生活者の新しい消費観・消費行動を解説する連載の第5回。今回は、昨今話題のサブスクリプションサービスを積極的に利用している生活者にフォーカスを当てていきます。博報堂生活総研が全国15~69歳の男女に対して行った調査では、サブスクリプションの現在の利用率・今後の利用意向はともに若い層ほど高くなっていますが、生活者は実際にどのように利用しているのでしょうか。ここでは、サブスクリプション(以下:サブスク)が大好きだという都内の20代女性の例をご紹介いたします。
日常のあらゆる場面で、計10種類以上のサブスクを利用
サブスクというと、「音楽聴き放題」「動画見放題」といった「コンテンツ使い放題」のイメージが強いのではないでしょうか。しかし、東京都在住のS・Sさん(20代女性)は、コンテンツに限らず日常のあらゆる場面でサブスクを利用しています。たとえば、定期的に多種多様な野菜や肉を届けてくれるサービスや、毎月定額でスタイリングされた服が届くサービスを使っています。また、ソファーなどの家具もサブスクで借りており、現在使っているサブスクは計10種類以上に及びます。
なお、取材時は引越しを控えており、新居に移り次第洗濯機も手放して、洗濯代行のサブスクでまかなう予定とのことでした。いずれは日常生活のすべてをサブスク化するのが夢なのだそうです。
「いつでも変えられる」安心感にお金を払う
ではなぜ、S・Sさんはサブスクを愛用し「買わずに使う」生活を送っているのでしょうか。
理由のひとつは、良い意味での「思考停止」ができるからだといいます。彼女は、考えるべきことをできるだけ減らすことで、自分の人生や仕事といったより重要なことに頭を使いたいと話します。そのため、生活費のやりくりに頭を使わなくて済むよう、サブスクを使って家計費の固定化を進めています。また、毎朝着ていく服に悩む時間ももったいないので、あらかじめスタイリングされた洋服を届けてくれるサブスクがとても気に入っているそうです。
また、サブスクには「いつでも変えられる」という安心感があることも大きいようです。彼女は「ものを買うと後に引けない感じがあるので、できるだけ持ちたくない」と話します。服を持っていると定期的なケアが必要ですが、サブスクで借りれば洗濯やクリーニングから解放されます。また、ものを持っていると手放すために手間や時間がかかりますが、サブスクであればいつでも気軽に返すことができます。サブスクで月額を払うことで高くついたとしても、こうした安心感があることのほうが重要だと考えているんです。
さらに、気軽に新しい体験を楽しめることもサブスクの魅力です。彼女が使っている肉や野菜のサブスクは、食材を使ったレシピが同封されていて、毎月新しい料理に出会える楽しみがあるそうです。また、月額で通い放題になるカレーレストランのサブスクも、隣同士になった人と自然に会話が始まるといった、新しい出会いがあるところが良いといいます。
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