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生活者インタビュー
ほかの人から
求められている自分で
いすぎないように
しなければ……だから
ひとりの時間は
ないと、怖い。
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アゾットさん
(39歳)
東京都在住。会社員兼フリーライター。趣味はコーヒーを淹れること、散歩、読書、美術館巡り。能楽師のもとで能も習っている。
自分を取り戻すひとり時間
僕の仕事は人の話を聞き、それを文章にまとめるというもので、自分に向いている仕事だと思っているのですが、仕事ばかりしていると何かがよどんでくる感じがして。ひとりで過ごす時間って、そのよどみをさらう時間なんです。言い換えると、ひとりになって内省的な時間を確保することで、自分を停滞させないようにしているというか。フリーランスって自分でキャリアを形成しないといけないんですが、そのキャリア自体がクライアントさんからの依頼をこなすことによってつくられていくわけで。考えてみると、すごくアンビバレントな状況に置かれているんです。結局、今僕がライターの仕事をしているのも、それが向いていると人から思われてしていることでもあり。で、どこかでいつも、自分自身に引き戻さなければ……と思ってもいるんです。
ひとりの時間が欲しい理由としては、もちろんリラックスしたいというのもあるんですけど、ほかの人から求められている自分でいすぎないようにしなければ、という恐怖心からでもあります。
未来の自分のためにひとりで種まき
人間の脳の機能って、ピークは30歳くらいだと思うんです。もちろん経験を積むことで、機能が衰えた分は経験値や技術でカバーしていくわけなのですが、いつか自分は第一線でいられなくなるだろうという焦燥感がある。なので、そうなったときのために何か別の仕事を確保しておきたいと思い、岩手県で定休日のカフェを間借りして、自分でカフェを運営したこともあります。物理的にひとりでいることは好きなんですけど、どこかのコミュニティから外れることにはかなり恐怖心があって。だからひとつだけでなく、複数のコミュニティに属するようにしています。仕事もきっとそうなんですね。ひとつだけじゃなく、いろんな可能性の種をまいておこうという気持ちでやっています。能をやってます、演劇をやってます、ライターもやってます、音楽も得意です、美術や歴史は詳しくないけど勉強して書きます、というふうに。どの種が芽吹くかはわからないけれど、まくだけまいておこう、と。ひとりになる時間はチューニングと種まきの両方があるんです。
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間借りしたカフェで、こだわりのコーヒーを。
人を誘うってある種の接待
仕事が嫌になってくるとひとりでホテルに泊まって、5千円ぐらいのプリフィックスコースを食べる。おいしいものを食べるって心と体を同時に癒やす行為なんじゃないかな。美食という意味あいと、滋養の面の両方からのアプローチがある。
「この店に行ってみたい」っていうときに人を誘うことは、あまりないです。それはもう、ぱっとひとりで行っちゃいます。人を誘うってある種の接待的なものじゃないですか。お誘いして連れていった店がハズレだったら、相手に申し訳ないし。だから基本的にはひとりで行く方が気楽ではあります。人を食事に誘うときは、食べることよりも、その人に会いたいという気持ちの方が大きいです。
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ちょっといいものは、ひとりで食べたい。
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