私の生活定点

博報堂生活総研による定点調査「生活定点」を見て気づいたこと、
発見したことをさまざまな人が語っていくリレー・エッセイです。

「30年のデータで解析! 生活者の変化潮流」

たこ焼きが1位? 和食が消えた?
好きな料理ランキング大激変
–日経クロストレンド 連載③–

生活総研 主席研究員

夏山 明美

こちらは「日経クロストレンド」からの転載記事です。

日本人の「食」に対する嗜好が大きく変わっている。「好きな料理」の上位が激変し、新たにランクインした料理とは? 人気上昇率トップ5の共通点は? 生活総研による新連載「30年のデータで解析! 生活者の変化潮流」の第3回、第4回は、日本の食卓に起きている異変の数々をリポートする。

こんにちは。仕事で生活者研究、趣味で料理研究をしている夏山です。昨年はコロナ禍のためリモートでの研究を取り入れつつ、外出自粛でやたらと増えた在宅時間を生かして食生活アドバイザーの資格を取りました(笑)。本稿では公私の研究を交え、皆さまのビジネスヒントや私生活での雑談ネタになりそうな、食のトピックスをご報告いたします。

2018年から20年の変化は過去20年間で最大

ここ最近のトピックスを語ろうとする際、どうしてもコロナ禍のインパクトは無視できません。コロナ禍は食に限らず、多くの分野において生活者に多大な影響をもたらしました。まず、最初にそのインパクトがいかほどのものかを数字でご紹介しましょう。

博報堂生活総合研究所の長期時系列調査「生活定点」で、隔年ごとの変化総量(1992年から比較可能な306項目について、前回調査との回答率の差分の絶対値を足しあげたもの)を比較すると、18~20年は568.3ポイント。この2年間で生活者の価値観や暮らし方は、96~98年の643.8ポイント、98~00年の623.6ポイントに次いで大きく変化。過去20年間で見ると、18~20年の変化は過去20年間で最大となりました。

食分野では過去20年間で最高/最低を記録した項目が過半数

食についても大きな変化が見られました。例えば、食分野で聴取する質問141項目のうち、過去20年間で過去最高、もしくは過去最低を記録したのは、なんと79項目(56.0%)。さらに、過去20年間で5ポイント以上増減したのは43項目(30.5%)にもなりました。具体的には何がどう変わったのでしょうか…。その中身を3つご紹介していきます。

まず、最初に過去20年間で日本人の食の好みはどう変わったのかを見てみましょう。「あなたが好きな料理は何ですか?」 98年から続けるこの質問への回答(複数回答)トップ5を2000年から10年おきに並べ、洋食系・中華系などの外来メニューに色付けをしてみました。2000年は「寿司」「みそ汁」「刺し身」がトップ3に君臨。外来メニューとしては中華系の「ぎょうざ」が唯一ランクインするだけでした。

しかし、10年になると、その「ぎょうざ」が2ランクアップ。そして、ランク外だった「カレーライス」が3位に急浮上。トップ3のうち、ふたつの座を「洋中」が席巻していました。そして、最新調査の20年。なんと、1位「寿司」を除いて、トップ5すべてを「洋中」が占めるという結果に。

「焼き肉」は厳密には「韓」ですが、この10年で圏外から2位に一気にランクアップ。中国で生まれ、日本で多様な変化を遂げた「ラーメン」も、「うどん・そば」と入れ替わる形で5位に食い込みました。

13年に「和食」がユネスコ無形文化財に登録されましたが、20年間で日本人は「和」から離れ、好きな料理は「和洋中」から「洋中」へとすっかり様変わりしてしまったのです。

唯一、日本人として安堵するのは「寿司」の健闘。「洋中」の激しい攻勢にも屈せず、ずっとトップで踏ん張っています。とはいえ、その「寿司」もカウンター寿司、持ち帰り寿司、回転寿司と時代と共に形態は広がり、回転寿司に至っては明らかに「洋中」なサイドメニューやスイーツも流れてくることは読者の皆さんもよくご存じのことですよね。さらに言うと、アメリカ発祥の「カリフォルニアロール(カニカマ・アボカド・マヨネーズなどの巻きずし)」が日本でも食べられるようになるなど、「寿司」そのものも洋風化している側面もあるんですが…。

→続きは日経クロストレンドのページからご覧ください。

<日経クロストレンド「30年のデータで解析! 生活者の変化潮流」>
第1回ーー「43歳からおじさん」が調査で判明! 「7つの特徴」を大分析
第2回ーー足りないのはお金より時間 40代おじさんの幸せは“時産”にあり

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