私の生活定点

博報堂生活総研による定点調査「生活定点」を見て気づいたこと、
発見したことをさまざまな人が語っていくリレー・エッセイです。

40代おじさんの意識を精神科医が分析 悲しい性をメッタ斬り!?
–日経クロストレンド 連載⑨–

生活総研 上席研究員/コピーライター

前沢 裕文

こちらは「日経クロストレンド」からの転載記事です。

残念な特徴が続々と浮き彫りになった「40代おじさん」。人口は多いのに見向きをされることはなく、博報堂生活総合研究所 生活定点のデータから見えてきたのは、イライラして周囲には不満だらけというみっともない傾向。この結果を精神科医はどう分析するのか。上席研究員・前沢裕文氏(44歳)が“40代おじさん代表” としてカウンセリングしてもらったところ……

カウンセリングを引き受けてくれた精神科医の木村好珠先生

910万人。2021年3月、総務省統計局が発表した人口推計の40代男性の人数です。下の表をご覧いただくと分かる通り、性年代別に10歳刻みで見ると人口が最も多いのが40代男性となっています。40代おじさんは数の論理だけで言えば今日の日本で最大勢力を誇っているわけです(注:第1回で見たように、正確には43歳からがおじさんですが、この連載では40代男性=40代おじさんのデータとして紹介しています)。

2021年3月の人口推計

出典:総務省統計局 人口推計 2021年3月報 21年3月1日現在(概算値)

40代おじさんだってチヤホヤしてほしい

20代女性の約1.48倍もいるんですよ。仮に20代女性を100%全員満足させる商品・サービスがあったとしても、それは人数的には40代おじさんの約67.4%を満足させるにすぎないということになります(次世代の人口減少については40代おじさんにも責任の一端があると見る向きもありますが、本題からそれるため脇に置かせてください)。

これほどの人口がいるにもかかわらず、私たちは生まれてからこの方、世の中から大事にされたり、チヤホヤされることが一向にありません。人は忘れられたときに死ぬのであれば、40代おじさんはもう死んでいる。漫画『北斗の拳』のケンシロウが教えてくれなくても気づきます。

昨今もマーケティングターゲットとして持ち上げられるのは、Z世代やシニア世代ばかり。博報堂生活総合研究所の長期時系列調査「生活定点」の20年調査では、「若者が主役の世の中だと思う」「高齢者が主役の世の中だと思う」と回答した人の割合はどちらも多くないにもかかわらず。

 ・若者が主役の世の中だと思う 12.9%
 ・高齢者が主役の世の中だと思う 14.5%

まあ、だからといっておじさんが主役と思われているなんてことは当然なく、そもそも質問の選択肢にすら入れてもらえていないのですが。

いや、ないがしろにされ過ぎじゃないですか!? 40代おじさん。

というわけで、このかわいそうな身に救いを求めるべく、精神科医にカウンセリングをしていただくことにしました。連載第1回の「『43歳からおじさん』が調査で判明! 『7つの特徴』を大分析」で取り上げたデータを中心に意識・行動を見て精神状態を分析していただき、それを基になんとか楽しく生きやすくなる道を探りたいと思います。

優しくカウンセリングしてくださったのは、精神科医で、ブラインドサッカー日本代表やレアル・マドリード・ファンデーション・フットボールアカデミーなど多くのスポーツチームでメンタルアドバイザーも務める木村好珠先生です。果たして、40代おじさんに対する診断は……?

はやる気を抑えて、まずは全体の感想を伺いつつ、「約束の時間を過ぎて友人を待っている時間にイライラする:84.3%(全性年代中1位)」など、とにかくやたらとイライラしたり腹を立てている理由について掘り下げていきます。→後編はこちら

→続きは日経クロストレンドのページからご覧ください。

 

<日経クロストレンド「30年のデータで解析! 生活者の変化潮流」>
第1回ーー 「43歳からおじさん」が調査で判明! 「7つの特徴」を大分析
第2回ーー 足りないのはお金より時間 40代おじさんの幸せは“時産”にあり
第3回ーー たこ焼きが1位? 和食が消えた? 好きな料理ランキング大激変
第4回ーシュフからシェフに! オンラインで「我が家の食卓」が変わる
第5回ーー 40代おじさん必読! J.Y. パーク氏に学ぶ 「褒めワード」ベスト5
第6回ーー 世代間ギャップを学べる魔法の質問 「お金持ちって誰ですか?」
第7回ーー 「お金持ちへの憧れ」は徐々に減る?若者はなりたい自分を投影
第8回ーー 40代おじさんに黄信号 「男女平等感」が世の中とズレている!?
第10回ーー40代おじさんの生き様は「30点」? 精神科医による処方箋

プロフィール

写真
木村 好珠(きむら このみ)先生

東邦大学医学部卒。慶応義塾大学病院にて研修後、精神神経科に進む。東北の病院で常勤医をした後、現在は、東京都内及び静岡のクリニックで勤務する傍ら、産業医、健康スポーツ医、スポーツメンタルアドバイザーとして活動。脳と心のコンディショニングをテーマとし、子供から大人まで幅広い世代のメンタルアドバイスを行っている(スポーツメンタルアドバイザー歴:東京パラリンピックブラインドサッカー日本代表、レアル・マドリード・ファンデーション・フットボールアカデミー、北海道コンサドーレ札幌アカデミー、横浜FCフットボールアカデミー、日本大学ラグビー部。その他、NowDo、コーチユナイテッドなどオンライン講義)

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