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生活新聞1981 - 2006

1981年から2006年まで、社内資料として発行されていた「生活新聞」の概要を掲載しています。「生活新聞」とは、生活者の日常を研究員が独自の視点で洞察・研究し、社会生活から日常生活のディテールまで、様々な手法を用いて生活に迫った研究レポートです。

  • 生活太郎消費を斬る! 

    消費シリーズ総集編。大衆から分衆に変化した80年代に代わり、90年代は分衆がさらに分解していくと同時に、瞬間的には大型集合集団を作ることもある時代だ。「こだわり」より、「ノリ」が生活者を動かすからだ。その結果、販売ルートのステイタスが崩れ、同じものなら安い店で、あるいはインターネットで買うようになってきた。いわば、販売ルートが、空洞化していく時代である。《239号》

    1996/07/19
  • 調査年報1996紹介号
    シルバー10年変化 生活貴族へ向かう高齢者たち

    調査年報の紹介。60〜74歳のシルバー層の意識と行動に関する調査を86年の調査との時系列比較として実施。その結果、「自分志向」「悠々志向」「不老志向」「上級志向」「遊技志向」という五つの変化潮流が見えてきた。そのスタイルは、実社会からちょっと距離を置いて優雅に生きる貴族の世界を彷彿とさせるものだ。激動の時代を必死に生きたシルバーの新しいライフスタイルが見える。《238号》

    1996/06/25
  • パブリミナル消費
    デジタル情報ネットワーク時代の消費感覚

    消費シリーズ7。パソコンやポケベルが、ビジネスユースから離れて、個人の自由なネットワークの核になってきた。その結果、個性化多様化によって、ばらけていた個人が、他人とつながることで楽しみを見いだす時代に変わってきた。これが「パブリミナル感覚」だ。そうした感覚は、家族を変え、他人との関係性を意識させ、匿名性の関係を強化し、消費をも変えていく。《237号》

    1996/06/25
  • 「いい年をして」消費
    いつまでも子供でいたい、平成の大人たち

    消費シリーズ6。長寿化、少子化、団塊世代の高齢化などで、いつまでも自分が若いつもりで消費行動に走る年輩者が増えている。彼らは、「年齢を気にしない」「自分に忠実」「結果を気にしない」「遊び心に満ちている」「前向きより、掘り下げ」という5つの共通した行動をする。そこで、宝塚ファンや大型オートバイファンなど、年齢を超えた集団の中で頑張っている年輩者の実態をルポ。《236号》

    1996/05/31
  • 三行消費 

    消費シリーズ5。発信者や信憑性があやふやな「素性のわからない情報」が増えている。それは、パソコン通信やインターネットなどの新しい情報メディアの増加が背景にある。しかし、そうした情報は、危ないだけにそそられる面もあり、消費を動かす力にもなっている。そこで、新聞の三行広告から、インターネット広告、プリクラ新聞、個人情報誌などの実態を見聞した。《235号》

    1996/05/17
  • 浄化消費
    増え続けるサナトリウム症候群

    消費シリーズ4。自己を浄化する消費が高まっている。カラダの中から根こそぎ「悪毒病菌」を排除してさらに心地よい空間に保つ、そんな意欲が目立つ。自分のまわりにバリアをはって、汚れなきなわばりづくり。目指すは森の中にひっそりと佇む静かなサナトリウムへのあこがれだ。こうした「サナトリウム症候群」の実態について調査を行った。《234号》

    1996/04/19
  • 恥ずかしい消費 

    消費シリーズ3。「恥ずかしい」という気持ちは、消費の場にも影響を及ぼしている。「買うのが、恥ずかしい」「自分だけ持っていなくて、恥ずかしい」という気持ちがあるからだ。この恥ずかしいという気持ちは、男女差が大きい。例えば、「立ち食いそばを食べるのは、恥ずかしい」と思う人の割合は、男性3%、女性78%である。その他、行動や所有財について、恥ずかしさを調査した。《233号》

    1996/03/29
  • 瞬間充実消費
    パッと行きたい

    消費シリーズ2。これまでの物事には、起承転結というルールがあった。だんだんと盛り上がっていくことで、結末の快感が増していた。ところが、手続きも段取りも苦労もいらない「パッと結論」「パッとクライマックス」「パッと体験」という物事が好まれるようになってきている。これは、情報化の進展が、プロセスの「見えないもの」を見せてしまっている社会を作っているからだ。《232号》

    1996/03/15
  • 無言消費 

    消費シリーズ1。「なるべく口を利かずにモノを買いたいと思う人=無言消費派」と「お店の人などと話をしながらモノを買いたいと思う人=有言消費派」について調査・分析した。「無言消費派」は56%、「有言消費派」は44%だが、今後無言消費は増加すると考えている人が多い。マルチメディアの発展は、無言消費を押し進めるが、その中に有言性の暖かみを導入するのも、今後の課題。《231号》

    1996/02/29
  • 都会生活のモヤシ度
    オジサンの心配

    生活が便利になることで、失われていく「生活への自分関与度」を調査した。鉛筆をナイフで削れるか。電気やガス釜を使わずに、ご飯が炊けるか。水道の故障やドアの故障を、専門業者に頼む人はどのくらいいるのか。自分で挑戦した修理には、どんなものがあるか。どんな台所道具や修理道具を持っているのかなど。しかし、自分でやらなくてすむ方がいいという声もあり、それも収録。《230号》

    1996/02/13
  • 生活予報1996紹介号
    凸する。平坦社会の新満足

    生活予報96の紹介号。マクロの経済社会の成長を期待できなくなった今、ミクロの生活環境も、パイが拡大しないことを前提とした生活へと変わる。そこで、生活の部分的な拡大と同時に、部分的削減が課題となる。この、拡大する部分を「凸」とよび、削減する部分を「凹」と名付けた。96年の生活は「凹の決断」によって、「凸の満足」を生みだそうと考える人が増加すると予測した。《229号》

    1996/01/12
  • 生活グレイゾーン

    世の中の問題を含むさまざまな行為に対して、人々がどの程度まだ「ひっかかりを感じているのか」、またどの程度「実際に行っているのか」を調査した。その結果、許されない行為と許される行為の間の「グレーゾーン」に、多くの行為が位置していることがわかった。例えば、「配偶者以外の女性と夜遅くまで飲食する」「外国人に道を尋ねられても知らんふりする」といった行為だ。《228号》

    1995/12/22
  • プレジャー・ゲーマー

    最近、競馬場や場外馬券場には、若いデート中のカップルや女性ひとりで来ている人が目立つ。ギャンブルをすることは、いまや「もうける」ための行為ではなく、「楽しさ」「快感」を得るための行為なのである。ギャンブラーというより、「プレジャー・ゲーマー」とでも呼べる人たちが、ギャンブルの客になり始めているわけだ。こういう人たちは、騎手や馬自体のアイドル化を進める。《227号》

    1995/11/30
  • 上定食時代
    モノと情報の「束ねられ方」を買う

    膨大なモノと情報に囲まれた現代生活。その中から、自分の欲しいものを選び出すには、大変なエネルギーがいる。とはいえ、お仕着せのセット売りでは、満足することはできない。そこで、主張のある「選択力」が、売り物になるのだ。そうした選択力によって集められた店や商品や情報を、「上定食」と名付けた。セレクトショップや、プリフィクスレストランなどが、その代表例だ。《226号》

    1995/11/10
  • 虚像の行進 

    イメージが一人歩きしてしまい、実態と大きな違いがあることも多い。そのギャップを探ることから、高度情報化社会におけるイメージ形成に影響を与える要因を導きだした。大きいものは、より大きく、小さいものは、より小さくイメージされる。親しみのあるものは、より近く、より大きく感じられる傾向にある。また、ネーミングのイメージも、意識を歪曲させることが多い。《225号》

    1995/10/20
  • ベリガ
    ベリーガールは、へそを出して何をしているのか。

    若い女性の間で、へそ出しファッションがブームである。こうしたファッションの女性のことを、「ベリーガール」と名付けた。この「ベリー」とは、おへそを出してくねくね踊るベリーダンス(Belly dance)のベリーのことで、「おなか」という意味だ。東京・渋谷のファッションビル109を中心に、その状況を写真とインビューでレポート。他人の視線にさらされる快感を求める時代。《224号》

    1995/09/25
  • プライベート・ヘブン
    自宅リゾート・浴室が変わる

    家にいて、一番リラックスするのは、入浴の時だという人は、44%。一部の家では、新築・改築の際、浴室にお金とスペースを割く傾向がある。さらに、健康志向やヒーリングのブームから、さまざまな浴室用品を売る店も増えており、浴室は家庭リラクスゼーション・ルームとしての機能が充実してきている。そのため、未婚女性のうち、浴室への思い入れが強くなった人は44%になった。《223号》

    1995/09/25
  • モノは幸せか?
    モノはどのくらい使いこなされているのか

    家庭内には、さまざまな商品が溢れかえっている。しかし、所有されているものの、ほとんど使われず放置されているものもあれば、使われていても、まだ使えるのに新しく買い換えられてしまうものもある。また、機能が高いのに、その機能の一部しか使われていないものもある。そこで、自家用車、電話について「使いこなし度」を調査したところ、それぞれ63点、60点という結果がでた。《222号》

    1995/08/25
  • 世の中激動・生活微動 

    生活定点95年臨時版の紹介号。大震災、サリン事件などを体験した日本人の意識の変化を追う。「日本の治安」「社会の安定」が低下。経済やツキなどの他人頼みから、自分でコントロールする暮らしへと、気持ちの重心が転換した。幸福感と生活満足感も、低下した。しかし、それでも揺るがないのは、「生活の豊かさ感」と「生活の楽しさ感」で、前年調査とまったく変わっていない。《221号》

    1995/07/31
  • 調査年報1995紹介号
    情報生活 雄型と雌型の発見

    調査年報95の紹介号。情報やメディア、そして情報関連機器と生活者との関わりを調査・分析した。結果は、男女差が大きく、男性は「情報の作り手」「メディアの開拓」に重点があり、女性は「情報の使い手」「おしゃべりの楽しさでメディアを支える」という傾向が顕著だ。この男性的要素の強い情報行動を「雄型」、女性的要素の強い情報行動を「雌型」と定義し、生活者の分析をした。《220号》

    1995/06/27
  • 大田区型国際化の時代

    80年代以前の国際化は、欧米文化との出会いであり、港区など外交官の多いエリアを中心に広がった。これに対し、80年代は、新宿などでのエスニックブームなど、知らないアジアとの出会いが中心になったが、訪日アジア人に対しては、無理解と偏見もあった。しかし、90年代の国際化は、ごく自然に日本人社会の中に、訪日アジア人が溶け込んで広がっている。肩肘張らない国際化の時代。《219号》

    1995/06/20
  • 「リ・セット」
    阪神大震災4カ月目の17日〜取材メモから

    震災から4ヶ月たった神戸の人々をインタビューした。「しゃあない」という言葉で、あきらめからたくましく奮い立つ自分を語る人。情報の大切さを語る人。地縁、社縁の大事さを、考えさせられた人。ひとりで住んでいることを恐れるようになった人。ボランティアの存在の善し悪しを論ずる人。さまざまだが、地震は豊かさの大事さを再確認するためのリセットボタンであったようだ。《218号》

    1995/05/31
  • さあ、今日も「キドリ茶」して帰ろ。

    従来型の喫茶店が減っている一方、新業態の喫茶店は増えている。オープンエア型喫茶店もそのひとつだ。特に、オープンエア型の喫茶店は、道路に向けて教室のように椅子が列べられているのが特徴で、客は通行人の視線にさらされている。そのため、妙に気取った態度でお茶を飲む人が多く集まる。流行の新しい服を着た人が、道路側の席を選ぶのも、通行人の視線を意識してのことだ。《217号》

    1995/05/25
  • 出戻り小町

    都心から私鉄に乗って、次の中規模ターミナル駅のひとつ手前の駅前の小さな商店街が注目されている。それが「出戻り小町」だ。こうした町は、隣駅に大型商店街があるため、発展から取り残されたような古いままの町であることが多い。当然、店舗のレンタル代も、あまり高くない。そこに目を付けて、冒険心はあるが金はない人たちが、ビストロや雑貨屋などを開き、注目されている。《216号》

    1995/04/30
  • バックスター族
    植物と話し始めた人

    植物を、インテリアとしてではなく、静かなペットとして、かわいがる人が現れた。犬や猫に対するように、話しかけたりする人は、植物を育てている人の11%、葉をなぜたりする人たちも37%いる。これが、「バックスター族」だ。若い世代に多く、ミニ盆栽ブームやミニ観葉植物ブームの担い手になっている。植物を育てている理由は、なごやかな気持ちになるためというのが多い。《215号》

    1995/04/17