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2026.06.24

–日経クロストレンド(72)連載–

胃もたれを自認し始めるのは30代?
調査で分かった食の「生活元年」

生活総研 上級研究員

夏山 明美

「日経クロストレンド」の連載記事です。

胃もたれを感じ始めるのは何歳? 酒をおいしいと認識し始めるのは? デートで食事に誘うようになるのは? さらに1万円以上の外食店に行くようになるのは……。今回は、気になる行動や意識に関する“スタートライン”について徹底調査した結果を、博報堂生活総合研究所の研究員が詳しく解説する。

何かをはじめる(はじまる)“元年”を調査で明らかにする。気になるあの“はじまり”は

何かをはじめる(はじまる)“元年”を調査で明らかにする。気になるあの“はじまり”は
(画像/MerciArtworks/stock.adobe.com)

この記事の流れ
・ 食の生活元年に「山」型と「丘」型
・ 【自炊元年】の後に【中食&外食元年】
・ 【胃もたれ元年】の後は胃薬を持ち歩き、【あっさり】を選ぶ

博報堂生活総合研究所(以下、生活総研)は、「ある生活行動ができなくなったり、したくなくなったりする年齢」、つまり生活者が感じる「終わりの年齢」のイメージを「生活寿命」と名付けて定期的に調査。本連載でも「新商品に飛びつくのは41歳9カ月まで? 調査で判明した『生活寿命』」として紹介し、多くの読者の皆さまにご好評いただきました。


その後、「終わりがあるなら始まりもある」ということで、食生活における「始まりの年齢」のイメージを調査した結果を「食の生活元年~『胃もたれ』『ごはん少なめ』は何歳から?」として、生活総研サイト内の「月刊 生活総研」で発表。様々なメディアに取り上げていただきました。


今回はさらに深掘りして、人生において印象的だった食の「生活元年」について、それぞれの元年を迎えた実際の年齢とリアルエピソードを探った調査・分析結果を紹介します。

「食の生活元年」調査(首都圏・阪神圏・名古屋圏、20~69歳男女、1500人、2026年3月、インターネット調査)

なお、今回の調査で提示した食の生活元年は15項目。調査対象者は20~69歳の男女と幅広いですが、人によっては回答できない生活元年もあることでしょう。

例えば、胃が丈夫で食欲旺盛な20代なら【胃もたれ元年】(脂っこい食事や、食べすぎ・飲みすぎの後に胃もたれするようになる)は未経験、といった具合に。また、既に経験済みながら、記憶が薄いものや、思い入れがないものについても、リアルな具体エピソードを回答しにくいと思われます。

ですから、今回の調査対象者には、これまでの人生で経験した生活元年のうち、印象に残っているものについて、その生活元年を迎えた実際の年齢やきっかけ・思い出を、以下のように回答してもらいました。

【美酒元年】(お酒をおいしいと思うようになる)23歳
・一人暮らしになり家でゆっくり飲むようになってから、お酒の味が分かるようになった(46歳男性)

【健康食元年】(疾病予防や肥満防止など健康を考えた食事をするようになる)40歳
・初めて受けた特定健診で高血圧を指摘されたのがきっかけ。まさか自分が高血圧だなんて思ってもみなかった。それから塩分控えめをうたった調味料を使った料理をつくるようになった(49歳女性)

このように寄せられた実際の年齢をすべて分析してみると、食の生活元年は2つの型に大別できたのです。

食の生活元年に「山」型と「丘」型

一つは、生活元年の年齢のピークが特定の年代に集中する「山」型。以下に例として挙げた【美酒元年】(お酒をおいしいと思うようになる)では20代が突出(68.4%)しています。自由回答を見ても、「就職」「社会人」「飲み会」など、多くの20代に関連深そうな言葉が並んでいました。

     「山」型(ピークが特定の年代に集中)の例
「山」型(ピークが特定の年代に集中)の例 美酒元年が印象に残っている人ベース(228人)

美酒元年が印象に残っている人ベース(228人)

その他の「山」型は、10代以下と20代に集中していました。

例えば、10代以下に集中するのが【子ども外食元年】。自由回答を見ても、「高校」「高校生」「部活」といったティーンならではの単語が目立ちます。

また、20代に集中するのが【食事デート元年】【親にごちそう元年】です。20代になり、多くの人が社会人デビューをして食事をおごれるほど自分で稼げるようになるからでしょう。

【自炊元年】【美酒元年】【美食元年】も20代に集中。成人になって飲酒も解禁となり、親離れもして、自分で稼ぐようになる、そんな20代にこれらの生活元年が集中するのは腑(ふ)に落ちます。

【食事デート元年】は20代に集中(画像/Sarwanto1122/stock.adobe.com)

【食事デート元年】は20代に集中(画像/Sarwanto1122/stock.adobe.com)

「山」型の生活元年(ピークが特定の年代に集中)

●10代以下に集中
子ども外食元年 子どもだけでファミレスやカフェに行くようになる
おつかい元年 近所のスーパーにひとりでおつかいに行くようになる

●20代に集中
食事デート元年 好きな人を食事に誘うようになる
親にごちそう元年 親に自分のお金で食事をおごるようになる
自炊元年 家族や自分のための食事を自分で作るようになる
美酒元年 お酒をおいしいと思うようになる
美食元年 外食でひとり1万円以上のお店にも行くようになる

ここまでをまとめると、「山」型は、特定の年齢層になると多くの人に訪れる体験や出来事がきっかけで生まれる、集中型の生活元年と特徴付けられそうです。

もう一つの生活元年の型は、年齢のピークが複数の年代に分散する「丘」型です。

例えば以下の【健康食元年】(疾病予防や肥満防止など健康を考えた食事をするようになる)だと、40代が最も多く(29.3%)、50代(22.8%)がこれに続いて2大ピーク。

ですが、さらに分布は20代(18.7%)、30代(17.1%)にも広がっています。自由回答を見ると、「健康診断」「コレステロール」「ダイエット」「血圧」「病気」「結婚・出産」など様々。【健康食元年】のきっかけは年代と同様に多岐にわたっています。

      「丘」型(ピークが複数の年代に分散)の例

健康食元年が印象に残っている人ベース(123人)

その他の「丘」型の生活元年では、【孤食元年】【中食&外食元年】【美容食元年】が20~30代の下の年代を中心に分散。【薄味元年】【少なめ元年】【胃もたれ元年】【あっさり元年】【健康食元年】はさらに幅広く20~50代に分散して広がっています。

また、これらの自由回答を見ると、ひとり暮らしや共働きといった世帯状況、仕事の多忙さ、美容意識、健康状態など、個人差が大きい内容が目立っています。

「丘」型の生活元年(ピークが複数の年代に分散)

●20~30代に分散
・ 孤食元年 ひとりで食事をすることが多くなる
・ 中食&外食元年 市販の総菜や弁当、外食で食事をとることが多くなる
・ 美容食元年 美肌/美髪やダイエットなど美容を考えた食事をするようになる

●20~50代に分散
・ 薄味元年 味の濃い食事よりも、薄味の食事を好むようになる
・ 少なめ元年 飲食店で「ごはんは少なめでいいです」と言うようになる
・ 胃もたれ元年 脂っこい食事や、食べすぎ・飲みすぎの後に胃もたれするようになる
・ あっさり元年 こってりした食事よりも、あっさりした食事を好むようになる
・ 健康食元年 疾病予防や肥満防止など健康を考えた食事をするようになる


まとめると、「丘」型は年齢に関係なく、個人差が大きい分散型の生活元年といえそうです。

今回調査した食の生活元年は「山」型と「丘」型に大別されましたが、他の分野における生活元年を調べると、年齢のピークが若年と高年にある「谷」型や、若年や高年に集中する「崖」型などの多様な「型」が見られるかもしれません。何か新しい行動を始めることで生まれる消費もあるでしょう。

ですから、生活元年を調べることは、新しい消費にエントリーする適齢期を探し当てること、ターゲット戦略の旬を見つけることにも通じるのではないでしょうか。

ここまで、それぞれの生活元年を迎えた実際の年齢からの発見を紹介してきました。ここからは、いくつかの生活元年について、調査対象者から寄せられたリアルエピソードも交えながら、具体的にご覧いただきましょう。

 

→続きは「日経クロストレンド」のページからご覧ください。

 

<日経クロストレンド「30年のデータで解析! 生活者の変化潮流」>
◇過去の連載はこちら↓
第61回ーー新商品に飛びつくのは41歳9カ月まで?調査で判明した「生活寿命」
第62回ーー若者が使う「ネオダジャレ」の実態 ジョイマン高木さんインタビュー
第63回ーーソト機能のイエナカ化、隙間テレワーク…生活者の部屋を写真でのぞき見
第64回ーーつくらない、つどわない…「消齢化」時代の食、20代発の3つの新潮流
第65回ーーデジタル世代の若者にアナログ志向が増加 購買行動の定番化に2つの要因
第66回ーータイパ社会へのカウンター? 脱・予定調和で“ムダ”を求める生活者
第67回ーー“若者の恋愛離れ”の正体 調査で見えた恋愛至上主義世代との意識差
第68回ーー「43.2歳からおばさん」が調査で判明 激変する令和の「おば」像
第69回ーー「感情ミュート社会」突入 気持ちを出す機会も相手も「減った」が多数
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第71回ーー人の「幸せ」を写真でのぞき見<br>家族ありでも“ひとり”の隙間探す

 

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