Researchers’ View
博報堂でマーケティング領域を担当している若手3名が、ここまでの「感情ミュート社会」では扱いきれなかった視点から感情について考えました。感情というテーマへの視野を広げる視点として、6つの問いでお届けします。
現代の子どもたちは、
感情の種類が少ないのか?
近年、若者の語彙力が低下し、感情を表す言葉が単調になっている現象がニュースでよく取り上げられるが、そもそも現代の子ども・若者たちは言い表したい感情の種類が少ないのではないだろうか。心理学者のルイスとブリッジスの感情発達理論によると、人間は生まれたときに「快」と「不快」の感情しかわからないが、育っていくにつれて自分に対して取られている態度や行動を認識することで、感情の種類が育ち細分化していく。だが、現代社会に生まれた子どもたちはこの生の感情を向けられる機会が以前より減っているのではないだろうか。スマホの動画のなかには、自分に向けられる他者からの感情や表情はないからだ。感情の細分化が進まなくなると、それにまつわる言葉や表現も減っていくだろう。だからこそ、「ヤバい」、「えぐい」、「草」など、つかい方次第で様々な感情を意味する言葉が浸透するのかもしれない。
本音をさらけ出すのは
良いこと?
先日「思ったことを相手に伝えるのが苦手だと伝えたが、育った環境の違いからか、それを相手にわかってもらえない」と悩む投稿が話題になっていた。投稿者には本音をうまく伝えられなかったり、伝えようとしても受け止めてもらえなかった経験があるのかもしれない。しかし相手側の気持ちを想像してみると、投稿者にとって自分は本音を出せない間柄なのかと寂しさを感じている可能性もある。本音は感情が露わになってしまうからこそ、扱いがデリケートで難しい。平行線のような思いを持つ両者が互いを尊重しつきあっていくためには、「本音や感情の扱い方にはその人の生い立ちが影響している」という共通認識を持つことが必要だ。本音をさらけ出すことは時に美徳として語られるが、これからの時代のコミュニケーションにおいては、相手の生い立ちへの想像力をもって向きあうことが美徳になっていくのではないだろうか。
ほか4つの問いは下記の記事からご覧いただけます。
→Researchers’ View 感情を問う6つの視点 –1–
・ 感情の「言語化」は、絶対的な正なのか?
・ 他者の感情への「共感力」は高め続けるべきか?
→Researchers’ View 感情を問う6つの視点 –2–
・ 人を動かすのは「心」か「仕組み」か?
・ 感動のパッケージ化は、心を貧しくするか?

