インタビューから読む
未来の時間意識
生活者インタビュー
佐野 和哉さん
新規事業企画(BizDev)、プロジェクトマネジメント

28歳男性。大学卒業後、広告代理店に入社。2年後に離職し、大学院へ進学。その後、新規事業を育成・輩出するスタートアップスタジオに入社。2018年からフリーランスとして活動し、現在は、東京でクライアントワークを手掛ける傍ら、北海道でも事業を展開している。

仕事/休みの区別はなくても良い。

実家のある北海道で事業を広げたいという思いがあるので、月2回ほど北海道(道東)に通う生活をしています。知床を中心に空き物件を宿として貸す事業などを手掛けているのですが、北海道だけでは経済的に成立させることが難しいため、これまでの自分のスキルを活かせる東京で、プロジェクトマネージャーとしても働いています。

仕事の日と休みの日は、ほとんど分かれていません。パフォーマンスが落ちてきたら休みをつくる感じですね。1日のうち、起きている間は基本的に仕事に充てています。6時間以上の睡眠はもったいないと思うので、夜中の2時頃に寝て8時頃に起きることが多いです。 休みの日という区別がない状況に対して、特に嫌だと感じることはないですね。

コミュニケーションの差異「35歳の壁」

二拠点を行き来し、様々な世代と仕事をするなかで、Slackでやりとりをする人もいれば、対面で打ちあわせを望む人もいて、世代によって心地良いコミュニケーションの方法が違うんだなと感じました。コミュニケーションツールの世代差から生じる時間感覚の差があって、個人的には、35歳を境に上下で感覚の違いがあると思います。

佐野さんによる「35歳の壁」のイメージ図

これまで仕事上での一般的なコミュニケーションは、どの世代においても電話やメールが多かったと思いますが、今は20代はSlackやメッセンジャーなどを使っています。10代、20代前半になると、Discordなどボイスチャットサービスのweb通話を使っている印象です。LINEは、30代以上というイメージです。  Slackはメンバー全員で内容を共有できるため、「言った、言わない」がなく話が早いし、反応も早い。やりとりの回数を多くできるので、一回一回は雑なコミュニケーションができる点もいいですね。その方が仕事が進みやすいので、メール文化の上の世代とのやりとりでは「ちょっと返してくれるだけでも進められるのに……」と思うことも多いです。

田舎の移動時間は死活問題

東京と北海道では、若い人の感覚はそれほど変わらないですが、北海道の中高年層は“デジタル機器を使えない”こと以上に、“デジタル機器を持ってない”場合も多いため、現状では若い人が我慢することが一番コストが低いという状況です。そのため、テクノロジーやコミュニケーションツールを活用すれば本来かけなくても済むはずの時間がかかってしまう、待たされてしまうといったことは都会よりも多いように感じます。

北海道の同世代とは、「いかに移動時間を有効的に使うか?」という話をよくします。道内では移動時間が2~3時間に及ぶことも多いのですが、車での移動なので、運転中はスマホを操作できません。東京のように電車での移動中に“ながら”で何かをする、すき間時間を活用してどんどん連絡を取りあうといったことが難しいので、膨大な移動時間をどう使うかは死活問題です。「Kindleの読み上げができることに気がついた」「あのラジオが面白かった」などの情報を共有して、移動時間の活用を考えています。

時間の感覚は、二極化していく。

僕の周りの20代もそうだと思うのですが、そもそも「やりたいことが見つからなくてしんどい」ところがあるような気がします。会社で働いていても、会社に未来があるわけでもない。でも特別にやりたいことがあるわけでもない。新卒ぐらいの子たちからは、「だったら起業して、うまくいけばそのままやればいいし、ダメだったら就職すればいい」といった話をよく聞きます。

働き方に関しては、北海道の地方部では「9時~5時で会社員として働いて、副業は当然禁止」という状況が一般的です。副業をすることに関心がなければ、今のまま変わらないでしょう。時間の使い方は、都会の一部の人たちや20代のようにすごくこだわる人と、そうでない人の二極化が進んでいくと思います。

 

この記事をシェアする

このエントリーをはてなブックマークに追加