コロナ禍と生活者

コロナ禍における生活者の暮らしや価値観の変化をお伝えします。

テーマ2 コロナ禍を乗り切る、私の元気のモト

“生活の起伏づくり”と“五感マッサージ”

生活総研 上席研究員

佐香 孝

生活総研ではコロナ禍生活における工夫や新たな気づきを、生活者に写真でレポートしてもらいました。その数は1800枚にも及びます。それらはデータベース化して公開していますので、暮らしの変化を発見するツールとしてぜひご活用ください。
テーマ2 コロナ禍を乗り切る、私の元気のモト

ここでは、生活者写真レポートのテーマの2つめ「コロナ禍を乗り切る、私の元気のモト」から、私の視点で読み取ったことをお伝えします。

みえてきたのは、“生活の起伏づくり”と“五感マッサージ”欲求です。行動が制約され単調になりがちな日常生活に、刺激や起伏を取り入れたい。ご近所を探訪する、珍しい食材を調達する、生きものと接する、新しいサービスを試す、「ウチ」の中を充実させる、趣味や道具にこだわりを加える、といった創意工夫。愛でる、触れる、味わう、香りを楽しむ、変化や成長を実感する。五感を総動員して味わい、癒しや元気に変換していく。……などの生活者の欲求が浮かび上がってきました。

生活の起伏づくり① ご近所ハンティング

元気のモトとして、「散歩」を挙げる方が多数います。見過ごしていた住まい周辺の風景を発見し、季節の移ろいに気軽に触れられる手段として重宝されています。
散歩は運動不足解消も兼ねた行為になっていますが、さらに稲の育つ様子を子どもに見せる「教育散歩」、御朱印帳持参の「寺院巡り散歩」など、複数の思惑を重ねた「テーマ型散歩」もみられます。

「散歩中の風景」  (34才 / 女性 / 千葉県)
ショッピングや遠出ができないので、近所をじっくり散歩をした。普段はきづかなかった景色を楽しむ。

「最高の癒しネコ」  (35才 / 女性 / 静岡県)
いつも、近所を散歩しているとネコがいて、探すのも楽しみだし最高の癒しになってます。

「子どもたちと散歩」  (38才 / 女性 / 愛知県)
ショッピングモールの子供の遊び場は閉鎖されていて、子育て支援センターもコロナで少し怖いので、遊びは公園かお散歩ばかり。お米のできるまでを教えたり、おたまじゃくしを探したり、いろいろお話の時間ができ自然に触れあわせることができて、私も癒やされる。

「徒歩10分のところに借りた小さな菜園」  (59才 / 男性 / 大阪府)
在宅勤務で運動不足になり、定期的に歩く目的で借りたが、成長が楽しく、良き趣味になりつつある。

「御朱印帳を持って神社巡り」  (45才 / 女性 / 神奈川県)
龍神様が祀られている神社や近くの神社を、散歩と兼ねて歩いて回ることにしました。運動不足と開運を兼ねて出歩こうと思います。

生活の起伏づくり② バラエティ・ハンティング

マンネリになりがちな毎日の食事に、新しい商品やメニュー、珍しいものを取り入れています。食材は、巨大スーパーへ探しに行く、お取り寄せを使う、ふるさと納税で調達する、など。変化や彩りづくりが元気のモトになっています。
昔買えなかったレコード収集に勤しんでみると再発見があるとの声や、「推し」活動で在宅ゆえにオンラインで多面的な情報や素材を収集できるのは新しい形で良いという声がみられます。

「COSTCO会員カードとコストコで購入したお菓子など。」  (38才 / 女性 / 愛知県)
コロナ禍で外出を控えているのでストレスが溜まるし、外食で美味しいものも食べられない。代わりに家で美味しいものを食べたい欲求が強くなり、コストコで美味しい食材やお菓子を買って元気をもらっている。普通のスーパーだとマンネリになりがちだが、コストコは新商品や珍しい商品も多い。次に行く時に何を買うかなどを考えるのも楽しい。

「ミールキットで贅沢ごはん」  (26才 / 女性 / 大阪府)
外食しづらくなってしまったので、自宅でいつもより少し贅沢なごはんを楽しんでいます。ミールキットを活用して、なかなか自分で作ろうと思わないメニューや、珍しい食材を使った料理を楽しんでいます。

「ふるさと納税」  (39才 / 男性 / 茨城県)
ふるさと納税を利用して、今年はほかにさくらんぼ、桃もいただきました。お得にお家時間を美味しく過ごしています。

「癒しをくれるオタ活」  (25才 / 女性 / 静岡県)
やっぱり推しがいる生活には潤いがある!!! 推しには会えないけど、オンラインライブでドアップで顔が見れたり、田舎なのにライブに参加できたり。これはこれで新しい形ですごくいいと思う! 有人ライブをするとしても、オンラインと同時にやって欲しいなぁ。

「レコードプレーヤーとレコード」  (59才 / 男性 / 福岡県)
コロナになってから買い集めたレコードと新たに購入したプレイヤー。昔、お小遣いが限られており、好きなだけ買えなかったレコードを今収集。ビートルズやフォークソングなどレコードで聞くからいい音楽を再発見。とても癒しになる。

生活の起伏づくり③ 「やってみる」体験による刺激

キッチン刷新や筋トレ環境づくりなど、自分の基地づくりを自分の手や工夫で行うこと、環境整備そのものが刺激として楽しまれています。
コロナ禍で一度はやめた化粧も、欲しいリップを買ってみたら「自分のためにするように」なったり、在宅を契機にお花を人のためにではなく「自分のために」買ってみた、といった行動目的の変化にもつながっています。

「キッチンの前面をリメイク」  (62才 / 女性 / 兵庫県)
コロナ禍でお家時間が増えたので、ダイソーのリメイクシートでDIY。我ながら、素敵にリメイク出来てキッチンに立つのが元気が出て楽しくなった。

「筋トレ道具」  (38才 / 男性 / 滋賀県)
コロナ禍でジムに行けないので、自宅に筋トレ道具を購入し筋トレを行っている。身体を鍛えることで、ストレス発散になっている。

「料理」  (33才 / 男性 / 東京都)
休日も家にいる事が多くなり、気晴らしに庭で燻製料理を始めた。美味しく出来るようになり、気分転換になっている。

「オペラのリップティント」  (31才 / 女性 / 愛媛県)
マスク生活で口元を人に見せる機会がほとんどなくなり口紅を塗らなくなっていました。新色のリップティントが発売されてどうしても欲しくなり買って使ってみたところ、顔色が良くなり気持ちが明るくなりました。今は自分のために口紅を塗るようにしています。

「毎日1本もらえるお花のアプリでお花のある生活」  (40才 / 女性 / 東京都)
月額2000円の定額で、毎日好きなお花を1本もらえるアプリを始めました。在宅ワークで1日1歩も外に出なくなってしまうので、近くのお花屋さんに行くのをきっかけにしています。家で過ごす事が多くなったので、今までプレゼント用でしかお花屋さんに行かなかったけど、自分のためにお花を選ぶ楽しみができました。

生活の起伏づくり④ 非日常感のトッピング

単に家飲みするのではなく、居酒屋の食材をとりいれてみる。テイクアウトのお寿司もキャラクター玩具のレールに乗せて回してみる。串揚げマシーンを導入したり、ベランダや庭を生かしたBBQでソト気分を取り入れたりする。
おうちの中で同じことをするにせよ、いかに楽しくするか、非日常感をどう取りいれるか……さまざまな創意工夫がみられます。

「ヤゲンナンコツ」  (33才 / 男性 / 神奈川県)
外で飲めなくなったのでお家で飲んで、焼き鳥屋さんのヤゲンナンコツ串を真似てヤゲンナンコツを炒めて食べる。高タンパク低カロリーのためコロナ太りも防げる。コロナが落ち着くまではお家で太らないつまみとビールでコロナを乗り切る。

「テイクアウトのお寿司」  (36才 / 女性 / 大阪府)
外食も我慢をしているので、その分テイクアウトやデリバリーでたまに食べる美味しいものが癒しと元気を与えてくれます。この日は娘の誕生日で、テイクアウトのお寿司をアンパンマン回転寿司のおもちゃに乗せて家で回転寿司気分を味わいました。

「自宅で串揚げパーティー」  (35才 / 男性 / 東京都)
外食ができなくなってしまったため、自宅で家族とパーティーをする機会が増えた。

「ベランピング」  (37才 / 男性 / 福岡県)
子供達がおうちキャンプを気に入ったみたいで、毎週末ベランダで過ごしているから。

五感マッサージ①
道具にこだわり、味わいの幅を広げる

コーヒーを楽しむため、コーヒーミルを引っ張り出す。豆を選ぶ楽しみも加わる。ごりごり挽いて、淹れて、飲んで……それぞれの触感、見た目、香りと味わいを楽しむ。そうしたコーヒーの所作とプロセス全体も味わい方の幅が広まっています。
家飲みの楽しさを高めるソーダファウンテン、ワインのグラスホルダーも気分を高めています。動画視聴のためPCの画面を大きく買いなおしたり、スピーカーが4セット増えてしまったりした生活者もみられます。

「手回しコーヒーミル」  (59才 / 男性 / 東京都)
40年前に購入したが、おうち時間によって活躍の機会が増えた。あちこちのコーヒーを飲み比べて苦味の中の仄かな甘さに癒される。

「宅飲みで大活躍の炭酸水メーカー」  (29才 / 女性 / 石川県)
コロナ禍でなかなか外でお酒を飲めなくなったので、以前から購入を考えていた炭酸水メーカーを買った。普段は梅酒サワーやハイボールを作ったり、お店で飲めない分ネットで珍しいリキュールを探して試したりして、宅飲みを楽しんでいる。

「ワイングラスホルダー」  (53才 / 女性 / 大阪府)
もともと夫婦でお酒を飲むのが好きで、コロナ前は週一でお酒を伴う飲食を外で楽しんでいた。コロナ禍で外食の機会が減ってしまい家飲みを楽しむようになり、以前から欲しかったワイングラスホルダーを設置してみた。週末に夫婦でワインを飲む時間がとてもリラックスできて楽しみな時間になった。

「少し大きな画面に買い替えたパソコン」  (55才 / 女性 / 大阪府)
休日など行楽や遊びに出掛けることがほとんどなくなったので、家のパソコンで動画を見たり映画を見るのが楽しみになりました。休みの日には何をみるか考えるのも楽しく、映画を見て感動したりして、時間をゆったりと使うことで気分転換や癒しの時間を手に入れた気がします。

「音楽鑑賞と読書」  (63才 / 男性 / 鳥取県)
友人たちとも会えなくなり、ありあまる時間に音楽鑑賞と読書が増えた。特に音響機器は昨年からスピーカーが4セット増えて、ありえない部屋となった。

五感マッサージ② 子どもは最大の癒し

見る、触れる、聴く、遊ぶ、やりとりする…そんな癒しとともに、成長や変化に触れる喜びを与えてくれる強力な存在になっています。

「子どもの成長」  (27才 / 女性 / 東京都)
コロナ禍に生まれ、いろいろな不安もあったが、日々成長し、癒しや笑顔をくれる大切な存在です。

「子ども達の笑顔」  (33才 / 女性 / 福岡県)
コロナ禍だから、特別でもないが子ども達の元気な笑顔を見ると癒されるし頑張ろうって気持ちになる。

「かわいい我が子」  (28才 / 女性 / 神奈川県)
コロナ禍で、旦那さんが在宅勤務となり子ども含め家族の時間がとても増えた! なかなか遊びにも連れていってあげられないし、同じ月齢の子とも遊ばせてあげられてないからか、人見知りがとても激しいけど、それでも毎日に癒しと元気を与えてくれるのは、何よりもこの子。コロナが明けたらいろんなところに連れていってあげたい!!

「子どもの作品」  (39才 / 女性 / 静岡県)
ステイホームになり、子どもとじっくり過ごす時間が増えて、遊びにも一緒に参加するようにしています。日々の成長をなかなか学校行事で見られないぶん、毎日の生活の中での成長をきちんと見て向き合うようにしています。

「家のウッドデッキプールで遊ぶ姉弟」  (34才 / 女性 / 愛知県)
なかなか思うように外出できない日々の中、家の中でもきっかけを与えるだけで工夫して二人で楽しく仲良く遊んでくれる子供たち。とても可愛く、ありがたく、癒されるとともに、楽しそうな笑い声に元気をもらう。

五感マッサージ③ 「いきているもの」の豊かな刺激

花や植物を育てる、野菜を育てる、様々な動物や魚を飼う……微生物が変化を施す「ぬかどこ」を仕込む。「いきもの」たちと一緒に過ごすことは、愛でる、観察する、触れる、反応を楽しむ、変化や成長を感じる……すべてが豊かな刺激として元気のモトになっているようです。

「サボテンの芽」  (28才 / 女性 / 三重県)
家で何か趣味ができればと思い、サボテンを種から育てています。最初は本当に咲くのか半信半疑でしたが、2週間後に芽が出たので楽しくなってきました。花を育てることにはあまり興味が湧かなかったのですが、やってみると楽しい。お家時間が増えたからこそ、やってみようと思うことが増えて、新しい発見もあるんだな、と感じたのでこの写真にしました。

「家庭菜園」  (69才 / 男性 / 東京都)
家内が駐車場の一部に菜園を作った。当初花を咲かせ、鑑賞していたが、食べるられるものも追加した。きゅうり、なす、トマト、エンドウ、パセリなど、実益も兼ねている。虫が来てたまごを生み、幼虫からちょうちょになるところも観察できる。鳥も来て賑やかである。いろいろな場面を楽しんでいる。

「愛犬」  (21才 / 女性 / 東京都)
どこにも行けないなかで、家族のマイナスイオンになってくれるからです。

「自家製ぬか漬け」  (34才 / 男性 / 奈良県)
ぬか漬けにはじめて挑戦した。ぬか床が育っていくのを日々観察するのが癒し。

「うちのペット」  (28才 / 女性 / 新潟県)
癒されてます。

五感マッサージ④
「いきているもの」を「いただく」のも楽しみ

「いきているもの」からはいろいろな刺激や癒しをもらうだけでなく、食べ物、飲み物としていただけるものも。収穫の喜びとともに、味覚、嗅覚の楽しみももっています。

「サカナ」  (66才 / 男性 / 神奈川県)
釣り増えた。

「この日の朝採ったワサビのビン詰め」  (65才 / 男性 / 長野県)
どこにも行けないので、実家へドライブしたら、ワサビの花が咲いているではありませんか。春のワサビは瓶詰がいいとか。なんともいえない辛さが、巣ごもりの癒しになりました。

「うちの苺」  (64才 / 女性 / 北海道)
庭に植えている苺の苗から、毎年沢山のいちごが収穫できて、ミルクをかけて食べるのがうちの日課。赤いいちごから毎日の元気を貰っています。

「家庭菜園」  (64才 / 男性 / 東京都)
自宅のベランダで、胡瓜、トマト、枝豆、茄子の栽培を始めた。また、胡瓜しか収穫できていないが、瑞々しくてとても美味しい。

「梅仕事」  (41才 / 女性 / 長野県)
コロナで出かけられなくても梅仕事でお家時間をたのしんでいます。時間ができたからこそ自分で作る楽しみを味わっています。

五感マッサージ⑤ 手を動かしながら味わう

手を動かす、没頭する時間が元気のモトにつながっています。「アクセサリー作り」に没頭、「セルフネイル」はストレスを解消しつつ見た目も綺麗に整え、「パン作り」「ポプリ作り」はさらに、触覚、香などの嗅覚にも訴えて行為の味わいを高めます。「つくる」面白さから、「3Dプリンタ」を購入する人もいらっしゃいました。

「自分で作ったアクセサリー」  (40才 / 女性 / 千葉県)
色々な物をつなげたりしながら、アクセサリー作りに没頭しています。また家にいながらダンスをしたり片付けをしたりして、生活しやすい空間作りを大切にするようになった。ほかには、遠く離れている友人とのオンライン通話で元気をもらっている。

「セルフジェルネイル」  (30才 / 女性 / 大阪府)
緊急事態でネイルサロンに行けなかったとき、思いきってセルフネイルを始めました。 作業中は没頭できてストレス解消になるし、爪がキレイだと元気が出るので続けています。

「パン作り」  (59才 / 女性 / 兵庫県)
コロナ禍以前から作っていましたが、気持ちが塞ぐ時でも、パンの良い香りで部屋中が満たされると、落ち着きます。

「ラベンダーのポプリ」  (56才 / 女性 / 埼玉県)
毎年、6月にラベンダーの生花穂を自宅で乾燥させて、ポプリを作っています。ポプリは花の部分だけと思っている方も多いのですが、実は茎の方が香りが強く、長期間香り続けます。乾燥したものを刻んでジップロックに密閉して保管しておき、小出しに布小袋に詰めていました。コロナ過で入院していた方へ、安眠用にと送りました。お見舞いに行きたくても行けなかったので。この作業をやっている自分が一番この香りに癒されていたと思います。

「3Dプリンター」  (59才 / 男性 / 東京都)
趣味らしいものはなかったのですが、在宅時間が長くなったので思い切って購入しました。作る喜びを味わっています。

<コロナ禍 1800の暮らし 記事一覧>
テーマ1 「境界の再設計」欲求
テーマ3 自分や周囲への「解像度」の高まり

<コロナ禍 1800の暮らし テーマ2>
コロナ禍を乗り切る、私の元気のモト

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