ハッシュタグ「#プレ花嫁」「#プレママ」
Instagramには「#プレ花嫁」「#プレママ」というハッシュタグがあり、女性たちが結婚式や出産の準備について、写真やノウハウを投稿しています。
結婚式準備中の花嫁が使う「#プレ花嫁」は約404万件、特に第一子の出産を控えた妊婦が使う「#プレママ」は約96万件(2018年11月30日時点)の投稿があり、どちらも日々数を増やしています。このハッシュタグをつけて投稿すれば、似た状況の女性たちとつながり、フォロワーが一気に増えることもあるので、「無敵ハッシュタグ」と言われることもあります。
関係ない人からすると、「自分の幸せを見せびらかして自慢し合っている」と映るかもしれません。しかし、実際にはハッシュタグを通じて、自分と同じ状況の人はどうしているのかを知るための情報交換の場になっているのです。
自分と同じ状況の人をみつけられる
プラットフォーム
Instagramは、住んでいる地域も年齢も職業もバラバラの人たちが「同じ状況」という共通点でつながることのできる、非常に便利なプラットフォームなのです。もちろん、同じ状況の人はほかの場所にもいますが、Instagramの特徴は「リアル」感です。ハッシュタグを追いかけていれば、経験談だけでなく「リアルタイム」で更新されていくプレ花嫁、プレママの状況に、期間中ずっと接することができます。 また、Instagramが写真をベースとしたSNSであることも「リアリティ」を生んでいます。継続的に投稿される写真を見ていれば、その人となりもなんとなく知ることができるからです。
そもそも、結婚も出産も十人十色なので、本当に参考にしたい人、共感できる人を見つけるのは、身の周りであれ、ネット上であれ至難の業です。ですが、Instagramのハッシュタグでは特有の「リアル」感によって、自分と同じと思える人を直感的にみつけられるのです。
自分と同じ人をみつけて安心したい
実際にどんな投稿が並んでいるかというと、プレ花嫁であれば「小物アイテムのDIY方法」「ドレス選びの基準」「引き出物の候補」など。プレママであれば「出産準備品」「妊娠中の服装」「出産前にやったことリスト」など。関心ごとや自分はこうしたといった内容が写真やテキストで並びます。
なぜ、見ず知らずの他人同士で情報共有をしあうのか。そこには彼女たちに特有の不安感情があります。結婚式を控えたプレ花嫁、出産を控えたプレママに待っているのは、人生で初めてのイベントであり、楽しみではあるもののわからないことだらけです。彼女たちは、自分と同じ状況の人が何をしているかを知ることで、参考にしたり、安心したりするのです。
ハッシュタグを通じた独自の経済圏
「#幸せバトン」
プレ花嫁の関連ハッシュタグに「#幸せバトン」というのがあります。結婚式を終えた人がドレスや小物などを譲る(売る)ためのハッシュタグで、「#お譲りします」というハッシュタグと一緒に使われることが多いようです。
物品の売買という意味では、フリマアプリと同じなのですが、Instagramの投稿を見れば、どんな結婚式をしたのかが詳しくわかるので、自分のイメージする結婚式に近ければ、より確信を持って譲ってもらう(買う)ことができます。ハッシュタグの下に、独自の経済圏ができあがっているのです。
ライフイベントごとに
ハッシュタグを飛び歩く
結婚式や出産を終えた女性が、次のステージに入ったときに使うハッシュタグも存在します。「#新米ママ」「#入園準備」「#入学準備」、そして「#家づくり」というようなものまで。特に女性はライフステージによって生活が変わることが多く、新しいステージに入るときには不安がつきまといます。そんなときに、自分と同じ状況のハッシュタグを通じて、[みんな]はどうしているのかを知ることで安心するのです。そこには、親や友人から聞く知恵やテレビや雑誌から得る情報とは一味違う「リアル」感があります。
ライフイベントの期間中だけ、ハッシュタグにゆるやかに集い、終われば離れてまた次のハッシュタグに集まる・・・・・・女性たちは、自分の状況に合わせて様々なハッシュタグを飛び歩いていくのです。
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