生活者インタビュー Interview

三好洋子さん

みよしようこ事務所代表

60代女性。(株)ベネッセ在籍中に「たまひよ」、「サンキュ!」の創刊プロデュースを担当。独立後、様々な新商品や事業の開発プロデュースを行う。一般社団法人オトハル(オトナ思春期をデザインする)、一般社団法人食アカ(食で未来を創るアカデミー)など多数関与。まず仲間をつくる、仲間『で』つくる、をモットーに、現在「ミヨジ~村」(※仮称・後述)創りの実験中

教育出版社時代に培った
信頼の人脈の財産

もともと教育出版の会社に在籍していたのですが、そこで教育事業、人事に携わり、新しい仕事にトライしているうちに、出産・育児雑誌の創刊にプロデューサーに。当時、雑誌はスター編集長が引っ張っていた時代で、その中でプロデューサー制での雑誌作りは新しく、編集、営業、広告、宣伝…といろいろな立場の人をひとつの方向に向けて力を結集する喜びを体験させてもらいました。その中で、たくさんの場面でたくさんの仲間たちに助けられてきた経験があります。

今の私は「プロデューサー」、「立ち上げ屋」をやっていますが、何をするにも私はまず信頼しあえる仲間をつくること、そこが大事だと思っています。

友人だけからものを買うことで、
生活していけないか?
から始まった「ミヨジ~村」の実験

コロナ禍で、世の中は大変なことになっています。その中で私の大切な友人たちも経済的に大変な状況を過ごしていました。信頼しあっている友達を助けられないか、助け合うことはできないか。そんな思いから、私が生活していくにあたり、「友人“だけ”からものを買うことで生きていけないだろうか」と考え、トライしてみることにしました。

生活に必要な様々なものを友達だけから買う……いざやり始めてみると、さすがに電気とかガスとかエネルギーを買うことは無理でしたが、それ以外なら意外となんとかなったんです。かかるお金はちょっと高くはなりましたが、それ以上に楽しい。応援したい仲間たちからものを買うのは、本当に楽しいことだとわかりました。

そして、そういう親しい仲間たちと生活を共にしていける「村」をつくりたい、いわば「生活圏」をつくったらどうなるんだろう、という興味が湧いてきました。それが「ミヨジ~村」(※三好さんのあだ名から)の最初です。

6人くらいからはじめて100人くらいになるとどうなるんだろう、ということで今、毎月「入村式」をしています(笑)。売りはミヨジ~の友達だからたぶん、安心安全&ちょっと変(笑)。一人ひとりの紹介をナラティブ(語り)にしてたっぷり時間をかけています。

まず「ミヨジ~の友達」というところから始め、出会った人達同士とどんな化学反応を経て深い関係を作れるか。そしてそこからどんな活動がはじまるのか、はじめるのか。まったくの実験です。

血縁はなくても「たまに集う親戚」のような、
なが~く愛せる「集まり」がここちよい

実は以前から、上述とは別の「村」づくりのようなこともやっていました。友達と過ごす中で、「たまに法事に集まる親戚たち」のような間柄の集まりをつくれたらいいね、という話になりました。同じ村の仲間、いわば「村民」のような関係ですね。最初の「村」は8人くらいでのグループから始まりました。まず「法事」といって、食事会をよくやりました(笑)。バス1台を仕立てて、旅行にも行きました。もう長く続いていますから、いろいろなところに行きましたね。松本、新潟……海外では台湾にも行きました。

村民のメンバーは、大学出たての20代から60代のシニアまでばらばらです。旅行先でペンションに泊まると、「どういう集まりの団体さんですか?」とよく聞かれました(笑)。

村民の皆で田んぼを耕したりもします。結婚式や出産にも立ち会いますし、お葬式だって村で出します。そうやってともに過ごすやりとりを重ねて、お互いの歴史の中に記憶に入っていくと、一人ひとりの役割、個性、良いところや悪いところが見えるようになります。そして次第に「あの人のためにこれをやってあげよう」という気持ちになっていきます。限られた村民同士、心地よい距離感を保ちつつ、その中で、困ったらお互いを助け合う、強い関係がつくられてきた経験があります。

ひとには所属する『村』がある、ということは良いこと、だと思うんですね。ふるさと納税のコミュニテイ版のように。「あら、ここ楽しそう」「ここと関わっていたい」と

応援したくなる、信頼しあうには
お互いの周波数、情報を
深く知り合うことが大切

村民になるための条件は、単純に「応援したくなる人」であればいいと思っています。「応援したくなる」というのは、私たちのアンテナと周波数がマッチする感じでしょうか。もちろん今ひっかからなくても、10年後にマッチすることもあると思います。だから人間関係をすぐに合う、合わない、と決め込んだりはしません。ただ、いつか波長が合うときのためにも、一人ひとりの人とお互いに深く知り合う場や機会を持つことは、とても大事なことだと感じています。

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