2018年、夏のある日。[みんな]の未来の議論のために集まった、生活総研の研究員たち。打ち合わせが進むなか、ふと全員の注目を集めたのは、一部のメンバーの服装でした。20人中4人が、白のTシャツ・黒のパンツ(以下、白T黒パン)というお揃いの格好だったのです……。
その後、街行く人を観察してみると、白T黒パン姿の人たちの姿がやたらと目につきます。特に、ファッションや流行に敏感な若い世代で目立つようです。
流行には興味はないの?おしゃれの差別化はしたくないの?ほかの人と服装がかぶったら、どう思う?[みんな]を気にする?気にしない?など、 浮かんでくる様々な疑問を解くため、街頭インタビューを決行しました。
白T黒パンが定番。
だから、流行は追わない
白T黒パンを着るようになった時期は、早い人で10年前、遅い人で3ヵ月前とまちまち。しかし、多くの白T黒パン派に共通したのは、週に1~4回と着用頻度が高いこと。どうやら、定番化しているようです。そのせいでしょうか、「流行はまったく気にしない」という人が目立ちました。とは言うものの、白T黒パンは定番ゆえに、みんな同じ格好に見えるという側面もあります。他の白T黒パン派とのかぶりについては、どう思っているんでしょうか。
人とのかぶりに抵抗なし。
むしろ、好意的に捉えている人も……
日本人だけに限らず上海やオーストラリアから来ていた人も、白T黒パンがほかの人とかぶることが頻繁にあるそうです。しかし、かぶりについてネガティブな意見を言う人は、ほとんどいません。むしろ、仲間意識や親近感を持つ、ネタとして盛り上がる……など、好意的に捉える人たちが多くいらっしゃいました。
根底にあるのは、
「そもそも、 一人ひとりは違うもの」
という想い
なぜ、かぶりを意識しないのでしょう。その理由をインタビューから紐解きましょう。
「目立ちすぎないのが自分らしさ」(26歳男性)
「自分にあうものを着ているだけ」(28歳男性)
「自分が着たいやつを、着たいときに、着れたらいい」(20歳女性)
「自分がいいと思ったものを買う」(23歳女性)
このように、多くの人たちから挙がるのが、自分らしさ、自分に合うといった、自分を基準にする言葉。どうやら、みなさんの心の内には、「そもそも、一人ひとりは違うもの」という想いが大前提としてあるようです。さらに、こだわりポイントとして、好きなブランドや素材感などを挙げる人もいました。しかし、それも誰かとの差別化のためではなく、自分の好みや心地よさといった個性を追求するためのもの、という意味合いが強いようです。
人は、みな違って当然。
だからこそ、気になる[みんな]
一人ひとりが違う、個が立っているから、じゃあ、まったくひとりでいいかというと、そうでもなさそうです。ファッションの参考にしているものについて聞いてみると、街の人や、Instagramのハッシュタグ検索で出会う人など、どこにでもいる、身近な[みんな]を参考にしている人が目立ちました。どうやら、白T黒パン派の脳裏には、「人は違って当然。だからこそ、自分と違う [みんな]が気になる」、そんな意識も隠れていそうです。
「[みんな]を巡る問い」 に戻る