私の生活定点

博報堂生活総研による定点調査「生活定点」を見て気づいたこと、
発見したことをさまざまな人が語っていくリレー・エッセイです。

犬派と猫派を49項目で徹底分析!
性格、価値観、消費行動に大差
–日経クロストレンド 連載⑳–

生活総研 上席研究員/コピーライター

前沢 裕文

こちらは「日経クロストレンド」からの転載記事です。

犬は人なつっこく、猫は自由奔放な性格などといわれる。では、飼っている人の性格や意識、行動にも違いはあるのか? 博報堂生活総合研究所の上席研究員・前沢裕文氏がひもといた調査データからは、意外な違いが次々と浮き彫りになった。「流行に敏感」「友情が大事」「文化・芸術を好む」「社会貢献に意欲」……この違いをマーケティングに生かせば、犬猫経済圏を掘り起こし、ヒット商品を生むヒントになるかも?

実家で犬を飼っていたこともあって、昔から犬が大好きです。猫カフェに行けば胸キュン不可避で、餌を購入してあやしますし、何時間でも入り浸れるくらいに猫も好きではありますが。でも、犬の方が戯れやすい。そして、人に対しても、犬を飼っている人やこれまで飼っていたことのある人の方が付き合いやすい。犬を飼っている人と猫を飼っている人って、なんだか根本的なところで違う気がするんです。

少し古いデータで恐縮ですが、2016年の独GfK(Growth from Knowledge)の発表によると、世界22の国と地域のうち犬と猫の飼育率が高かった国ベスト3は以下のようになっていました。

出典:GfK「グローバルのペット飼育率調査」

ランキングにある国を見るだけでも、暮らしぶり、性格や価値観などが違っているように思えます。各国のざっくりとしたイメージから推し量れば、犬を飼っている人=陽気でおおらか、猫を飼っている人=気高く繊細というところでしょうか。

そうなると気になってくるのは、日本人にも同じ傾向が当てはまるのかどうかということ。よく犬を飼っている人は犬っぽいし、猫を飼っている人は猫っぽいなんてことがいわれて、そう思えなくもないのですが、説明としてはあまりにフワッとしています。具体的にどこがどう違うのでしょうか? 調査で浮き彫りになった両者の違いをご紹介していきます。

今、日本は「犬・猫の数>15歳未満の人口」になっている

本題に入る前に、現在の日本の犬・猫の飼育頭数を把握しておきましょう。日本ペットフード協会による2020年「全国犬猫飼育実態調査」では、犬:848万9000匹(飼育世帯数約680万)、猫:964万4000匹(同550万6000)、計1813万3000匹となっています。これは、15歳未満の人口より多いということになります。

総務省統計局が21年10月20日に公表した「人口推計」では、日本の総人口は1億2512万人(概算値)で、そのうち15歳未満の人口は1488万6000人(推計値)。40年連続の減少で過去最少となっているそうです。

一方、博報堂の長期時系列調査「生活定点」を見ると、「今後してみたいことは何ですか?」という質問に「ペット(犬・猫・鳥など)を飼いたい」と答えた人の割合は、20年は34.1%で過去最も高かった04年の43.3%には及ばないものの、ここ10年間35%前後で推移しており、今後も極端に下がることはないでしょう。さらに、「ペットも家族の一員だと思う」という人も、51.5%だった06年以降増えており、今後も家族同様に手間やお金をかけるとすれば、日本のペット関連市場は引き続き盛り上がりを維持しそうです。

そう考えると、犬派・猫派について知ることは、単なる雑学を超えて、大きな経済圏を動かすヒントを知ることにもつながりそうです。

今回、犬派と猫派の違いを調べるために使用したのは、博報堂オリジナルの調査データベース「HABIT/ex」の20年調査です(調査概要は文末に記載)。調査対象者の中から、「犬を飼っている」「猫を飼っている」と回答した20〜69歳のデータを抽出。両者を比較していきます。そのため、犬派=犬を飼っている人であり、どんなに犬愛が深くても飼っていない人の回答は集計に入りません。同様に、猫派=猫を飼っている人のデータとなります。なお、犬・猫両方を飼っている人はそれぞれに含まれています。

また、今回は犬派・猫派の“女性”に話を絞りたいと思います。理由は2つあります。1つは、男女の性差から生じる差を除いて、純粋に犬派・猫派の差を見るため。もう1つは、生活総研では毎月「来月の消費予報」調査を実施しており、翌月に「モノを買いたい」「サービスを利用したい」という欲求が100点満点で何点か尋ねているのですが、聴取を開始した12年5月から21年10月までの全114回のうち、113回は女性の消費意欲が男性を上回っているため。つまり、女性の方が消費に積極的で、動きやすいターゲットと考えられるからです(もちろん、必要に応じて犬派男子・猫派男子のデータについても触れます)。

念のためにお断りしておきたいのは、両者の数値の高い・低いは、どちらが良い・悪いという話ではありません。ただ違いがあるというだけです。どうか気楽にお読みいただければ幸いです。

それでは、犬派女子と猫派女子、その意識と行動の違いを見ていきましょう!

→続きは日経クロストレンドのページからご覧ください。

 

<日経クロストレンド「30年のデータで解析! 生活者の変化潮流」>
第1回ーー 「43歳からおじさん」が調査で判明! 「7つの特徴」を大分析
第2回ーー 足りないのはお金より時間 40代おじさんの幸せは“時産”にあり
第3回ーー たこ焼きが1位? 和食が消えた? 好きな料理ランキング大激変
第4回ーー シュフからシェフに! オンラインで「我が家の食卓」が変わる
第5回ーー 40代おじさん必読! J.Y. パーク氏に学ぶ 「褒めワード」ベスト5
第6回ーー 世代間ギャップを学べる魔法の質問 「お金持ちって誰ですか?」
第7回ーー 「お金持ちへの憧れ」は徐々に減る?若者はなりたい自分を投影
第8回ーー 40代おじさんに黄信号 「男女平等感」が世の中とズレている!?
第9回ーー 40代おじさんの意識を精神科医が分析 悲しい性をメッタ斬り!?
第10回ーー40代おじさんの生き様は「30点」? 精神科医による処方箋
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第12回ーーZ世代とシニア、上司と部下の板挟みで、40代おじさんは右往左往?
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