コロナ禍と生活者

コロナ禍における生活者の暮らしや価値観の変化をお伝えします。

テーマ1 コロナ禍における我が家の工夫や暮らしのアイデア

「境界の再設計」欲求

生活総研 上席研究員

佐香 孝

生活総研ではコロナ禍生活における工夫や新たな気づきを、生活者に写真でレポートしてもらいました。
その数は1800枚にも及びます。それらはデータベース化して公開していますので、暮らしの変化を発見するツールとしてぜひご活用ください。
テーマ1 コロナ禍における我が家の工夫や暮らしのアイデア

ここでは、生活者写真レポートのテーマの1つ「コロナ禍における我が家の工夫や暮らしのアイデア」から、私の視点で読み取ったことをお伝えします。

みえてきたのは、「境界の再設計」欲求です。
ウイルスの水際対策のため、ウチとソトを明確にわけたい。
外出するかわりに、ソトの機能をウチへ取り込みたい。
生活の変化に応じた、新しい分け方/まとめ方を施したい。……
などの生活者の欲求が浮かび上がってきました。

境界の再設計① 「ウチとソト」を分けたい
―玄関が「感染対策フロント」

ウチとソトの境界としての玄関には、ウイルスの水際対策への欲求から様々な結界が増設されています。玄関はマスク着脱、消毒、脱衣所も兼ねるスペース、いわば「感染対策フロント」へと変貌。各家庭の行動ルールも明確化されています。

「外出、帰宅時感染予防セット!」  (56才 / 女性 / 千葉県)
ワゴンに消毒薬、マスク、アルコールティッシュ、小ゴミ箱。外出時のマスク忘れ防止、一番大事な帰宅時すぐ手の消毒薬→洗面所で手、顔洗いをしてウイルスを家に入れないように工夫しています。

「玄関扉の内側に吊り下げフック」  (65才 / 女性 / 愛媛県)
玄関の下、駄箱扉の内側に、吊り下げフックを取り付けた。外から帰ってきたとき、先ず玄関で下駄箱の扉を開いて鍵を吊るす、手指の消毒をするなどの行為をしてから上がる、という形をとることにした。

「玄関においたハンガーラック」  (34才 / 女性 / 愛知県)
コロナ禍でなるべく家の中に色々なものを持ち込まないように即席で室内用のハンガーラックを玄関に置き、アウターは靴を脱ぐ前に脱いでかけるようにした。

「玄関」  (22才 / 女性 / 福島県)
買った箱をそのまま磁石でつけて無駄にマスクに触れないようにしました。家から出る時にも忘れずにサッと取れるので楽です。

境界の再設計② ウチの中もさらに「分ける化」
―“親しき仲にも飛沫あり”

境界の明確化はウチの中にも広がっています。マスクはじめ、タオルや歯みがき、コップは家族共用を避けてパーソナル化。居室間にはのれん、各居室に消毒キット、テーブルにパーテーションなどさまざまな「分ける化」が施されています。夫婦でも斜めに座るようにしたり、「家の中でもマスクをする」人もみられます。

「家族それぞれのコップとタオル」  (59才 / 男性 / 東京都)
家族それぞれの洗面用コップとペーパータオル。コロナ前は共有していた歯磨き用のコップを各々で分けることにし、タオルの共有も避け、ペーパータオルを使用。

「パーテーション」  (43才 / 女性 / 愛知県)
子供との距離をとるため、パーテーションで区切った。また、誰かが病気になった時にここに隔離しようと思って。

「消毒グッズとテレワーク配偶者」  (31才 / 女性 / 静岡県)
コロナが流行る前はリビングの食卓の隅に1つ置いてあるだけだった消毒やマスクを、家中の複数箇所に配置するようになりました。また、コロナ以降主人がテレワークになったため家のPCで仕事をしています。

「自宅ダイニングの夫婦の席位置」  (66才 / 女性 / 宮城県)
夫婦二人だけの生活で今までは向かい合って食事をしていたが、コロナ禍においては斜めに位置を変えた。一時期は並んでいたが、話した場合、隣りあっていても飛沫は飛び散るということで、斜めに変えた。 

境界の再設計③ 「分ける化」欲求はシーン別、
気分別にも発揮

消毒液は、食品用と衣類用などのシーン別に、濃度を使い分けています。自分が使うマスクも、宅配便の応対程度なら何回か使うので分けておく。来客専用に分けられたアメニティ・セット。外出時のマスクは、色柄などその日の気分による使い分けがなされています。

「それぞれの消毒用」  (28才 / 男性 / 大分県)
コロナになる前は手洗い・うがいなど大して気にしていませんでしたが、自分や家族にうつしてしまうと大変なので、アルコール濃度によって使い分けるアルコール容器をつくりました。

「荷物配送」  (41才 / 男性 / 福岡県)
玄関先の応対で使い捨てマスクを使うのがもったいない。手作りマスクを近くに掛け、すぐ出られるようにしている。何回か使ったら洗濯機で一緒に回せるので重宝している。

「コロナ禍で来客へのおもてなし」  (23才 / 女性 / 埼玉県)
コロナ禍でも来客が気持ちよく過ごせるよう、ペーパータオル・うがい用コップ・マスクケース・アルコール消毒液、を用意しました。

「マスク保管場所」  (43才 / 女性 / 東京都)
親族が作ってくれた大量のマスクを、文房具ケースに収納するようにした。その日のコーデや気分で選べるし、子どもも使いやすいようで気に入っている。

境界の再設計④ 「ソト」の機能を「ウチ」へ取り込む
—生活基地の充実

仕事、趣味、運動、家飲みなど…生活時間の重心が自宅に移ったことで、これまで「ソト」で行っていたことや機能を「ウチ」に取り込み、「生活基地」としての環境の充実を図っています。またDIYで創意工夫し、自ら楽しく取り組んでいる様子がうかがえます。

「寝室に執務エリアを作り上げた」  (45才 / 女性 / 埼玉県)
在宅勤務が本格的になり、当初のこたつやダイニングテーブルでは集中しにくいので、ニトリ・IKEAで商品を買い、寝室に執務エリアを作りました。予算をかけたくなかったので、最終的には10000円位でまとまったかな、と思います。

「DIYバックカウンター」  (20才 / 男性 / 東京都)
外で飲む機会が減ったので家でも飲めるようにラックを自作しました。

「自宅ベランダ」  (60才 / 女性 / 北海道)
ビアガーデンも中止になり、外で飲んだり食べたりがすっかりなくなってしまいました。なので外飲みの雰囲気だけでもと、物干しだったベランダを少しずつベランピング出来るよう、手を加えています。

「自宅にオンラインヨガスペース」  (58才 / 男性 / 埼玉県)
運動不足の解消と夫婦での共通の趣味を志向。

境界の再設計⑤  「分ける」「まとめる」ニーズが、サイズや単位の見直しを促す

タオルは、個々人用に分けることで枚数や嵩が増える問題が発生し、その対策としてミニサイズ化しています。かたや、お皿は料理を個々人で小分けにすると同時に、洗う手間を減らせる小皿合体型の「プレート皿」にまとめられています。在宅でホコリが増えるためこまめな掃除が必要で、それには軽快なコードレススティック掃除機が便利。一方買い物は頻度を減らし、冷食や買い置きを増やすので、冷蔵庫は大型化。「分ける」「まとめる」の見直しが行われ、必要な商品と仕様、機能にも影響がみられます。

「速乾性抜群のミニハンドタオル」  (52才 / 女性 / 静岡県)
子供が手洗いの度にタオルを替えるので、コロナ禍でタオルの枚数が更に増えて洗濯に困り、速乾性のあるミニハンドタオルを使うようにしてもらった。カラフルなのは好みではないが、かさばらなくて洗濯も楽になった。

「しきり皿(38才 / 女性 / 愛知県)
家庭内感染を防ぐために大皿料理を止め、家族1人ずつに取り分けるようにした。そうすると、使うお皿の数が増え食器洗いが大変になるので、しきりタイプのお皿を購入。後片付けが楽になりました。

「掃除の回数増加」  (48才 / 男性 / 埼玉県)
家にいることが多くなると、どうしても子供のお菓子の食べカスなどが散らかる。その度に掃除機を出すのが億劫なのでスティック型の掃除機を購入。すぐ掃除ができるので以前より綺麗を維持できるようになった。

「冷蔵庫と消毒アルコール」  (42才 / 女性 / 滋賀県)
コロナで外食ができず、まとめ買いのため冷蔵庫を大きいものに買い換えた。デザインをミラータイプにして体型を気にするようにし、また指紋が目立つのでアルコールを横に置き、すぐ掃除ができるようにした。冷蔵庫の掃除のついでに、こまめに別の場所も拭いて消毒回数を増やした。

<コロナ禍 1800の暮らし 記事一覧>
テーマ2 “生活の起伏づくり”と“五感マッサージ”
テーマ3 自分や周囲への「解像度」の高まり
<コロナ禍 1800の暮らし テーマ1>
コロナ禍における我が家の工夫や暮らしのアイデア

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