生活者インタビュー Interview

おとうふさん

マッチングアプリ プロフィール添削者

30代女性。2016年までガールズバンドのドラムとして活動。解散後、中学校の英語教員に。職場では出会いがなかったため、この頃からマッチングアプリを利用開始。その後、いつかフリーランスで働きたいという思いから、転職して会社員に。同時に副業として、マッチングアプリのプロフィール作成支援を行う。マッチングアプリで300人以上の出会いを果たし、その実績を生業に活かしている。

マッチングアプリ利用のきっかけ

マッチングアプリを使い始めたのは今から5~6年くらい前。フットワークが軽いとは言えない奥手な友人が、マッチングアプリで出会った人と結婚したんです。そういうことをするタイプの友人ではなかったので驚いたのと同時に、それだけ安全性も高くなっているのだなと思って、自分もマッチングアプリを利用することにしたんです。
その頃はもちろん、男性とたくさん会ったことが自分の仕事に活かせるとは思っていませんでした。でもある時、マッチングした相手が、「恋愛ブログでお金を稼いでいる」と話していて、そのブログ内で「これまで300人以上の女性と会っている」と公言していたんです。それを見て、数多く人に会うことは強みにできるんだと感じ、自分も出会いを重ねてきたこともあるので、アプリで出会った人数を前面に出して、プロフィール添削の活動をしています。
依頼者の方には、マッチングアプリのプロフィール文章のチェック、相手とのやりとり文章のチェック、写真の撮り方や出会う際の注意点のアドバイスなどを行なっています。

瞬時に判断されるプロフィール写真
ポイントは必要な情報を詰め込むこと

マッチングアプリのプロフィールをつくるにあたり、一番大事なのは写真です。マッチングアプリでは、まずは写真を見て相手を判断するため、興味を抱かせる写真選びが大事なんです。プロフィール文章は最後の判断材料。飲食店でもそうだと思いますけど、メニューを決めるとき、まずは写真を見たうえで、補足情報として文字要素を読んで判断していますよね。まずは文字から、なんて人はいません。

1枚の写真を見るのに、人は1秒もかけません。一目見ただけで「あり」か「なし」かがジャッジされ、「なし」であればすぐにスクロールされてしまう。「あり」になるためには、きちんと盛れている写真を使う必要があるんです。婚活目的か遊び目的かで、微妙に違いはあるものの、いずれにせよ、写真の中にしっかりと適切な情報を詰め込むことが大切です。

例えば、まず男性は自撮り写真を使わないことです。男性の自撮りはナルシストっぽいイメージが強くなります。人によっては「友達に撮影してもらえないのかな」「社交性がない人なのかな」なんて考えてしまうこともあります。女性は洞察力が男性に比べて鋭いので、そういうところからも人柄を読み取られていると思った方がいいですね。また部屋の中で撮った白背景はNG、洗面所など生活感を漂わせるのもNG。おしゃれなお店だったり、公園だったり、動物と一緒に撮るのは人気が高いです。小さい生き物を大切にしていると、優しそうな雰囲気が演出できるからです。とはいえ、子どもと映るのはマイナスに。「本当は子どもがいるのではないか……?」など、疑いを掛けられるケースもありますから。
一瞬しか見ない写真だからこそ、その枠にいかに情報を詰め込んで、かつ、自分が伝えたい方向に引き寄せられるかが重要になってくるんです。

プロフィール次第で出会いが変わる
「自分の引き出しを出し分けることが大事」

写真に加えて、プロフィール文章ももちろん大事です。書き方次第でいかようにも見せ方は変えられるし、文章によって引き寄せられるマッチング相手のタイプも変わります。堅い印象を与えれば、真剣に出会いを探している人と出会いやすいし、気さくな雰囲気で親近感を出せば、遊び目的の人が寄ってくる。あるマッチングアプリでは、変わった職業の女性はウケが悪いんです。だから、そういった女性のプロフィール作成をお手伝いする際には、仕事のことはあまり押し出さず、癒してくれそうな雰囲気を前面に出すなど、一般的なサラリーマン男性が好みそうな女性像に合わせることがあります。そうやって、マッチングしたい相手に合わせて、自分の持つ引き出しを出しわけることがすごく大事なんです。

私のクライアントさんの例で言うと、その方はもともと端正な顔立ちでしたが、年上の男性からの「いいね」が多くて、同年代の男性から「いいね」がもらえないことに悩んでいたんです。プロフィール写真を見てみると、あまり華やかさがなかった。チークや口紅も塗らず、血色感のないメイクで、笑顔もぎこちない。洋服もグレーで背景も曇り空の下で撮影していました。良い意味で大人しい、おしとやかな雰囲気で、年上からウケる写真といった感じでした。なので、20~30代前半の男性が好みそうな、若々しい元気な雰囲気にイメージチェンジしてもらいました。メイクも発色の良い色に変えて、昼間のカフェでパンケーキを手にしている写真を撮って、プロフィール写真を変更しました。すると、2カ月後に「超理想の彼氏ができました!」と報告が。刺さる層を意識して、そういうメイクやシチュエーションで自分を演出することが大事だということが、よくわかりますよね。

自己プロデュースの重要さは増していく
それを助ける技術も進む

マッチングアプリ、婚活パーティー、学校や職場と、出会いの機会はいろいろですが、今後の恋愛事情において、「自分の強みを知っておくこと」は大前提です。そうしないと、魅力的な見せ方、どう振る舞ったらいいのかがわからない。かくいう私自身も、自分のことは完全にはわからないので、親しい友人に聞いたりもします。自分では盛れていると思っても、盛れていないと教えてもらうこともあります。この仕事をしていても、自分を客観視するのは難しいんです。お医者さんも具合が悪くなったら他のお医者さんに診てもらいますから。自己プロデュース能力が重要だとはいえ、自分の中だけで客観視するのには限界がある。だからこそ、プロの力をうまく借りていくことが大事なのだと思います。

また最近では、自己プロデュースを助ける技術も発達しています。実際に、あるマッチングアプリでは、心理学と統計学を元に、AIが出会いをサポートしてくれます。例えば撮った写真に対して「モテ度」が何%かを教えてくれたり、相手へのメッセージについても「こういう趣旨の返信をしてください」と助言してくれたりもします。
自分に寄り添って、自分の強みを的確に教えてくれるAIが登場する日も、そんなに遠くないのかもしれませんね。

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