–日経クロストレンド連載㉟–
調査で判明 自分で自分を幸せだと思っている人の「2つの共通点」
こちらは「日経クロストレンド」からの転載記事です。
企業経営において幸福やウェルビーイング(心身ともに充実している状態)が重要なテーマとなるにつれ、自社事業やブランド施策にも生活者の幸せに寄与することが求められるようになってきた。そこで今回は、博報堂生活総合研究所(以下、生活総研)の研究員が、いつもの「生活定点」データではなく、新たに2種類の行動データに着目して分析。それぞれ意識調査を組み合わせて、「幸福度の高い生活者」に特徴的な行動を探ってみた。そこから浮かび上がってきた、ちょっと意外な幸福の姿とは。
「プレゼントを頻繁にする人」には幸福な人が多い
皆さんは「幸せそうな人」と聞くと、どんな生活者像をイメージされるでしょうか? 普段の業務では「世帯年収が高くて、社交的で……」というようなペルソナを設定しているかもしれません。一方で、はた目には幸せそうにみえる場合でも「生活者自身が感じている幸福感」は異なっているかもしれません。
そこでまず「お金の使い方」と「幸福度」の関係をデータから検証してみましょう。使用したのは1000万ダウンロードを超える家計簿サービス「Zaim」のデータです。
生活総研ではZaim(東京・港)の協力の下、同サービスの利用者のうち調査に協力いただいた6915人を対象に家計簿上に記録された支出データを分析。さらに、同じ対象者に調査票を用いた意識調査も実施しました。その上で「品目ごとの年間購入回数」と「10点満点で回答された幸福実感度」(以下、幸福度)の関連性を分析してみました。
家計支出品目には衣食住だけでなく、実に様々な支出があります。その中でも例えばアクセサリーや美容への支出などは、幸福度と関連性がありそうですよね。ところが分析結果からは、そうしたいかにも生活者を幸福にしてくれそうな品目の購入回数と幸福度の間には、そこまで強い関連性は見られませんでした。
一方で、特徴的に幸福度との関連性が見られたのは「プレゼント」の購入回数です。
10点満点で質問した幸福度を統計の手法に従い低(0~5点)/中(6~8点)/高(9~10点)の3つのグループに分け、各区分における購入回数の分布を品目ごとに分析したところ、「プレゼント」においては幸福度が高いグループの平均年間購入回数は、高くないグループに比べて1.6倍に上りました。
比較対象として、プレゼントの他に「レジャー」「子ども関連」「食料品」、そして全ての品目の合計購入回数と幸福度の関連性についても同様の分析を行いました。ですが、いずれの場合もプレゼントほどの関連性は見られませんでした。
あまたある支出の中で、他でもなく「他人のための買い物」が幸福度と関係していそうだというのは、なかなか意外な結果ですね。
「プレゼント回数が多い人」は、大都市圏以外にも広がる
もう一つ興味深いデータがあります。
今回の意識調査では、回答者に居住地の郵便番号も聴取しているのですが、この位置情報を使うと「ある品目の支出回数が多い人が、地理的にどこに多く分布しているか」という地図を描くことができます。これを「飲み会」と「プレゼント」について、描画し比較してみたのが次の地図です。
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