2026.09.02

「エコは面倒」は5割 面倒を乗り越える環境アクションとは?

生活総研 上席研究員

松井 博代

研究員の松井が気になるテーマについて執筆します。

出典:博報堂生活総合研究所「生活図鑑<環境>」

「環境問題」や「エコ」という言葉を聞くと、どこか「やった方がよいこと」「ひと手間かかること」というように、自発的に「やりたいこと」から遠く感じる人もいるかもしれません。私が所属する博報堂生活総合研究所の長期時系列調査「生活定点」でデータをみると、特にここ数年で「面倒」という意識が高まり、5割を超えることがわかります。

出典:博報堂生活総合研究所「生活定点」

しかし、生活者自身に撮ってもらった写真を収めた「生活図鑑<環境>」を眺めると、もっと自然体で、積極的に環境アクションを取り入れている様子もみえてきます。今回は、生活者が実践するエコ習慣から、地球環境を考えた行動を前向きに取り組むヒントをご紹介したいと思います。

「あげる」も「もらう」も心地よい「エコリレー」

いまや、フリマアプリなどの二次流通(リセール市場)は私たちの生活にすっかり定着しました。「不用品を売ってお小遣い稼ぎをする」というイメージが強いかもしれませんが、生活者の環境行動をみると、その根底には別の思いがあることがわかります。それは、「まだ使えるものを捨てる罪悪感」からの解放です。

使わなくなった物をフリマアプリなどで売る理由について、生活者は「物を使ってくれる人へわたると気持ちも家のなかもスッキリする」「他の人が欲していると思うので使える方に譲ってます」とコメントしています。

また、おもしろいと感じたのは、職場で捨てられるはずだったバランスボールを「環境のためにもらいました」という声があるように、誰かの不用品を「もらう」ことも環境アクションとして捉えられている点です。

この「不用品を必要な人へ受け渡す」というリレー行動は、身近な人へのおさがりや、バザーなど昔からあることではありますが、デジタルを介してより多くの人とやりとりができる仕組みが整い、「ものの寿命を全うさせることで、捨てる罪悪感を減らし物理的にも精神的にもスッキリさせる」ことができる、気持ちのよい環境アクションとしても新たな広がりを生んでいるのだと感じます。

出典:博報堂生活総合研究所「生活図鑑<環境>」

子どもと楽しむ「エコ育」

もうひとつ、調査からみえてきた特徴的な行動が、子どもと一緒に楽しみながら環境に向きあう「エコ育」です。ひと手間かかるゴミの分別やリサイクルも、子どもと取り組むことで立派な体験学習へと変化しています。

家庭の生ゴミを使って「ダンボールコンポスト」を作成した事例では、「生ゴミが土に変わっていく経過を子どもと観察することで肥料になったことを経験することができてゴミの削減につながり、食べ物を粗末にしない食品ロスの意識も育まれた」と、まるで理科の実験のように楽しんでいる様子が伝わってきます。

また、汚れたプラスチックトレーを洗って乾かす作業を実践し、「子どもたちにも説明しながらごみ出しに取り組んでいるので、環境保全の勉強にもなっています」と語ります。さらに、身の周りのリサイクル素材を活用した工作の事例からは、学びだけでなく遊びの面も加わっているようです。

SDGsや環境問題が学校教育でも取り上げられる今、子どもへ地球の未来を教えるという教育的側面が、家庭でのエコアクションが前向きに取り組まれる動機やきっかけとして機能するのです。

出典:博報堂生活総合研究所「生活図鑑<環境>」

「地球のため」から「自分の心地よさ・家族の学び」へ

これまでの環境アクションは、「地球のためにわざわざやるもの」という側面があったかもしれません。しかし、今回ご紹介した生活者の姿からは、もっとポジティブな変化が感じられます。

「捨てる罪悪感を減らして、気持ちよく暮らしたい」「子どもの好奇心を刺激し、一緒に学びたい」。そんな自分自身や家族の心地よさや豊かな時間が、結果的に「環境にいいこと」につながっている。これこそが、現代の生活者が無理なくエコを続けられる秘訣なのではないでしょうか。

【調査概要】
■生活定点
調査対象 20~69歳の男女
1992年:1,976人  1994-2002年:2,000人  2004年:3,150人
2006年:3,293人     2008年:3,371人  2010年:3,389人
2012年:3,232人     2014年:3,201人  2016年:3,160人
2018年:3,080人     2020年:2,597人  2022年:3,084人
2024年:2,510人

調査方法 訪問留置法(東阪)
調査時期 1992年から偶数年5~6月(2020年のみ6~7月)

■写真調査「環境」
調査対象 20~69歳の男女296名
調査方法 インターネット調査(全国)
調査時期 2023年3月

【関連サイト】
環境|生活図鑑|ひらけ、みらい。生活総研

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【Yahoo!ニュース エキスパートより転載】
https://news.yahoo.co.jp/users/expert/hiroyomatsui

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