博報堂生活総合研究所 みらい博2024 ひとりマグマ 「個」の時代の新・幸福論 博報堂生活総合研究所 みらい博2024 ひとりマグマ 「個」の時代の新・幸福論

生活者インタビュー

ひとりだから、 新しい仲間に 出会える

推し活さん

推し活さん

(60代)

関東在住。妻と二人暮らし。勤めていた会社を数年前に退職し、現在はアルバイトをしながらスポーツ観戦や海外旅行を楽しむ。地方での単身赴任時代にひとりでのアイドル応援に没頭するようになった。

推し活でほぼ毎月、関東と地方を往復

平日は早朝から午後までアルバイトで働き、休日には妻と一緒にグルメ旅行を楽しんでいます。そんな中で、妻とは別々にひとりで熱中している趣味があります。地方のグループアイドルの応援です。元々アイドルには高校時代から興味があったのですが、大学時代や就職してからは具体的に行動しているわけではありませんでした。それが本格的に応援をするようになったのは10年ほど前からです。地方で単身赴任の生活をしていたのですが、ひとりの時間が多くなったこともあって、握手会などへ行くうちに特定のメンバー、つまり「推し」を応援するようになりました。大きな会場で開催されるライブやイベントにはほぼすべて行っています。

地方グループなので、関東に戻ってからはあちらまで往復する交通費がかかるんですけど、今年だけでもう10回以上は行っていますね。ほぼ毎月のように行っている感じ。

CDやグッズの購入、交通費など入れて月に6万円くらいは使っているかもしれません。妻は半分呆れながらも理解はしてくれています(笑)。生活費ではなく自分が使えるお金の範囲内でやりくりしていますので、そのことについては何も言われません。

推しへの愛を表現するのにグッズは欠かせない。
推し活さんが気に入っているグッズは自作のうちわ。(イラストはイメージです)

雑念を振り払ってライブDVDを観る

ひとりでする推し活と友達一緒にする推し活…それぞれの楽しさがあると思うんですけど、友達と一緒だと「二人で楽しさを分かち合えていいな」と思う一方で、気を遣っちゃうのということもあるかもしれません。でもひとりでライブに行ったら、発散のために大声を出して叫んでも、全然気にならないっていうよさがありますね。
私は感動を共有するよりも、応援自体に集中したいのかもしれません。メンバーのMCやパフォーマンスに集中することが好きなんですよね。次の握手会やお話し会で、推しと話すときのネタを探すために、MCでのメンバーの発言には雑念を振り払ってものすごく耳を傾けます。ちょっとした発言も聴き逃さずに、推しのアイドルとお話するときに話題にすることで「あ、この人はすごく私のことをみてくれているんだな!」と思ってもらえる。そうすることで自分の存在や名前も認知してもらえますよね。

ひとり参加のライブでは周りを来にせず声援を送る(写真はイメージです)

会社員時代より推し仲間との飲み会が楽しい

私にとっては、推しのアイドルとの交流だけでなく、同じ趣味を持つ仲間との交流もとても楽しみなことの一つです。関東から地方へ行く時はひとりですけど、向こうに行けば仲間がいっぱい集まっています。ライブに行って、終わったらみんなで飲み会をするということが多いです。メンバーの「生誕祭」などのイベント時に特に盛り上がりますね。
私設のファンコミュニティのようなものがありまして、私はそのコミュニティの運営をお手伝いする役割も務めています。飲み会には女子大学生のような若い方から、私のようなおじさんまで、老若男女が集まります。会社員時代は同期とかとお酒を飲みながら愚痴を語り合うということもありましたが、今の色々な年齢や性別の仲間が集まる飲み会は、爽やかでずっと楽しいかもしれません(笑)。