私の生活定点

博報堂生活総研による定点調査「生活定点」を見て気づいたこと、
発見したことをさまざまな人が語っていくリレー・エッセイです。

「30年のデータで解析! 生活者の変化潮流」

40代おじさん必読!
J.Y. パーク氏に学ぶ 「褒めワード」
ベスト5
–日経クロストレンド 連載⑤–

生活総研 上席研究員/コピーライター

前沢 裕文

こちらは「日経クロストレンド」からの転載記事です。

40代男性の残念な特徴の一つが、「人は叱った方が成長する」と思う人が一番多いこと。そこで、「褒めワード」の魔術師である「NiziU」のプロデューサー・J.Y. Park氏の言葉から、よく使われたキーワードを抽出しランキング。「43歳からおじさん」を執筆した博報堂生活総合研究所の前沢裕文氏(44歳)が、褒め方が分からずに叱ってばかりの“同志”のために、緊急書き下ろし!

40代おじさんは叱りたがり

2020年12月に執筆した「『43歳からおじさん』が調査で判明! 『7つの特徴』を大分析」は、おかげさまで多くの方にお読みいただきました。今回は、記事中で取り上げた一つのデータについて考えてみたいと思います。

前回、博報堂生活総合研究所の長期時系列調査「生活定点」の2020年調査約1400項目から、40代おじさんが全性年代中・男性中で1位あるいは最下位となった調査結果を数多く紹介しました。世の中の流れと逆行している40代おじさんに特有の意識、価値観はいくつもあったわけですが、とりわけ周りから嫌<>がられそうだなと震えたのが、

人は叱った方が成長すると思う
  17.5%(全性年代中1位) 全体平均:10.9%

というものです。

直近3回の調査における、40代おじさんの回答結果の推移は、16年22.3%→18年20.1%と下がってきているもののどちらも1位。全体平均は16年14.1%→18年13.1%だったので、すべて大きく上回っています。20年の全体平均10.9%は1998年の聴取開始以来最低値。40代おじさんの“叱りたがり”ぶりが際立ちます。

J.Y. Parkさんの金言は、叱ってばかりの40代おじさんにとって学ぶべきキーワードの宝庫だ (c)Sony Music Labels Inc./JYP Entertainment. All rights reserved.

ちなみに、20代女性では「叱った方が成長すると思う」と回答した人の割合は、わずかに6.9%。褒めて伸ばしてほしいと考える20代女性部下からすると、叱って伸ばしたい40代おじさんはクソ上司に見えているかもしれません……。

しかし、回答結果の推移を見れば、40代おじさんも少しずつではありますが叱って伸ばす派は減ってきているわけです。褒めて伸ばす派に変わろうとしているわけです。40代おじさんだって成長しているんです!

と言いつつも、これまでは散々叱っていたくせに、急に褒めようとして下手な褒め方に自分が恥ずかしくなった揚げ句、「どう褒めりゃいいか分からねーよ!」と逆ギレして、結果これまで以上に叱る未来がちらつくのは私だけではないはず。そこで、J.Y. Park先生から褒め方のエッセンスを盗もうというのが今回の記事の趣旨です。

J.Y. Parkさんの発言から頻出ワードを数えてみた

J.Y. Parkことパク・ジニョンさんは、20年にデビュー、NHK紅白歌合戦にも出場した9人組女性ガールズグループ「NiziU」のプロデューサーで、デビューメンバーを決めるオーディション番組「Nizi Project」での数々の発言が名言!胸熱!と話題になりました。

30歳以上も年の離れた、そして1万人を超えたオーディション参加者たちに対して、Parkさんは日本語で語りかけます。アーティスト・プロデューサーとしての経験から練り上げた技術論・精神論をもとに、時に優しく、時に厳しく、次々と口をついて出るアドバイスは、いち視聴者でしかない私ですらモチベートされてしまうほど“効いて”います。しかもその日本語は、今回のNizi Projectのために勉強したというのだから驚きです。

そんなJ.Y. Parkさんは1971年12月生まれの49歳。40代おじさん歴10年目の大先輩なのです。まずは彼の発言をまねることから始めて、ゆくゆくうまく褒める40代おじさんに生まれ変わることはできないものでしょうか?

 

1万人から選び抜かれた9人組のグループ「NiziU」。親子ほども年の離れた10代の女性
たちに、時には優しく、時には厳しく、真摯に言葉を投げかけるPark氏の姿勢は多くの
日本人の心を打った
(c)Sony Music Labels Inc./JYP Entertainment. All rights reserved.

ということで、ジャンプ漫画さながらに友情・努力・勝利を体現する参加者の姿に号泣しながら、Nizi ProjectのJ.Y. Parkさんの発言をすべて文字起こしして、よく使っているワードを数えてみました。彼がよく使うワードにはきっと、褒めの素人が学ぶべき、褒めの神髄が隠されているはず。何より、セリフそのままをパクることなくワードを寄せるだけで、すぐにJ.Y. Park感が醸し出される手軽さ。邪(よこしま)な気持ち満点ですが、上手な人をまねていくのは慣れないことを始めるときには有効な手法ですから、まずはそこから手をつけたいと思います。動画配信サービス「hulu」で、日本国内8都市オーディションから最終メンバー決定までの全20話(Part1 10話 Part2 10話)の発言を調べた結果、よく使われていたワードのベスト5がこちらです。

→続きは日経クロストレンドのページからご覧ください。

<日経クロストレンド「30年のデータで解析! 生活者の変化潮流」>
第1回ーー「43歳からおじさん」が調査で判明! 「7つの特徴」を大分析
第2回ーー足りないのはお金より時間 40代おじさんの幸せは“時産”にあり
第3回ーーたこ焼きが1位? 和食が消えた? 好きな料理ランキング大激変
第4回ーシュフからシェフに! オンラインで「我が家の食卓」が変わる

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