2025.11.19

かわいい服は何歳まで着られる? 写真に見るファッションの「消齢化」

執筆者:生活総研 研究員 松井 博代

研究員の松井が気になるテーマについて執筆します。今回は、写真に見るファッションの「消齢化」について取り上げます。

出典:博報堂生活総合研究所『生活図鑑「衣」』の「かわいい/可愛」より

私が所属している博報堂生活総合研究所では、衣・食・住などのテーマに合わせ生活者が自由に撮影した写真を収集・分析する「写真調査」を行っています。そして、その全データの閲覧や検索ができるサイトとして「生活図鑑」にまとめています。

前回の「食」に続き、おしゃれ外出着、ちょっとした外出着、家での服装、衣類の収納という4種類の写真を収録している「衣」のデータから、気になった衣生活をご紹介したいと思います。

大人女性の「かわいい」とは?

ファッションで「かわいい」と聞いて思い浮かべるのは何でしょうか? ピンク、花柄、リボンなどでしょうか? 写真調査のなかの「かわいい/女性らしい」といった内容のコメントを拾うと、ピンクや明るい色味、レースやシフォンといった素材感、スカートなどが確かに挙がりますが、意外にまちまちです。そんななか、複数人が「かわいい」服装として選ぶポイントもありました。下の写真を見てください。

出典:博報堂生活総合研究所『生活図鑑「衣」』

いずれもシンプルな模様、色味なのですが、左から順にコメントを見ると「トップスのニットの肩の形がくしゅっとなっていてかわいいので気に入っている(29歳)」「お気に入りポイントはトップスの袖がバルーンであること。パンツスタイルなので 上はバルーンで甘めにしたいから(39歳)」「上のニットは袖がポワンと少したるんでおり、可愛らしさがあります(42歳)」「薄手のベロア素材で、袖がバルーン型になっていて可愛いところが気に入っています(50歳)」と、肩から袖にかけてのシルエットがかわいらしさにつながっているようです。年齢を見ると20代から50代で、こうしたさりげないかわいさは、ファッションのワンポイントとして広く女性に好まれているようで、かわいい服は何歳になっても着られるものだと感じます。

好きなものは好き!という強いこだわり

今はファッションも多様性の時代。流行はありますが、かっちりした服が好き、スポーティーで動きやすいのが好き、ゆったりとした着心地のよさを重視するなど、写真を見ると外出着、家での服装それぞれに個々人の好きや想いが表れています。そのなかで、「本当にこの人は、この感じが好きなんだな」とわかりやすい事例を紹介したいと思います。

出典:博報堂生活総合研究所『生活図鑑「衣」』

特にわかりやすい写真を例にしていますが、真ん中のチェックのワンピースの女性は一見同じようで、チェックの大きさや上着が違います。どの方も、TPOに合わせて形や素材を変えながらも好きな色や柄を貫いている様子が素敵です。

ちなみに、男性を見る限りは、スポーティー系、スーツや襟付きシャツ系などの系統や、色などに好みはありましたが、ここまでわかりやすい例はありませんでした。むしろ、おしゃれ外出着はジャケットを着て、家での服装はパジャマと、わかりやすく違う人も多く、オンオフの差がはっきりしていそうです。

「消齢化」が進むファッション

先ほどの好きなものを貫く女性たちも、年齢をよく見ると20代から40代で、特に年齢傾向はなさそうです。生活総研では、年齢による価値観や嗜好の差が小さくなることを「消齢化」と名づけていますが、ファッションは、わかりやすく消齢化が進んでいる領域として、これまでも触れてきました。

出典:博報堂生活総合研究所『生活図鑑「衣」』

ノームコア(シンプル、ベーシックを中心とした「普通」を極めたおしゃれ)の流行と定着により、どんな年代が着てもおかしくない服が増えたこともありますが、いくつになっても「かわいい」や「好き」を追求していいこと、個性を出してもエイジレスで着られる服も増えているということを、生活者のリアルなファッション写真から改めて感じました。

【調査概要】
■写真調査「衣」
調査対象 20~69歳の男女211名
調査方法 インターネット調査(全国)
調査時期 2022年3月

【関連サイト】
衣|生活図鑑|ひらけ、みらい。生活総研

【前回記事】
「夕食らしさ」が消えていく? 写真にみる食の「フリースタイル化」

【Yahoo!ニュース エキスパートより転載】
https://news.yahoo.co.jp/expert

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