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2026.08.25

「もったいない」だけじゃない 「シェア」で豊かに暮らす

生活総研 上席研究員

松井 博代

出典:博報堂生活総合研究所『生活図鑑<シェア>』

「シェア」や「共有」と聞くと、みなさんはどんな光景を思い浮かべるでしょうか? カーシェアリングやシェアオフィスなど、どこか「節約」や「合理的」というイメージを抱く人が多いかもしれません。
私が所属する博報堂生活総合研究所の写真調査アーカイブ「生活図鑑<シェア>」には、生活者が自らの暮らしのなかで実践している、リアルなシェアの実態と知恵が収められています。そこからみえてきたのは、とても能動的でポジティブなシェアの姿でした。
今回は、特に興味深い3つの視点から、現代の生活者が生み出している新しい豊かさの形を探っていきます。

1.費用をシェアし、ワンランク上の暮らしへ

まず注目したいのが、ものをシェアして「品質の良い物を買う」という行動です。ひとりでは手が出しにくい高額なアイテムも、誰かと一緒に使う前提なら、自己負担額はぐっと減ります。生活者からは、こうして「いつもよりワンランク上の良いものを買う」という声が寄せられました。

肌荒れに悩んでいた女性は、友人から薦められた高額な酵素石鹸を、同居する姉とふたりで使用することにしたそうです。その結果、「半額で使えるので良かった」と、上質なスキンケアを賢く生活に取り入れています。 また別の女性は、洋服を夫とシェアし、「一着にかける値段を増やして、良い物を買うことが出来た」とのこと。

ここから、「ふたりで出しあうからこそ、お互いの生活の質を高めてくれる良いものに出会える」という、生活者の非常にスマートな選択眼が垣間みえます。

出典:博報堂生活総合研究所『生活図鑑<シェア>』

2.シェアで使用頻度を上げ、「鮮度」を保つ

ふたつ目の視点は、ものを「最適な状態のまま使い切る」ためのシェアという、合理的ながらも、ものへの愛着を感じさせる工夫です。お気に入りの高級品や特別なアイテムほど、大切にしすぎて、気がつけば古くなったり傷んだりしてしまった……という経験は誰しもあるのではないでしょうか。生活者たちは、他の人とシェアすることで使用頻度を上げ、ものの劣化を防いでいるのです。

高級ブランドのイヤリングを母娘でシェアして出番を増やすことで、定期的に手入れでき、ジュエリーの美しさを保ち続けていたり、化粧品や香水といった「鮮度」が大事なアイテムでも、シェアすることで変質する前に使い切ったりできるようです。

ものを大切にするとは、ただ長く所有することではなく、「一番良い状態のまましっかり使う」こと。そんな新しいものとの付きあい方がみえてきます。

出典:博報堂生活総合研究所『生活図鑑<シェア>』

3.性年齢の枠を超えたシェアで、知らない自分に出会う

最後に紹介するのが、洋服をシェアして「いつもの自分とは違うファッションを楽しむ」自己拡張のシェアです。性別や年齢、体型の固定観念にとらわれず、家族やパートナーとクローゼットをシェアすることで、コーディネートの幅を広げています。

具体的には、夫婦でのサイズ感の違いを活かし、大きめの服が着たいときにパートナーの服を取り入れることで、今までとは違ったスタイルを楽しむ声が挙がっています。また、大学生の子どもと洋服をシェアしている男性も。「若々しい格好をするために、子どもが着る服を借りるのが手っ取り早いと思ったから」という理由は、合理的かつチャーミングで、親子仲の良さもうかがえます。

服のシェアは、単なる貸し借りを超えて「新しい自分に変身する楽しみ」であり、家族との関係を深めるものにもなっているのではないでしょうか。

出典:博報堂生活総合研究所『生活図鑑<シェア>』

もののシェアが生む豊かさ

かつて大量消費の時代には「自分で所有すること」が豊かさの象徴でした。しかし、今回紹介した生活者の姿は、以前とは違った豊かさの一面をみせてくれます。

3つのシェアの形には、自分の生活の豊かさだけでなく、「娘も喜んでいて良かった」「よりおしゃれについて話すようになり、息子も身だしなみへの意識が高まってきた」など、シェア相手の豊かさや幸せにつながっている様子もうかがえます

誰かと、何かを「シェア」してみる。それは、暮らしと心をワンランク引き上げる、一番身近で素敵な方法なのかもしれません。

【調査概要】
■写真調査<シェア>
調査対象 20~69歳の男女310名
調査方法 インターネット調査(全国)
調査時期 2023年3月

【関連サイト】
シェア|生活図鑑|ひらけ、みらい。生活総研

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【Yahoo!ニュース エキスパートより転載】
https://news.yahoo.co.jp/users/expert/hiroyomatsui

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