能力や労力、知識などを)買う時間

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生活を高速化し、ものごとを効率化、複層化し、社会に合わせずに、時間を使う。20代に特徴的なその欲求は、30代以上とは異なる新しい価値観であり、今の20代は“新・時間生活者”といえるでしょう。大きく分断されてきている価値観。10年後、今の20代が社会への影響力を増している2030年、彼ら彼女らは、具体的にどのように時間を使っていくのでしょうか?
次章では、今、“兆し”として表れつつある、新しい時間の使い方を探ります。
写真 “新・時間生活者”の登場

生活を高速化し、ものごとを効率化、複層化し、社会に合わせずに、時間を使う。20代に特徴的なその欲求は、30代以上とは異なる新しい価値観であり、今の20代は“新・時間生活者”といえるでしょう。大きく分断されてきている価値観。10年後、今の20代が社会への影響力を増している2030年、彼ら彼女らは、具体的にどのように時間を使っていくのでしょうか?
次章では、今、“兆し”として表れつつある、新しい時間の使い方を探ります。