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生活新聞1981 - 2006

1981年から2006年まで、社内資料として発行されていた「生活新聞」の概要を掲載しています。「生活新聞」とは、生活者の日常を研究員が独自の視点で洞察・研究し、社会生活から日常生活のディテールまで、様々な手法を用いて生活に迫った研究レポートです。

  • なぜ、僕らは落とされるのか?
    傘と携帯電話の物語

    遺失物をテーマにモノと人間の関係を探った。例えば、傘・カメラ・文庫本などは探して貰えない。携帯電話や手帳は大切。モノの機能のみを使用することが重要で、所有には意味を置かない時代だ。情報系のネットワーク財は、コンテンツが重要なので落とした人は必死で捜す。オンの時だけの機能を求め、オフの時のモノとの関係は希薄で構わないのである。《289号》

    1998/10/19
  • 生活センサー
    数字で知りたい、私の生活環境

    生活環境における快適さを数値で測った。温湿度計、騒音計、風速計、電磁波計、照度計、気圧計を使用した。現実に生活環境について不快感、不満を抱いている人は、6割であった。計測したのは、乗り物、盛り場、球場、遊園地、海岸、山間部、オフィス、一般家庭などであった。アメニティを漠然と語るのでなく、数値化することで、実際の感覚とのずれも見えた。《288号》

    1998/09/30
  • 聖子的ベトナム

    ベトナムのホーチミンシティで働く独身女性にアンケートをし、一部に面接取材。松田聖子のように自分の意志を明確にして生きている新興国のエネルギーを明らかにした。元気のない日本に対して、熱気あふれるアジアの活力をベトナムで発見している。ベトナムの階級ごとの違いなども、自宅を訪問することで分析。全体として、女性パワーの強さが印象的だ。《287号》

    1998/09/18
  • 白浜生態学 
    庶民レジャーの原点でみる地域性

    海水浴場という場を借りて、そのローカリティが商業的な全国均一性に取って変わられていく過程を取材分析している。全国に24か所ある「○○白浜」から8か所を選択。浜で供される飲食、サービス、音響、値段、夜、水着、監視員の変化を分析している。限定された空間である海水浴場の比較分析によって、市場のソフィスティケーションの方向性が鮮明に示される。《286号》

    1998/08/31
  • 肩書き、自由自在

    肩書きに対する意識変化と、新しい肩書きの登場を分析している。肩書きを好きか? その肩書きの信用度合いは? 雑誌に現れた新しい肩書きの例は……? など。また、生活者に聞いたこんな肩書きが欲しいという回答例も集め多様な方向から肩書き意識に迫った。公と私の関係性を象徴する肩書き。そこから見えてくる現代人の新しい所属意識が興味深い。《285号》

    1998/08/21
  • 「第2次ごみ戦争」従軍記

    ごみ問題に正面から取り組んだ号。ごみへの取り組みで先進的な沼津市のごみ収集車に乗り込み取材。なるべく外部サービスを利用した生活と、食事を家庭内で作り、買う商品も包装されていないものを使う生活を1週間して比較。ごみの量、重さ、二酸化炭素の排出量などを比べた。また、ごみ意識調査では分別のわからないごみに悩む実態が明らかになった。《284号》

    1998/07/31
  • 調査年報1998紹介号
    連立家族 日本の家族10年変化

    調査年報98の紹介号。88年の調査との10年比較で、家族が平等化し、個人化している様子が明らかになった。平等化は、妻権化と女系化をもたらし、個人化は、緩系化と合理化につながる。家族の10年間の変化は、社会の変動を反映しており、個人と個人が、少し距離を保った関係で家族となっている。連立政権のように、いつでも離脱が可能な家族像が現れている。《283号》

    1998/07/08
  • ああ、いい湯だな、
    温泉なんだから、ナ。

    温泉の実態について、取材と調査をもとに、28の視点から切り込んでいる。サービス業の顧客満足の達成には何が必要なのか。生活者の側から、思わぬヒントが発見されている。温泉旅館には、築山などの日本庭園が欲しいという女性は62%、お湯の効能書きを男女とも53%が求めている、チップは27%があげており、有料ビデオを見る男は6%といった面白データも掲載。《282号》

    1998/06/30
  • すすすの生活
    不況下の消費のモチベーションを考える

    衣食住、人間関係、時間、旅行、仕事、趣味など生活における「明るさの素」を探っている。「Aで、私はBな気持ちになれる。AはCなところが魅力的で、Dなんかより、ずっといい。AはEが足りなくてもFが多すぎてもいけなくて、Gなときが最高だ」という質問文のAからGまでが具体的に分かる。通常の聞き方では表れない微妙な欲望を生活者は吐露している。《281号》

    1998/06/22
  • 欲しくなる商品開発
    勝ち組で生き残るために「アフォーダンス発想」

    堅気価値から愉快価値へ、若年価値から加齢価値へ、マテリアル価値からアフォーダンス価値へ、付加価値から組込価値へ、使い捨て価値から循環価値へ・・という5つの意識変化をもとに新しい商品開発の方向性を探った。2001年の6つの生活分野と5つの商品価値を掛け合わせて、具体的な予測も行っている。価格、ターゲット、生産の各戦略についても言及。《280号》

    1998/06/10
  • 欲望テレビ
    405人に聞いてみた「こんなテレビ番組が見たい!」

    生活者自身に見たいテレビ番組を考えてもらった。日常性のシーンが立派な番組になることを教えてくれる。例えば、家族が留守中の犬の隠し撮り、道をいく子供の親に突然会いに行く「親の顔が見たい」、「世界夜8時の家族」など。役者、演出家、脚本家などを入れ替えドラマを比較してみたいという意見もある。いずれも、送り手と同等の受け手のレベルを示す。《279号》

    1998/05/29
  • ナワバル人——
    あらゆることをナワバリとして主張する時代

    「○○のことなら私におまかせというナワバリ」について調べた。8割が、1人1.4個のナワバリを持っていた。専門知識とかオタク的知識と違い、ジャンルを問わず、非系統的(デジタル的)であるのが特徴。同じナワバリの人へのライバル意識、仲間意識の対象、ナワバリを主張する人への感情など、いまの消費と情報を巡る意識に切り込む一つの視点である。《278号》

    1998/05/21
  • ナル美—美しきナルシストたち

    半蔵門線でみかけたナルシスト高校生をきっかけに、現代日本人の自己愛の実態を調査。ナルシストの割合は、4人に1人であった。こうしたナルシスト「ナル美」の行動、出没する場所、特徴的な動作などに迫っている。ナルシストの程度を調べるテストも掲載されている。すべての関心が自分へと向かっている社会の実像とそれが意味するものを考えさせる。《277号》

    1998/04/30
  • 人寄せ日常 
    パンダ並に人を集めている「日常性」の秘密

    犬や猫のテーマパークを取材。非日常性よりも、身近な手触りのいい日常性にくつろぎたがっている人々の心理を明らかにしている。未来型インテリアよりも昭和20〜30年代風へ、冒険型ゲームマシンから電車運転のような日常テーマのマシンへ、ハイテク施設よりただの階段が集客する様子。しゃれたカフェよりマンガ喫茶などの動向も日常性回帰を示していると分析。《276号》

    1998/04/20
  • 携帯人類

    リュックの流行の理由を考察。男性では若者、女性では高齢者に至るまで5割〜7割が所有している。赤ちゃんのいる母親は哺乳壜などを持ち運び、年配者は両手を開けて安全に歩くという実利的理由だ。一方、若者では「私的時間」のグッズを街という公的空間に持ち込むという意味を持っている。理想のリュックの絵も収録。携帯人類の心理が浮かび上がる。《275号》

    1998/04/10
  • 断崖の世代 
    厳しさの中、団塊の世代はオジサン化したか?

    団塊の世代の自殺が相次いだ中で、50代に突入する彼らの意識を探った。生活に占める仕事の割合は7割を越え、8年前からあった仕事比率を減らしたいという理想は達成されていない。だが、現在、仕事、余暇や趣味への満足度は高い。ただ、家庭に満足している率は低下。生活全般における欲求度(したいという率)は落ちた。やや疲れの見える団塊世代の現状だ。《274号》

    1998/03/31
  • 平成の風物詩

    平成の季語を探った。春は桜、花見、花粉症。夏は、風鈴、花火、スイカ。秋は、紅葉、松茸、栗。冬は、雪、こたつ、鍋。新イメージとしては、春は混んだ学食。夏は日焼け跡。秋は失恋。冬はタイツ。全体として、夏の風物詩を思い浮かべる度合いが46%と、夏イメージ優先の時代を象徴している。季節感という日本人の基本的な部分に触れたレポート。《273号》

    1998/03/27
  • 月齢差 
    誕生月の違いに注目した「ムーン・マーケット」

    誕生月の違いがライフスタイルにどう影響を与えるかを子供と成人について調べている。1月〜3月の早生まれ(早生児=ソーセージ)は、一年近く年長の4月〜6月の遅生まれと同学年で競争を強いられ、体力的・学力的にハンディを負っており、大人になっても引っ込み思案であるようだ。生まれ月による「ムーン・マーケティング」の可能性にも触れている。《272号》

    1998/03/16
  • 長野オリンピックで感じた
    [日本人の元気]

    長野の冬季五輪について、事前の低調さと開始後の一過性ブームの落差を現地取材。結果的にオリンピックというイベントが、ただそれだけで日本人を活気づけるものではなくなり、「思い」をもってボランティアのような形で参加した人だけが元気づくという点を明らかにした。自発性を持って「心の交流」を求めるか否かに時代の重心が移ったことを指摘している。《271号》

    1998/03/09
  • 遺構浴 
    人はなぜ古い場所に惹かれるのか?

    古い時代を偲ばせる、古い建築物「遺構」。いま、その遺構に人々の目が向きはじめている。生活者は、どのような遺構に惹かれるのだろうか。また、遺構は生活者にとって、どのような場所なのだろうか。遺構を通してみるいまの人たちの心理、価値観を分析している。HILLネットから集まった情報をもとに作成した「東京近郊の遺構マップ」も収録している。《270号》

    1998/03/03
  • 日本の体温 
    北と、南と、ど真ん中。5年目の特別定点調査

    5年ぶりに実施した生活定点調査地方版の特別リポート。今回は札幌・名古屋、福岡の3都市で行った。地方全体の総合分析編と各地域の分析編で構成されている。幸福感、生活満足感、消費に関する結果などを見ると、全国どこも厳しいが、特に札幌はもっとも厳しい状況である。全体としてはベーシックな生活領域への意識が強まっている。《269号》

    1998/02/27
  • おうちにおいでよ 
    夢の家が楽しくなった。 
    10年目のドリーム・ハウス調査

    1987年と1997年の10年間で「夢の家」に対する意識はどう変わったのか。2時点比較調査分析である。この10年で「家格革命」が起こり、日本人の描くドリーム・ハウスの「格」が上がった。10年前に比べ、イメージは豊かになり、開放的な絵が多くなった。構造、雰囲気などを総合的に描いている人が大半。今の夢の家には、欧・緑・光・L・M・和・棟・個・集の9つの傾向がある。《268号》

    1998/02/23
  • 98年生活市場 
    解凍せよ!!チルド欲求

    研究開発局との共同作業による「消費活性化レポート」の実態編(予測編は研究開発局発行)。世の中の消費は凍り付いているが、生活者の欲求はチルド状態にあるといえる。生活者は、モノよりもサービスに対する欲求を強めており、モノに囲まれた、ココロ豊かな暮らしを求めている。広告の役目は、そうした生活者のチルド欲求を解凍することである。《267号》

    1998/02/06
  • 正月の新聞雑誌定点観測1998 
    トラぶる 
    虎もふるえる転換期

    正月の新聞雑誌定点観測のレポート。正月の新聞・雑誌が描いている1998年の「日本」は、不安と恐怖に震えるとともに、戦いを目の前にして武者震いしている「虎」である。今年の新聞・雑誌の目線を一言で言うと「トラぶる」—虎も震える転換期、ということだ。世界で勝ち残る虎は誰か。日本で勝ち抜く虎は誰か。虎の子を立派に育てられるのは誰か。《266号》

    1998/01/26
  • ミナミは元気 
    沖縄経済特区誕生へ

    沖縄特例税制により、特定の条件を満たす沖縄の企業については、法人税の35%が軽減されるなど、税軽減措置がとられた。この「沖縄経済特区」の誕生を機に、元気さただよう沖縄を取材した。日本唯一のフリーポートや国内初のデューティーフリー・ショップなどを紹介しつつ、景気低迷の日本経済のチャンスの芽を探った。《265号》

    1998/01/20