生活者インタビュー Interview

ホームレス小谷さん

ホームレス・元芸人

30代男性。元お笑い芸人。「才能を感じられず」、10年で芸人を辞める。その後、先輩の西野亮廣さん(キングコング)の家に居候したものの、家賃を滞納し追い出されてしまう。その際、西野さんから「ホームレスやってその様子を配信してみたら?」と言われ、ホームレス生活をスタート。SNSを使って、泊めてくれる人を探しながら生活している。

ホームレス兼「50円」で何でも屋
依頼を受けて日本中をめぐる

ホームレス生活を始めて2ヵ月くらい、外で寝泊まりしていた時もありました。同時にツイッターを開設して「今日、上野で寝ます」と配信していました。段ボールをもらって寝床を作っている動画を配信してみたり。映画「トゥルーマン・ショー」みたいな、自分の生活を世間から見られながら生活を送っていました。

キングコング西野さんに、定期的に近況報告をしていたんですけど、西野さんから「次は寝床を探す企画をやってみたら?」と言われて、ツイッターでその日泊めてくれる人やホテルに泊まらせてくれる人を募集することにしました。

その後、西野さんに「何でも屋をはじめたら?」と言われ、50円で「何でも屋」もすることにしました。50円という価格に意味はないです。そもそも、働いて暮らそうという概念がないので、お金のことを考えて生きていませんから。でも「50円で願いを叶えてあげる」というコンセプトは面白いと思っています。

「何でも屋」なので、草むしり、ヌードモデル、行列に並ぶ、人生相談に乗る、富士山に登る……何でもやりました。ツイッターで日々依頼を受けて、泊めてもらって。そんな生活で日本中いろいろなところに行きました。コロナ禍の前と今とで、依頼の内容も頻度もあんまり変わっていません。

気が合わない相手との出会いも
楽しさのひとつ

泊めてくれるという連絡が複数くる時もよくあると思いますよ。ツイッターでそれをバーっと見て、ピンときたものを選ばせてもらっているだけなので、何件きているかはあんまりわかっていないんです。どのラーメン屋に入るのかを選ぶときみたいに、あんまり深く考えず、その時の気分で選ばせてもらっています。

そういう感じで相手のところにいくので、もちろん気が合わない相手と出会うことになったりもしますよ。でも、むしろそれが面白いじゃないですか。気が合わない相手と会うと、「世の中には色々な人がいるんだな」と気づけるし、気が合う人ばっかりが自分のまわりにいても面白くない。

気が合う人たちといて居心地が良いはずなのに、楽しくなくなることってあるでしょう。逆に居心地悪いくらいの方が、楽しむためには良いのかもしれない。僕は、人そのものに興味があるから、誰といても面白いんです。誰にでも対応できる自信にもつながりますし。

そんなふうに、いろんな人たちと出会う生活をしているおかげで、クラウドファンディングで立ち上げた企画に、みんなからお金が集まったことも何回もあります。結婚したときに、資金を集めて花やしきで結婚式を挙げたこともありましたし、企画を立ち上げて、ビジネスクラスでフランスに行ったこともありましたね。

人への興味が乏しい時代
「褒められたい」人が増えている?

気が合う・合わない関係なく、色々な人と会ってきたなかで感じるのは、みんな「褒められたい」のかな、ということです。その日一日、一生懸命働いて、疲れて終わる……。それだけでは気が滅入ると思います。そこに「頑張ったね」「すごいね」って言われるだけで、やる気が出るんです。自分のことを自分で面白がれる人は問題ないけれど、そういう人ばかりではないから、そういう人に「頑張ったね」って言ってあげたいと思うんです。褒めるのも楽しいですよ。もともと人を褒めるのが好きだし、まわりからも「小谷は人の良いところを見つけるのがうまい」とか「小谷がいると空気が良くなる」と言われてきました。

何でも屋の依頼も、人生相談がすごく多いですよ。コロナ禍の不安もあるし、自己肯定感が低くなっている。推測ですけど、みんな普段、あんまり褒められていないんじゃないかと思うんです。
今の世の中、それだけみんな、まわりの人のことに興味がないのかもしれない。だからせめて、自分がいろんな人に会って、相談に乗って、どんどん褒めて。で、代わりに大好物の寿司をみんなからおごってもらえたらと思いますね(笑)。

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