トキ消費

その時・その場でしか味わえない
盛り上がりを楽しむ消費

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2020.06.10

「消費潮流の最前線」 第6回

【トキ消費】を生むヒント②

こちらは、東京商工会議所 東商新聞2020年5月10日号からの転載記事です。
夏山研究員による寄稿です。

【トキ消費】とは…同じ志向を持つ人たちと一緒に、その時(トキ)、その場でしか味わえない盛り上がりを楽しむ消費(博報堂生活総合研究所提唱)

前回に引き続き、今回も【トキ消費】の潮流に乗るビジネスを考える際に役立ちそうな、具体事例とアイデア発想のヒントをご紹介していきます。

モノをトキにする

あるアパレルメーカーでは、子どもがひとりで服選びに挑戦する体験型サービスを提供。子どもは、親のアドバイスやサポートに頼ることなく、服を選び、試着するなどの課題をひとりでこなします。人生で初めての体験にワクワクしながら…。
アパレルメーカーが販売するのは服というモノです。しかし、この事例のように「モノを介した体験型サービス」を提供すれば、モノもトキにすることができるのではないでしょうか。

トキをモノにする

あるミュージシャンは、ツアーの全公演をライブCDとして販売しています。演者側・観客側ともに、「ライブは生モノだから、同じツアーであっても、ひとつとして同じ演奏やトークはない」という想いが共通しているからでしょうか、複数会場や全公演のセットボックスを購入することもできるようになっています。
以前、【トキ消費】の魅力として「非再現性」があるとお伝えしました。だからこそ、限られた素晴らしい時(トキ)に自分が存在したことを記録に残したいという想いも生まれるのではないでしょうか。このライブCDはそうした想いに応えた試み、「記録品(存在の証)の開発」事例だといえます。

これまで【トキ消費】に共通する「非再現性」「参加性」「貢献性」に触れました。この3要素は、【トキ消費】へと生活者を向かわせる欲求(非再現欲求、参加欲求、貢献欲求)ともいえます。これらに着目すれば、これまで気が付かなかった、新しいビジネスも浮かんでくるのではないでしょうか。

昨年11月から6回にわたり、【トキ消費】について解説してきました。この内容が皆さまのビジネスに役立つよう、お祈りしております。ご高覧いただきありがとうございました。

<東商新聞「消費潮流の最前線」連載一覧>
第1回 定義編――モノ、コトの次の潮流【トキ消費】とは
第2回 事例編――様々な分野に広がる【トキ消費】の共通要素
第3回 背景編――生活者が【トキ消費】に向かう理由とは
第4回 データ編――生活者調査でみる【トキ消費】
第5回 ビジネス編①――【トキ消費】を生むヒント①

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