トキ消費

その時・その場でしか味わえない
盛り上がりを楽しむ消費

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2020.04.10

「消費潮流の最前線」 第4回

生活者調査でみる【トキ消費】

こちらは、東京商工会議所 東商新聞2020年3月10日号からの転載記事です。
夏山研究員による寄稿です。

【トキ消費】とは…同じ志向を持つ人たちと一緒に、その時(トキ)、その場でしか味わえない盛り上がりを楽しむ消費(博報堂生活総合研究所提唱)

今回は当研究所が東名阪地域で20~69歳の男女1,500人を対象とした【トキ消費】に関する調査の結果を紹介します。

まず、【トキ消費】の解説を読んでもらった上で「トキ消費は流行していると思うか」と質問すると、「そう思う」は全体で32.6%。性別では女性が36.1%で、男性の29.1%を上回ります。さらに注目すべきは年代差で、若年層ほどスコアが高い結果となりました(20代46.9%、30代34.1%、40代30.9%、50代28.3%、60代25.8%)。

全体では約3人に1人、20代では約2人に1人が、【トキ消費】の流行を実感しています。調査では、その動向を占う質問も投げ掛けています。モノ、コト、トキの各消費のうち、これから世の中で広がっていくと思うものを1つだけ選んでもらいました。結果をみると、全体では、コト37.3%、トキ36.1%、モノ26.6%の順でした=図。この質問の回答についても、先程の流行実感と同様、明らかな性別差や年代差がみられました。男性と50~60代の順位は全体と同様、コト、トキ、モノの順なのに対し、女性と20~40代はトキがトップでコトを逆転。特に、20代はトキが広がると予想する人が最多でした(20代40.3%、30代39.3%、40代38.8%、50代30.9%、60代31.4%)。

最後に、具体的なイベントやサービスへの今後の参加意向を、【トキ消費】の牽引役といえる20代の結果を中心に見ていきましょう。
20代の参加意向のトップは「フェス」で32.9%。全体では23.1%なので、9.8ポイントも上回っています。2位の「体感型ゲーム」でも、20代が27.6%なのに対し、全体は15.1%とやはりスコアが開きます。3位以降をみても、「ワークショップ」(20代23.9%、全体21.4%)、「体験型イベント」(20代19.8%、全体14.7%)、「ハロウィン」(20代17.7%、全体7.6%)と、いずれも全体と比べて20代の意向が上回っていました。

自由回答では、「今年は東京2020大会もあるので、その時にしか体験できない消費が増える」(28歳女性)という意見も挙がっています。これから、20代を中心とした若者たちから、どんな【トキ消費】が広がっていくのか、要注目です。

 

<東商新聞「消費潮流の最前線」連載一覧>
第1回 定義編――モノ、コトの次の潮流【トキ消費】とは
第2回 事例編――様々な分野に広がる【トキ消費】の共通要素
第3回 背景編――生活者が【トキ消費】に向かう理由とは
第5回 ビジネス編①――【トキ消費】を生むヒント①
第6回 ビジネス編②――【トキ消費】を生むヒント②

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