2040年の「ふつう」を揺るがすかもしれない8つの問い 2040年の「ふつう」を揺るがすかもしれない8つの問い

「ふつう」マップは様々な捉え方ができる発想ツールですが、ここからは生活総研の読み解き方をご紹介します。

生活総研では、生活者の意見が分かれる未来事象に着目しました。その行方しだいで2040年の「ふつう」が大きく揺らぐからです。どこまでが「ふつう」となり得るのか、8つの問いとして投げかけていきます。

8つの問い 読み解き方の図

2040年私の「ふつう」

生活総研では今回の「みらい博」に先立って、1992年から直近2020年まで2年ごとに行っている「生活定点」調査をもとに、過去から現在までのロングスパン分析を行いました。その結果からは、生活者が働き方/人間関係/お金のかけ方などでかくある「べき」という一律の判断基準から解放されていく様子がみてとれました。そして、2020年代は生活者が「暮らし方」を自分基準でつくっていく時代になるだろうと生活総研は考えました。

一方で今回のように、ロングスパンの未来である2040年を念頭に置くと、「べき」の消失に加えて、技術進化などによって生活者の「できる」が増えていきます。ただし、ここまでみてきたように、未来の「できる」は、[人間]と[機械]、[現実]と[仮想]、[安定]と[流動]、[自律]と[他律]などの境界線が揺らぎ、融合することで可能になることでもあります。それは、従来考えないようにしていた、ある種のタブーの領域に踏み込む場合もありそうです。
では、それらへの生活者の反応はどうだったでしょうか。調査結果からは、意見が大きく分かれるとはいえ、一定の肯定的な人たちが存在し、境界線を揺るがす可能性がみえてきました。
そのタブーを含めて見直していく考え方からは、「暮らし方」の水準よりさらに深く、そもそも人間にとって「幸福」とは何かを模索する姿勢が感じられます。

2040年に向けては、何を“あり”と感じ、何を“あり得ない”と感じるか、生活者の「ふつう」がますます多様になっていくはずです。個々人の「ふつう」が、他者の「ふつう」との間で葛藤しながらも、少しずつ実践と修正を繰り返す。そんな、幸福を「実験」していく時代になるでしょう。社会の側でも、生活者一人ひとりの実践をタブー視したり、逆に保守的だと断じたりすることなく、幸福を実験するプロセスとして応援することが大事になるでしょう。場合によっては生活者の協働者として、場や仕組みを提供することが求められそうです。

幸福を実験する時代へ の図 幸福を実験する時代へ の図